Wed.

葡萄酒運びの護衛 1  

「なかなか、いい依頼がないね・・・」

綺麗な爪のついた指で、羊皮紙をぺらぺらめくりつつ、ジーニがため息をついた。

「せっかくミナスが補助魔法覚えたんだから、また退治物やってもいいんじゃねえ?」
「いや、よく考えろリーダー。俺らの所持金を」
「何しろ、自由都市グラードの破魔の呪符を、何かに使えるかもと、宿の先輩から買ったばかりだからな。30spだったとは言え、金がないことに変わりはない」

エディンとアレクが口々にギルを諌めるのを横に、ジーニが「あ」と小さな声を上げて、一枚の依頼書をギルに見せた。

「これとかどう?」
「あ?葡萄酒運びの依頼?」

どんな依頼?とギルから声をかけられた宿の親父が言うには、西の山向こうのカラコ村からの依頼らしい。

「収穫祭で使う葡萄酒を運ぶのに護衛が欲しいそうだ」
「それで報酬が600spとか・・・前の依頼の約二倍!」
「ま、当然のごとく、それだけ危険も上がる可能性だってあるんだろうけど」

ジーニの突っ込みに、アレクが苦笑いした。

「それは聞けば分かる。親父さん、村までの日数と危険度を知りたいな」
「村までは馬車で片道3日ほどだ。街道が通ってるが、途中、山賊の出る山道も通る必要がある」

親父の説明に、全員が何となく顔を見合わせた。
危険度も日数も前より上がるが、正直、葡萄酒目当て程度の山賊ならば、今の自分たちでも何とかできるのではないだろうか。

親父が、絶妙のタイミングで依頼を受けるか聞いてきた。依頼人がこの宿にいて、返事を待っているらしい。
彼らの答えは、もう決まっていた。

親父に呼ばれてやってきたのは、若い女性だった。
エレン、と自己紹介をした依頼人は、どこかおどおどとした印象が付き纏っている。

ScreenShot_20120719_132426796.png

アレクが葡萄酒の場所を尋ねると、緊張した面持ちで、

「は、はい・・・・・・。リューンの酒問屋に取り置いてもらってます。後は馬車に荷物を積み入れるだけです・・・・・・」

と答えた。
妙におどおどしすぎる――と思ったのはジーニだった。
荒くれ者と変わらない冒険者に気後れしているのか、それとも何か他に理由があるのか。
しかし、一度引き受けると言ってしまった依頼である。あまり口は挟みたくなかった。
エレンの答えに、先ほどまでミナスと一緒に荷物整理をしていたアウロラが、彼女の台詞を聞いて軽く頷いた。

「それじゃ今日中に積み入れを済ませて、明日の朝出発しましょう」

酒は環境で味が変わりやすい。早めに運ぶに越したことはないだろう。
冒険者たちはエレンと共にリューンの酒問屋に赴き、大量の葡萄酒を馬車に積み込んだ。
翌日、冒険者たちはエレンの操る馬車に乗って宿を発った・・・・・・。

2012/07/25 21:09 [edit]

category: 葡萄酒運びの護衛

tb: --   cm: 0

コメント

コメントの投稿

Secret

プロフィール

最新記事

最新コメント

月別アーカイブ

カテゴリ

カレンダー

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

ブロとも申請フォーム

QRコード

辺境に足を運んだ方の人数

▲Page top