Fri.

緊急の依頼にてその4  

「やはり――」

 ガウスは得心がいったような顔でそっと目を閉じた。

「アレは本当だったようだな…。人間よ…ここまで来るとは」

 彼が”森閑の悪魔”に聞いていた情報は、間違いなかったのだ。
 支配している魔獣たちが全滅したことを感知し、ガウスはぐるりと周囲を見渡した。
 実に稚拙な悪魔や魔獣たちを召喚するための魔法陣。
 召喚した対象を研究し、解剖し、合成し尽すことを意図した設備。
 相手の魔力を抑えるために拵えられた、いくつかの魔法の品。
 ただの人間族”ごとき”が、彼ら魔界の住民に対して分かりやすく形にした悪意であった。

緊急依頼10

「このようなもの、人間には相応しくない…実に相応しくない…」

 誇り高き魔界の住民にとって、こんな施設は放置しておいていいものではない。
 ガウスの掌に、最初に呼び出した人間たちを殲滅した時よりも大きな炎が集まりだす。

「この建物ごと、破壊して――」
「そこまでです」

 悪魔の破壊活動を止めたのは、静かでよく響く魔術師の声だった。
 落ち着いた挙措で、慌てることもなく足音がこちらへと向かってくる。
 青白い月光に照らされていたのは、先ほどCブロックで魔獣と対決していた人間たちだった。
 その後ろには、ガウスがまだ顔を会わせてもいなかった者たちが若者たちが4名、こちらに厳しい視線を向けている。
 背中の大剣を鞘から外し、金髪の青年――ラファエロは、ガウスへと口火を切った。

「親玉さん。あんたの子分は全滅だ。残るはあんただけ。今から全てなかったことにして、逃げるのも悪くないと思うが…」
「いえいえいえ、そうするつもりはありませんよ」

 ウィルバーは目の前の魔族が、容易ならざる敵であることに気付いていた。
 恐らくはラファエロもそれを感じ取っていて、退却の道があることを相手にさり気なくアピールしているのかもしれないが、ここで施設の目的を知るガウスを逃せば、依頼主側にとって大きな禍根が残るだろう。

「これはこれは…。あの名高き冒険者たち」

 黒いローブを押し殺した笑いで揺らしつつ、魔族は嘲る形に口を歪めた。

「さすがは……というべきか」
「そんな名高い冒険者とやらを前にして、ずいぶんと余裕なのね」
「くくくっ、…ごもっとも」

 そうエレンに言いながらも、相手は余裕の笑みを崩さない。

「あの召喚獣を倒すとは、噂通り、少しは骨のある人間らしいな」

 一歩、冒険者たちの方へ踏み出す。
 その途端、彼の踏みしめた一点から、じわじわとこちらを侵蝕するように溢れていくものがある。

(これ――魔力じゃない。瘴気だ……!)

 気付いたシシリーが眉間に皺を寄せ、一気に愛剣を抜き放った。
 つう、とこめかみに汗が伝う。

「だが――所詮は人間……。我の敵ではないわ」
「確かに、ね。私たちは所詮は人間――」

 でも、とリーダーの少女の言葉を引き継いだのは、凛とした眼差しで敵を睨みつけるミカだった。

「されど人間――私たち人間に、不可能はないわ」
「戯言だ!ならば…見せてやろう―――。”本当の力”というものを」

 瘴気の触手が部屋の片隅に伸びて、そこに転がっていた魔法具に絡みつく。
 ガウスの力に侵された球体が4つ、不穏なオレンジと緑に輝き、浮遊して魔族の周りを旋回し始めた。

「人間の力では達し得ることの出来ない力というものを――」

 初めて――ここで、ガウスがフードに包まれていた頭部を露にする。
 ちかちかする魔力光で上から照らされている男は、赤い双眸に愉悦と殺戮の予感を湛え、怪しいまでの美貌を陶然とした表情で彩っていた。

