ダーフィットの日記(合間の手袋の話と年末の冒険者達)その3

 年が明けてしばらくのことだった。
 旗を掲げる爪が短期間の仕事を終わらせた翌日は雨で、よく知っている雑貨屋へのお使いから帰ってきたウィルバーが、青いコートから冷たい雫を落としつつ、秀でた額を腕で拭った。

「ただいま戻りました~」
「おお、お帰り。ひどく降られただろう?」
「ええ、まいりました。しかし、お使いはしっかりこなしましたよ。これを預かって来ました」

 ウィルバーは、コートに包むようにして運んできた紙袋を、注意深くカウンターへ置いた。

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ダーフィットの日記(合間の手袋の話と年末の冒険者達)その2

 男は傍らの少女を見つめていた。
 もうすぐ、新年を知らせる聖北教会の鐘が鳴ろうという時刻、男と少女を照らす明かりはひどく小さいもので、第三者がここにいればもっと暖炉へ薪をくべて、ランプの油を継ぎ足したことだろう。
 だが、薄暗い方がかえって落ち着くのは、少女はともかくとして、男には忌々しい出来事があったからであった。
 彼は、汚れを洗い落としたはずの手へと視線を移した。
 骨ばった硬い指先に存在する爪の内側には、黒いものがこびり付いていた――血液だ。

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ダーフィットの日記(合間の手袋の話と年末の冒険者達)その1

 シガン島から戻ってきた旗を掲げる爪は、これといった依頼のないまま二週間ほどを過ごしていた。
 パーティの頭脳役を自認している魔術師が宿に不在なのは、当たり障りのない範囲でシガン島の地理などについて、賢者の搭へ報告をしに行っているからである。
 それをいい事にアンジェやロンドなどは、夜遅くまで起きて昼近くに起きてくるという自堕落な生活を過ごしており、もしテアが生きていれば、箒で二人を容赦なく叩き起こしていたことだろう。

ダーフィットの日記

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