Fri.

駆け抜ける風 5  

 その後、推測通りにレバーを動かすことで回転扇の仕掛けを動かしたパーティは、再び大扉の前に立っていた。
 罠も鍵もないことを確認し、ギルが扉を開ける。

「ほほう」

 見渡すと、部屋の中には何も置かれていないが壁には綺麗な彫刻が施されている。
 その視界の中をひょこひょこと横切ったエディンが、北の壁にある扉を調べ始めた。

ScreenShot_20121230_110436796.png

「・・・鍵が掛かっている。罠も・・・仕掛けられているぜ」

 ちょっと時間くれ、といったエディンがどっかりそこに腰をすえ、七つ道具を取り出して解除にかかる。
 他の仲間はやや焦れてきた。村人によると、ワールウインドなる名前がついたグリフォンは、夕刻に巣穴に帰ってゆく姿が何度も目撃されているのだ。

「・・・そろそろ帰ってきてもおかしくない。この先に奴がいるなら、前もって補助魔法をかけておこうぜ」

 ギルの囁きに頷いた面子が、それぞれ小声で詠唱を始める。
 魔力の輝きに包まれた一行が、「終わった」と言うエディンの手引きで奥へと進むと、通路の先から外の光が差し込んでいることに気づいた。
 その先に何か大きな生物の気配があることも。

「・・・いるよな」
「ああ」

 幼馴染コンビのやり取りを合図に、彼らは一気に北へ進んだ。

 遺跡の最深部はドーム上のホールになっていた。
 しかし、その天井は崩れ、瓦礫に埋もれた床には外の光が差している。
 天井を見上げればその先には丸く切り取られた青い空が広がっており、差し込んだ光が部屋の中央に丸い陽だまりを作り、石造りの女性像を幻想的に照らしていた。
 女性像をちらと眺めたジーニが、アレクに囁く。

「普通なら、ゆっくり見て回りたいとこだけども・・・・・・」
「ああ、あいつがいたんじゃな」

 そして、そのホールの壁際――。
 冒険者たちの入ってきた通路から丁度反対側に位置する場所にグリフォンが一頭、横たわっていた。

「・・・青い羽根のグリフォン――。あれが噂のワールウインド・・・・・・」

 アウロラの感心したような台詞にかぶせるように、エディンが武器を構えて言う。

「・・・あいつはここの崩れた天井から出入りしてやがったんだな。道理で遺跡の通路が封鎖されたままなわけだぜ」

 冒険者のその言葉が聞こえたのか、グリフォンは体を横たえたまま首だけをさっと持ち上げると澄んだ瞳でじっと此方を見つめてきた。
 その体は通常の個体よりも一回り大きく羽根は青く光を反射して、どこか畏敬の念すら覚えてしまいそうな不思議な存在感を示していた。
 アウロラが、何かに気づいてそっと注意を促した。

ScreenShot_20121230_111835500.png

「皆さん、見て下さい。あいつの後ろ――」

 壁が僅かに凹んで横穴になった場所に一行の視線が集中する。
 するとそこには、グリフォンが集めたのであろう、金銀に輝く財宝が山積みにされていた。

「・・・指輪があるとすれば、あの山の中に違いあるまい」
「・・・・・・でも、はいどうぞ、とは渡してくれそうにないけどなぁ」

 暢気な幼馴染コンビのやり取りが気に障ったのか、冒険者たちの視線が自らの宝に集まっている事を察してか。
 グリフォンは颯爽と立ち上がり、自身の財宝を守らんと身構える。

「――来るぞっ!」

 グリフォンは一度大きく翼をはばたかせて突風と共に空中に舞い上がると、大きく一声を上げてからこちらに襲い掛かってきた!

2013/01/04 05:01 [edit]

category: 駆け抜ける風

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