「さあ、人間たちよ。ここで終わりにしてやろう」

 ガウスの言葉に呼応して一気に輝きを増した4つの魔の球体に、いつでも飛びだせる体勢を整えていたナイトが、

「あの魔法具から破壊した方がよさそうだな」

と雪馬を呼び出して再び跨った。
 小さく頷いたアンジェが、腕輪から糸を引き出す。

「どう考えても、何か仕掛けの核になってそうだもんね。あの銀色うねうねスライムと一緒っぽいもん」
「来てくれ、シシリー。あなたの剣ならば、魔法具を壊すことに向いているだろう」
「そうね、やるとしますか」

 言葉を交わす旗を掲げる爪の目の前で、レナードの制止を振り切ったエレンが槍のチャージでガウスを貫こうとするが、目に見えない魔法防壁にぶつかって走ってきた方向へと飛ばされる。

「なんですって!?」
「所詮は人間の力。我に触れることすら不可能」
「しゃがんで下さい、エレン!」

 咄嗟に身を伏せたエレンの5センチ上すれすれを、血のように真っ赤な花弁が豪気な風に乗って行き過ぎる。
 肉ある身体ならば容赦なく切り裂く花びらは、魔の球体の表面を削り取りながらも、やはりエレンの攻撃のように防壁に弾かれてしまった。
 攻撃魔法を放ったミカが、≪喜びの緑≫に再び魔力回路を構成しながら指摘する。

「あの球体……結界魔法の術式の他に、何か他の魔法を仕込んであります!」
「壊しちまえばいいんだろ!?」

 仲間の言葉に発奮したロンドは、スコップの平面を思い切り叩きつける。
 うっすらとしか入らないひびに舌打ちした。
 その後ろから雪の馬に騎乗して剣を振りかざしたナイトが、同じ球体へと武器を振るう。
 ただの剣ではない――長い時を生きてきたドラゴンが、自分の息吹を刃に写した魔法の武器である。
 魔法を解除する力が、しばし不可視の壁とせめぎあっていたが、やがて薄いグラスを割るような儚げな音が響き、魔族の自失を引き起こした。

「馬鹿な……!?たかが冒険者が我が結界を剣の魔法で打ち破るなど――」

 苛立ったガウスは、球体に人間では発音不可の指令を出す。
 それに操られた魔法具が、冒険者たちに二度、魔力のパルスを飛ばした。
 最初の波動で爆発を受けたような衝撃が身体に走り――続いて、身体に宿る精気を吸い取るような脱力感が襲ってくる。

「くっ……あまり戦いを長引かせられませんね……」

 呻いたレナードが途切れてしまった呪文をもう一度編み直し、ラファエロたちのいる効果範囲に回復魔法を発動させると、背中に負っていた用途不明の棒を構えたユイノが、ついにその真価を発揮した。

緊急依頼11

「いきますっ――。墨薙!!」

 彼女のかざした毛のついた棒――筆――から、黒いインクらしきもので書かれた見慣れぬ文字が溢れ出し、帯のように波打って球体とガウス自身を薙ぎ倒していく。
 魔族は今まで受けたことのない魔法に驚愕した。

「結界を貫通してきただと!?一体、貴様――!?」
「人間を――舐めるな!!」

 旅の初期から唱え続けてきた死霊術を、ウィルバーが叩きつける。
 人の霊魂たちは球体に絡みつき、動きを抑制するように締め上げていくのを、馬で駆けつけたナイトがまた壊してしまった。

「おのれええぇ!」

 ガウスの赤い目から鞭のように飛び出した黒い魔力が、シシリーを金縛りにする。

「う……あ……」
「シシリーさんっ!」

 自分の魔法の発動体に魔力を上手く呼応させたミカは、身につけたばかりの呪文を唱えた。

「この場に来たれ、原初の森に宿る木霊たちよ!我が同胞に森を駆ける自由を!」

 【木霊の呼声】――あの黄昏の森に宿る木霊を召喚し、味方の金縛りや沈黙などの異常を解除する魔法である。 
 やっと動くようになったシシリーの碧眼の前で、ラファエロとユイノ、ロンドが呼吸と力を合わせて、動きの鈍っていた球体を破壊した。
 結界が一部崩壊し、力を失っていく。
 最後の一つをナイトが破壊し、ガウスを覆っていた結界魔法が消え失せようとしている。

