Thu.

ファレンの騎士 8  

「それをやって帰ってきたの?」

と問いかけたのはジーニだった。
 ミナスが狼の隠れ家に帰ってきた時、親父の顔はズタボロ。ギルとアレクの顔も右に同じくだった。
 ミナス一人に依頼を勝手に受けさせたと言うので、買い物やバイトから帰ってきたメンバーが激怒し、親父さんとドンパチしたのだと言う。

「みんなあなたを心配してたのですよ。無事に帰ってくれて良かった」

 変わりない様子に微笑んだアウロラから事の顛末を聞いて、ミナスは二人に呆れながらも嬉しくなった。
 エディンはライラックの街の事をよく知ってるらしく、別の意味でミナスを心配していたのだが、彼が花の街の出来事をほとんど全て語り終えた後で、「無事だったか・・・」と脱力したようにカウンターに突っ伏していた。

「うん。人が人を助けるのがライラックの神様らしいから、それに倣ってきたよ」

ScreenShot_20130105_211351109.png

 ミナスは結局、テニオスを殺すことなく帰ってきた。
 帰る際、「聖北教会の神様が必要ないのは、この街の人間が何ものにも頼らず生きようとしている意志表示」だとミリアが言ったのだ。

ScreenShot_20130105_204614515.png

「そういやあのテニオスさん、ライラックに教会を作るそうだ。聖北教会にも新しい風か・・・」
「多分、その方も自分の神を見出したのでしょうね。これからが大変でしょうけど・・・」

 十字を切るアウロラの横で、ミナスは不意にあることを思い出して親父さんに声をかけた。

「あっ・・・そういえば、ミリアさんのところに忘れ物したんだって?」
「まあ!お父さんたらいつの間にあの街へ行って来たの?」

と娘さんが膨れる。娘さんの両側にギルとアレクが立ち、興味津々な顔で親父さんを覗き込んだ。

「い、いや、わしはかれこれ20年近く行った覚えは・・・」
「ああ、親父さんの現役時代ということか」
「どんな忘れ物なんだ、ミナス?」
「なんでも、過去の忘れ物なんだって。えーと」

 「剣の誓いを覚えてる?」というミリアの伝言を耳にした親父さんは、変形した顔中を真っ赤に染めていた。
 その顔を見て、まるでオーガーの首を取ったかのように騒ぎ立てるギルとアレクを、親父さんが木刀で追い掛け回し始める。
 たちまち大騒ぎとなった店内で、ミナスはこっそりアウロラに話しかけた。
 まるで姉を通り越して母のように世話を焼いてくれるアウロラに、成長した自分を見せ付けたくなったのだ。
 それは、どこまでも純粋な気持ちだったけれど――。

「あのね、僕はテニオスさんたちみたいにならないよう強くなるからね」
「え?」
「ギルもアレクも大事にしないなら、僕がアウロラ大事にするから」
「え?それってどういう・・・」

 チュ、と軽いリップ音をアウロラの頬にさせて、ミナスは「疲れたから休むねー」と2階へ上がっていった。

「・・・・・・」
「・・・・・・ほー。こりゃ面白い」
「やっぱり変なこと教わったのかーっ!ちくしょー、親父めー!」
「わしのせいじゃないわい!!」

 アウロラは親父さんよりも真っ赤になって絶句し、全てを眺めていたジーニはニヤニヤと笑いを浮かべ、エディンは大騒ぎしてギルたちに混ざり、幼馴染コンビは依然として子供のように親父さんとどつきあい・・・。

「・・・・・・ああ、なんていうかいつもどおり」

 娘さんがため息をついた。

※収入2400sp、≪ナシ≫≪弓(偽)≫≪マスク≫※

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■後書きまたは言い訳
21回目のお仕事は、レシェさんのファレンの騎士です。少年用一人シナリオでした。
いっぱい書くことあるんですが・・・ええと。
ミナスは【精霊術師の徴】(ちなみにうちは風繰り嶺でつけてもらいました)があるため、ギルやアレクよりももっと成長が遅かったのです。そこを調整したく、色々な一人旅シナリオを調べていたのですが、精神的な成長が望めて今のレベルで行ける、尚且つ文章の素晴らしい・・・と考えると、このファレンの騎士が一番でした。
出てくるキャラクターたちの光と影、4通りのエンディングにたどり着くまでの過程の楽しさ、じっくりと引き込まれる文章・・・・・・ただリプレイに起こす必要上、どうしても削ってしまう文章があったのが悔やみどころ。

なお、8話目の全員が出迎えるところはアドリブです。シナリオにこういう演出はないのですが、ミナスを動かしているうちに「アウロラ一番好き→ちゅーする」の流れを思いついて、書きなぐってしまいました。ご不快に思われた方がいらっしゃいましたらすいません。
ミナスの気持ちはまだ恋愛というより憧憬とか親愛のようなものですが、これが数年後発展するかどうかは・・・キャラクター次第ということで。

あと、途中で出てきたルイゼさんの香水についても、シナリオには具体的に出てきておりません。メレンダ街の色硝子の窓(匈歌ハトリさん作)にルイゼさんに似合うような香水瓶がありましたので、それを出してみました。
本当に魅力的な商品が置いてありますので、メレンダ街を訪れた冒険者は、ぜひ木苺通りの古い小さな塔にも足を運んでみてください。

さて、次回ですが・・・一人用シナリオではないのですが、ジーニに焦点が当たります。毒舌・高慢・見栄っぱりと言うとんでもない彼女にどんな試練があるのか、お楽しみに。

当リプレイはGroupAsk製作のフリーソフト『Card Wirth』を基にしたリプレイ小説です。
著作権はそれぞれのシナリオの製作者様にあります。
また小説内で用いられたスキル、アイテム、キャスト、召喚獣等は、それぞれの製作者様にあります。使用されている画像の著作権者様へ、問題がありましたら、大変お手数ですがご連絡をお願いいたします。適切に対処いたします。


2013/01/10 01:48 [edit]

category: ファレンの騎士

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