Thu.

死者の村へ・・・ 2  

 翌朝、聖北教会に到着した冒険者達が辺りを見回すと、聖戦士ラインをはじめ、ローブをまとった者や傭兵風の男たちが出発の準備をしていた。
 さっそく彼らは、ラインに近づいて挨拶する。

「おはよう、ライン。もう出発の準備はほとんどできているようだな」

 荷造りをした物を馬車に積みこんでいた聖戦士ラインは、冒険者たちが挨拶をすると、手を休めてこちらへやってきた。

「おはようございます皆さん。そうですね・・・・・・。もう準備はほとんど終っていますよ」
「そうか・・・・・・・・・。ところでざっと見回したんだが、ここにいる人数は15人位のようだな、この人数で出発するのか?」
「こちらからはこの人数です。ただし、聖西教会の方でも20人ほどの人数が集まっていますから、総勢35人と貴方がたが我々の戦力ですね」

ScreenShot_20121215_021834859.png

 アレクの質問にラインがよどみなく答える。
 その落ち着きぶりに首をかしげながら、ギルもラインに言った。

「了解したよ・・・・・・。ところで兵力の編成はどうなっているんだ?」
「そうですね・・・・・・。魔法が使える者が10人ほど、後はお金で雇った傭兵たちですね」
「ふむ。思ったよりマジックユーザが多いのか」
「もちろん貴方がたにも報酬が支払われます。まあ、800spといったところですが・・・」
「わかった。1000sp近くももらえれば上等だよ」

 そんな事を話しているうちに準備が整ったようだ。
 ラインに促され、荷物をもう一度担ぎ上げた冒険者達は、聖西教会に向った。
 
 行程は1週間ほど続き、やがて一行は目的地にようよう到着した。
 聖西教会にはすでに武装をした兵士たちが集結している。
 聖戦士ラインは聖西側の指導者らしい司祭と一言二言話をすると、冒険者たちに声をかけてきた。

「到着早々で申し訳ありませんが、早速戦術を説明するとの事なので、私について来て下さい」

 ラインはそういうと、聖西教会の司祭と教会に入っていった。
 ”金狼の牙”たちも、あわてて聖戦士ラインについて中に入った。
 石造りのごく質素な部屋の中に、茶色い髪を司祭用の帽子におさめ、青い司祭服を着込んだ壮年の男性が立っている。

「こちらが聖西教会のファイフル司祭です」
「ご協力感謝する。私はこの出兵の指揮を任されているファイフルです。どうぞ宜しく」

 ファイフル司祭は、威厳らしいものも漂ってはいたが、親しみやすい笑顔で冒険者たちに話しかけてくれた。
 ギルが、幾分か緊張していた肩から力を抜き、彼の差し出す手を握り締める。

「はい、こちらこそ宜しくお願いします」
「それでは現在の状況と、戦術の説明を始める」

 そこから先は、まるで大国の軍隊のような作戦会議だった。
 ファイフル司祭の親しみやすさは鳴りを潜め、呆気にとられた冒険者を無視し、うむを言わせぬ調子で話を進めていく。

 斥候の調査によると、アラン村に集結している敵勢力(ボルラスのもの)はゾンビーを主力とし、数人の魔術師と盗賊で編成されている、らしい。
 ボルラスはアラン村の住民だけではなく土地の墓地を暴き、その戦力を増強しているという。
 その数、アンデットが80~100体、魔術師や盗賊が合わせて10~15人程度。
 対して教会側の戦力は、冒険者たちを合わせても40人強・・・。
 質は高いものの、果たして対抗しきれるのかどうか。

 ジーニが、ファイフル司祭の豹変振りにまだついていけない様子ながらも

「え、えっと、それで、アラン村にはボルラスがいるのでしょうか?」

と問う。

「うむ、先日の報告では、指導者らしき者がアンデットだったと聞いた、多分それがボルラスだろう・・・」
「ボルラスはまだアラン村にいるって事が・・・・・・。今度こそ取り逃がさないようにしなくては!」

 エディンが心底忌々しげに両手を打ち合わせると、素早くファイフル司祭が同意する。

「その通りだ。そこで一つの戦術を取る事を提案する」

 その戦術とは、陽動作戦のアレンジだった。
 まず自軍を主力と別働部隊の二手に分ける。
 別働部隊は戦闘力の高さをふまえ、冒険者たちと聖戦士ラインで編成する。
 主力は街道を通り、直線的に戦場予定地に向う。
 別働部隊は戦場予定地を大きく北に迂回し、戦場の更に西にある森を抜け、直接敵指令部に攻撃をしかける。

「ふーん、なるほどねえ・・・・・・」
「別働部隊によって敵指令部を一気に叩く、か。ただでさえ寡兵な軍の戦力を分割するんだ、返り討ちの可能性は捨て切れんぞ、リーダー」
「司祭の話では、主力のみで十分アンデットの足止めはできるらしいからな。俺たちのルートに敵戦力が展開している可能性は少ないみたいだが」

 感心したように腕を組むジーニを間に挟み、エディンとアレクが向かい側に座るギルへ話しかける。

「さて、別働部隊を担当するか、全兵力を集結させて攻め込むのか、最終的にどうするかは、君たちが決めてくれたまえ」

 ファイフル司祭が机上の地図を広げたまま、冒険者たちに決断を促した。

2013/01/03 02:18 [edit]

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