「我が結界を打ち破るとは…少しはやるようだな…だが、調子に乗るなよ――!」
「お褒めにあずかり光栄の至り」

 ナイトは弄うようにして魔族に応えたが、ガウスのそれは負け惜しみから来る発言ではなかった。

「MΨMAΨMYMHNMYΨAYMLMW!」

 発音された不吉な詠唱に操られるように、部屋に差し込む月光のある一点から光が膨張を始める。
 魔族を取り囲む冒険者たちのちょうど中間地点で構成された魔力の集中点は、途轍もないエネルギーを内包しながら見る見るうちに膨らんでいく。
 まずい、と誰もが思った。
 これは広範囲への攻撃魔法――それも、光を介しているために回避する手段がない。
 大爆発を予測して身構えた冒険者たちに、ふわりと薄紅色の花弁が降ってきた。
 ハッとなったアンジェが仲間を見やると、ミカが両手を組んで一心不乱に防御魔法を唱えている。
 ガウスの唱えた上級の攻撃魔法は、闇をも吹き飛ばす勢いで旗を掲げる爪やラファエロたちを叩いたが――重傷に陥る者もなく、ミカの防護がぎりぎり耐え切ってくれた。
 自らのダメージが大したものじゃないと一番早くに見切ったロンドが、スコップを鋭く振り抜く。
 彼の燃え盛るスコップが渾身の一撃となってガウスを叩いたが、彼は相変わらず、平然とした表情を崩さない。

「なるほど…どうやら、思った以上にやるようだな……」
「血も……出ないのか……」

 驚きを隠せないロンドに、ニヤリと笑ったガウスが自分に刺さったままのスコップの柄を掴み、”ロンドごと”持ち上げる。

「何っ!?」
「ロンド!!」

 悲鳴を上げるシシリーたちの前で、ロンドは愛用の武器ごと部屋の隅へとぶん投げられた。
 身体を直前に丸めて勢いを殺したロンドだったが、さすがに自分を苦もなく持ち上げるとは思っていなかったために、厳つい顔が呆然となっている。
 そんな彼の視線の先で、ゆらり、とローブの姿がよろめいた。
 表に出さなかっただけで、やはりダメージは蓄積していたのだ――と思ったエレンが、今がチャンスと見て、折れた槍を捨てて腰の二刀を構えて挑発する。

「それは、言い訳?なら、さっさと本気出して掛かってきなさいよ。それとも、もう尻尾巻いて帰る?」
「威勢のいい人間の女よ。だが、これを見てもそうしていられるかな?」

 ガウスのよろめいていた体が、不自然に脈打つ。
 異変を察知したユイノが、慌ててエレンの袖を掴んで下がらせた。
 背中が奇妙な形に丸まり――見る見るうちに、そこが膨らんで破裂する。

「なっ――」

 あまりのことに言葉を失ったシシリーの前で、魔族としての”本性”を現したガウス、すなわちドラゴンのような巨体と悪魔にとって当然の魔力を併せ持つ存在は、黒い翼を力強く羽ばたかせて笑った。

「私の前に立ちはだかるとは、愚かだな、人間よ」

 鋭い先端を持つ尻尾がうねり、ぶわりと魔族が宙に舞う。

緊急依頼12

「楽には死なせん――」

 巨体にも関わらず、高速で急降下をしたガウスが、ウィルバーに狙いを定めて突進してきた。
 反応が間に合わず、≪銀のブローチ≫の力を借りても到底回避できるものではない。

