Tue.

死人の山の魔術師 2  

 まずは行方不明になった冒険者について調べようと主張するジーニに引きずられるように、”金狼の牙”たちは一角獣の涙亭に入った。
 聞き込みをすると程なく、

「ああ、あの依頼を受けた人?それ暁の旅団と海鳴りの槌だよ」

と情報があった。
 駆け出しが暁の旅団。海鳴りの槌は結構有名だとかで、パーティ内でその名を知る者はいなかったのだが、この店の中で「ああ、あいつらか」とほとんどの客が反応を返してきた。

「最後に彼らが行った場所とかは知らない?」

 ミナスが小首を傾げて聞いてみたものの、それにはかばかしい返事はなかった。

ScreenShot_20130102_200837734.png

「最後に向かった場所が分かれば、手がかりになると思うけど・・・」
「うん、そうだな。これ以上分からないなら、他のところも行ってみようぜ」

 ギルはそう言うと、ミナスの手を繋いで歩き出した。
 もう12歳、子ども扱いは恥ずかしいと思っても不思議ではない年齢なのだが、素直で優しい性質の為か、仲間たちが見せる親愛の情を拒むことはミナスはしない。
 小さな白い手でごつごつしたギルの手を握り返すと、嬉しそうに微笑んでいる。

「そうだわ・・・。どこに行くにしろ、冒険者なら雑貨屋で装備を整えたりするのではないでしょうか?」
「可能性はあるな。よし、聞き込みするか」

 アウロラの意見に頷いた一行は、そこで暁の旅団の一員を知る女性から、彼らがバルバベル山に向かったという話を聞いた。
 ラップと言う友人を案じる女性の顔には、もう戻ってこないだろうという諦観と悲哀がよく伺えた。

「あの様子じゃ、ただの友人って訳でもなさげね。ひょっとして・・・・・・」
「よせよ、ジーニ。俺たちにできるのは、せいぜいがとこ敵討ちくらいだろ」
「・・・そうね、あんたの言うとおりだわ。エディン」

 さらにバルバベル山についての情報を得ようと、地元民が集まる聖北教会に訪れた”金狼の牙”たちは、そこで依頼人であるパイクの伝手で情報屋の場所を教えてもらった。もう一つの冒険者の店にいるという。
 欲望の剣亭、というその小さな冒険者の宿は、酷く日当たりの悪い場所に建っていた。
 目つきの良くない人間が出入りしている。
 見るからに上品なアウロラや、見目麗しい小さなミナスを守るように囲み、一行は針のような視線を顔に受けながら店に入った。
 紹介された名前をカウンターに立つ小男に言うと、彼はエプロンを外して冒険者たちに手近なテーブルに着くよう指示する。

「何が知りたい?」
「バルバベル山」

 短くエディンが切り出すと、亭主兼情報屋であるその男は、情報料の銀貨40枚を刀痕の目立つ手で受け取り、

「かつてこのバーベルを退廃させたトロールの一族が住んでいた山だ」

と語り始めた。

「まあ、今じゃ全滅しているがな。もしかしたら生き残りがいたりするかもしれないな」
「生き残りですか。遭いたくないですね・・・山で休憩できるような場所はありませんか?」
「中間地点には綺麗な泉があるから、そこで休憩もできるだろうな」

 そこそこの情報を得られた一行は、足ごしらえを済ませると山へ移動した。

ScreenShot_20130102_204011671.png

2013/01/08 17:17 [edit]

category: 死人の山の魔術師

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