Thu.

死者の村へ・・・ 3  

「やはり我々は、別働隊として、ボルラスに直接戦いをいどむべきだと思います」
「そうか、やってくれるか!」

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 ギルの答えは別働隊の担当であった。作戦を提示したファイフル司祭が軍人のように喜色満面だったとは、後に聖戦士ラインが述懐することである。

 別働部隊は主力部隊に先発して、街道を北に迂回するルートを取り、戦場予定地裏の森に向っていた。
 行程は一日をついやした。
 細心の注意を払っていたからか、敵に発見されることなく進むことができた。

 アラン村裏手の森到着後、ファイフル司祭の手配による案内人の指示は明確で、”金狼の牙”たちにはありがたいことこの上なかった。

「あくまで道案内という契約なので、戦闘には参加しないがな」

と、案内人は言う。
 何でも盗賊ギルドのメンバーだとかで、それを聞いたアウロラは驚きを隠せなかったのだが、ファイフル司祭はどうやら盗賊ギルドにもちゃんとしたコネがあるらしい。

「ほんと、食えない司祭様ね・・・・・・」
「おかげで、僕ら迷わずに済むけどね」
「ここを出ればアラン村のすぐ北に出る事ができるぜ」

 小声で騒がしい冒険者をよそに、案内人はやっと見えた森の出口を指差しながら言った。
 頷いたラインが、ギルたちを振り返る。

「ここを出れば敵の裏手に出る事ができるはずです」
「ああ。そっちの兄さんも案内ありがとう。・・・よし、皆。魔法の支援が終わったら行くぞ」

 出口の外に溢れているだろう戦力を慮り、【祝福】や【蛙の迷彩】などの魔法を先にかけておく。
 エディンが銀の細剣の具合を確かめ終わったところで、彼らは森から走り出した。

 前方数百メートルの平原では、教会側の主力部隊とアンデットとが激しくぶつかりあっている。

「やったぜ!まさしくグッドタイミング!さて、敵の司令部は・・・・・・」

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 エディンが素早く目を走らせると、アンデットではなく、生きた人間が数人集まっているのが確認できた。

「よく見ればボルラスらしいローブ姿も見えますよ」

 聖戦士の指差した方向には、確かにボルラスらしきローブ姿が確認できる。
 彼等は前方の戦闘に気を奪われ、こちらにはまったく気がついていない様子だ。
 ギルが、手元の斧をブン!と音高く振り上げて号令した。

「よし!相手はこちらに気がついていないようだ。一気に攻め込むぞ!今度こそボルラスの息の根を止めてやる」
「おう!!」

 冒険者たちが姿を隠しながらボルラスに近づくと、ボルラスはかたわらの盗賊に何やら指示をだしていた。
 彼は何人かの護衛を付け、冒険者たちが通ってきた森のほうに引くつもりのようだ。

「まだ・・・・・・まだだ・・・・・・」

 タイミングは外せない。”金狼の牙”とラインは、ひたすらその時が訪れるのを待つ。
 そして彼らの目の前に、いよいよ仇敵が通りかかる。

「待てよ、ボルラス!」

 死人と生きている人間の団体が隠れている茂みにさしかかったところを、アレクの鋭い叱咤が止めた。
 行く手をさえぎるように全員が飛び出す。

「な、なに!?何故貴様等がこんな所に!!」

 すでに死人と化した顔を狼狽に歪ませて、ボルラスが叫ぶ。
 それを余裕の表情で見やったアレクが、朗々と戦闘を宣言した。
 今度の戦闘は神官戦士フリッツの敵討ちでもある。

「毎回毎回貴様の思う通りに行くとは限らないんだよ!今度こそ貴様の息の根を止めてやるぜ!!」
「・・・・・・クックック・・・・・・私とした事が貴方がたの事を少々甘く見過ぎたようですね・・・」

 精神的に建て直しを果たしたらしいボルラスが、手近の部下に散会を指示しながらにやりと哂う。

「しかし私に勝てるとでも思うのですか?」
「ええ、思うわ!いつもセコセコ逃げ回っている悪党なんかに負けるわけ無いじゃない!!」

 ボルラスの挑発に、あえてジーニは乗り、更に嘲笑まで付け加えた。
 まったく意地の悪い事をやらせたら、この女の右に出るものはそういない。
 激怒したボルラスは、「その自信、打ち砕いて差し上げましょう」と詠唱集中に入り始めた。

2013/01/03 02:20 [edit]

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