「くっ――まずい!」

 ウィルバーは何とかまともに突進を喰らわないよう懸命に逃げたが、翼に引っ掛けられるようにして、隅に置かれている机ごと床に叩きつけられた。

「ぐはっ」
「ウィルバーあああ!」
「よくもおっちゃんを……!」

 アンジェが蛇の毒を塗ったナイフを突き立てたが、ガウスに麻痺毒が効いている様子はない。
 逆に巨大なドラゴンに酷似した顔が目の前に迫り、一口に飲まれそうになるのを、辛うじて雪の馬で突進してきたナイトによって弾き飛ばされ、小さな身体が庇われた。
 硬い鎧を口に咥えたガウスは、天井に向かってナイトの巨躯を放り投げる。

「ぐおおおおお!」

 さしものリビングメイルも、こんな衝撃を正面から止められるはずもない。
 たちまち、ウィルバーとは反対側へ転がされ、大量の石材によって潰されてしまった。
 なんとか脚に斬りつけたシシリーも、動きの止まったところを狙われて口に咥えられる。

「ああああああ!」
「シシリーを離せ!」

 慌てて近寄ったロンドがどうにか愛用の武器をガウスの牙の並ぶ口に突っ込み、てこの原理でこじ開けると、シシリーは辛うじて息はしているが、気絶している状態だった。
 さらに、時空魔法を発生させて冒険者数名をその場に束縛したガウスは、鉤爪を振るって一気にパーティを半壊させる。
 強烈な衝撃に耐え切れず膝をついたラファエロが大剣を杖に立ち上がろうとしていると、目をつけたガウスが尻尾を容赦なく振り下ろす。
 二刀で辛うじてそれを防いでリーダーを庇ったエレンが、腕の折れそうな強力に呻いた。
 じりじりと体ごと後ろへ押されていく。

「なんてやつなの……!」
「あきらめんじゃ……ねええええー!!!」

 闘志を漲らせたスコップが、不浄な存在も貫く切っ先で、エレンと拮抗する鱗に覆われた腕を裂く。
 ロンドが気合と共に振り下ろした攻撃に気をとられ、まんまと後ろを向いたガウスの尻尾を、先ほどの衝撃から何とか立ち直ったウィルバーが、【エル・レナル】による白と緑に彩られた魔力弾で抉った。

「グァァァァ―――!」

 天井にいささか遮られながらも、素早い動きで上下に自在に動いていたガウスが尻尾を切られたことでバランスを失い、地面に激突―――大きく体勢を崩した。
 このタイミングで、部屋に月光とは違う温かな色味の光が満ちる。
 レナードの味方全体に拡大した回復魔法の発動である。
 自分の仲間だけでなく、旗を掲げる爪をも範囲に入れながらレナードが叫んだ。

「今が攻撃のチャンスです!」
「言われるまでもなく――!」

 傷が薄れ、不可視の魔法のバリアが張られたロンドが曲刀を抜き、地を蹴って左の翼に振り下ろす。
 黒い皮膜に包まれた翼は、砂漠の巫女の曲刀によって焦げながら切り裂かれた。
 気絶していたシシリーもレナードの広範囲への回復魔法で息を吹き返し、ウィルバーが唱えた【至る道】の死霊術による癒しと、鉱精ユークレースの注ぎ込む癒しの力が、さらに彼女の背中や胸に致命傷に近い形で刻まれた傷を癒していく。
 続けざまに【死の呪言】をウィルバーが唱え、さらなるダメージを蓄積していく。
 己の魔力が死霊たちをかつてないほど大量に呼び寄せ、≪海の呼び声≫を通して魔力回路に組み込まれていく。

「こんなにこの力を大盤振る舞いしたのは、初めてですよ――!」
「おのれ、小賢しい!」
「ぐあっ!!」

 ウィルバーは、苦し紛れに暴れ始めたガウスの翼によって再度床に叩きつけられた。
 しかし、トドメを刺されるのかと覚悟していると、一向にその気配がない。
 気絶しそうになる意識を叱咤して、何とか薄目を開けると、ぎりぎりのタイミングで飛び込んできたラファエロが、ウィルバーに落ちかかろうとしていた鉤爪を大剣ひとつで受け止めている。

「私は……悪運が強いみたいです……ね……」

 危ういところで命を拾った魔術師は、その画を目撃してからとうとう気を失った。
 共同戦線を張っている相手を庇いながら、ラファエロが――彼は最初から相手の動きを止めるのが目的であったから――好機だと叫ぶ。

「くっ……ユイノ、今だ!」
「そこっ――墨潰!!」

というユイノの発動の合図と共に大量の墨汁が舞い踊る。
 刹那、ドラゴン体のガウスの頭よりも巨大な拳が描かれ、魔族の巨躯を横から殴りつけた。
 墨の拳が巨体にめり込み、ゴリゴリといやな音を立てている。 
 重々しい音が響き、ナイトが極光による聖なる光を帯びた刃で、今にも回復能力を起動しようとしていた翼をずたずたにする。
 さらに畳み込むようにしてシシリーの≪Beginning≫が、下からすくい上げるようにしてガウスの頭を薙いでから、すかさず闘気の宿った刃を頬へ突き込む。城館の街セレネフィアの【陽炎】の剣技であった。
 そして、シシリーは死角に入っていたロンドに合図を送った。

「うおおおおお!」

緊急依頼14

「な………!?」

 生来の大声で他を圧しつつ彼は、単純で距離の短い攻撃――刺突によってガウスの眉間を貫く。
 鉄板に無理矢理ネジを突き立てるような硬い衝撃が阻みはしたものの、ロンドの攻撃は敵の命を確実に奪っていた。
 力を込めれば貴婦人のウェスト並に太くなる腕にしびれを受けながら、ロンドが二歩たたらを踏むと、

「こんな……はずは……!?」

という悲鳴と共に、ガウスの巨体が黒い粒子となって魔法陣へと吸い込まれていく。
 人間の世界に現出していられぬほどのダメージを受けたのである。

「お前の世界へ帰れ、魔族!」
「ウガァアァァァァァァァ……!!」

 膝をつきながらスコップの先端を突きつけられたガウスは、なすすべもなくそのまま四散した。
 辛うじて勝利した冒険者たちは、その場にへたり込んでしまいたかったが、まだ気絶している者や重傷な者も多い。
 もてる手段をフル活用して、まず傷を癒すべきだった。

「……強い、敵だったね」
「ああ……」

 回復の手段を持たないアンジェの言葉に、同じやることのないロンドが首を縦に振る。

「こんなにやばいのは、久々だったな」
「それでも、生きてる。兄ちゃんも、あたしも」
「ぎりぎりだったけどな」

 ウィルバーやナイトが、シシリーとミカの治療を受けてどうにか自分で歩ける程度まで回復していくのを憂い顔で見守っていたアンジェだったが、思い直したようにウィンクしてみせた。

「さ、帰ろうよ。親父さん、きっと心配して待ってるよ!」

 その言葉に促され、渋々膝を伸ばして立ったロンドは、近くにいたラファエロに手を差し出した。
 
「あんたたちと共同戦線だったおかげで、勝てたようなもんだ。ありがとう」
「こちらこそ、だ。数々の武闘大会で優勝してきた経歴はあるけど、今回みたいなめちゃくちゃな敵だと、勝手が分かりづらくてね。助かったよ」
「リューンの冒険者じゃないんだろう?どっから来たんだ?」
「北のレイファン王国――って知っているか?」

 彼ら3名はロイヴァルンというパーティ名で、宗教都市ラーデックの北から西北あたりにかけて凄まじいスピードで冒険を繰り返してきたらしい。
 その合間に武闘都市エランなどの闘技場に参加して戦いの腕を磨きぬいたというのだから、若いに似合わず大した実力者なのも当たり前と言えば言えた。

「ふむ…そんなにすごい冒険者だったのか」

 火傷の痕が残る顎に手をやったロンドが感心したように呟くと、傍らで黙って話を聞いていたレナードが微笑んで横槍を入れる。

「まぁ、噂は当てにしないことです。現実は少しばかり違いますからね。あなた達だって、そういう経験…ありませんか?」
「言われてみれば確かにあるかもしれない」
「そうそう、そんなもんだよ」

 逞しい背中を叩くと、彼は剣を鞘に収めてエレンに肩を貸した。
 彼女は怪我が少ないものの、無茶な動きで疲労が激しいようである。
 それを見て、旗を掲げる爪たちもそれぞれ出口へと向かった。
 この後、彼らは1パーティにつき銀貨二千枚もの高収入を得たが、狼の隠れ家にて珈琲タイムを楽しんだ後に打ち上げパーティをし、酔っ払って大騒ぎを引き起こした。
 挙句、五百枚ずつ弁償代を払う羽目に陥るのだが――まあ、余談である。

※収入:1500sp
※支出:罪深い赤薔薇の人様作見習いの研究室の≪現実≫宿置きより7000spで購入
※その他:
※RE様作、緊急の依頼にてクリア!
--------------------------------------------------------
67回目のお仕事は、前パーティで検討して選択しなかったRE様の緊急の依頼にてです。
金狼の牙ではある理由から(敵意の雨のリプレイをご覧下さい)外しましたが、今ならレベル範囲内だし、彼らはこういう依頼が向いているだろうと思って遊ばせて頂きました。
いや、確かにレベル範囲内だったけど――戦闘、辛っ!!
パーティ全員に束縛魔法を掛けてくるし、沈黙は属性的に効かないし、【吹き飛ばし】は結構な高確率で味方一人がリバースされて無力化されてしまうし……せっかくリバースから戻ってきた仲間が、また【吹き飛ばし】でいなくなった時には泣くかと思いました。戻ってきた時は意識不明でしたし。
ま、分かっててプレイしたんですけどね(笑)。
ただ、このシナリオにおける見せ場も戦闘シーンであることは確かです。
ユイノの墨汁を使った魔法は、色々演出がバトルに組み込まれていまして、竜やら手から溢れる経文やら、色とりどりのスキル絵に彩られた攻撃がかっこいい!
もしも、この東方からの技術に興味を持ったプレイヤーさんがいらっしゃいましたら朗報です。
二回目は店シナリオとしてプレイすることが可能でございます。
ちょっと親しくなったユイノ本人から、色々と習ってみてください。

シナリオ本編では、ガウスさん、実はちょっとした目的を持って研究施設に現れたらしいんですが……リプレイでは、うっかりテーゼンが口を滑らせたばかりに、冒険者そのものに興味をもったことに変更。
さらにクロスオーバーに関しては5つのシナリオ対応があるのですが、旗を掲げる爪だと称号がないので、こちらで勝手にクロスさせてしまった作品がございます。

魔王ディアーゼとその軍勢=JJ様の敵意の雨
アポクリファ=吹雪様の迷宮のアポクリファ
骨喰らいの悪魔=春秋村道の駅様のダーフィットの日記
太古の悪霊と並び称される古き血族&霧の立ち込める街レンドル=イーグル様の霧を抱く…
最果ての魔女=ニョロ様の最果ての魔女
黄昏の森の大妖魔=vip_de_yare様の黄昏の森の妖魔
銀色うねうねスライム=つちくれ様のThrough the hole

他にも、キャラクターの唱える魔法やアイテムの中に冒険の中で手に入れた物が多く、戦っている最中でも「ああ、この子達の軌跡だなあ」としみじみしてました。
立て続けに死霊術使ったウィルバーさんとかね……大っぴらに死霊術だって言えないので、誤魔化してセリフ喋らせてますが。
なお、NPCのラファエロさんがミカをからかい混じりに口説いてますが、彼はこんなに軽い性格ではないんじゃないかと思ってます。ただ、ランダム選択でミカに対していきなり声を掛けたので、ちょっとこういうことがあってもいいかなと思ってやってしまいました。
作者様がご不快でしたら申し訳ございません。

当リプレイはGroupAsk製作のフリーソフト『Card Wirth』を基にしたリプレイ小説です。
著作権はそれぞれのシナリオの製作者様にあります。
また小説内で用いられたスキル、アイテム、キャスト、召喚獣等は、それぞれの製作者様にあります。使用されている画像の著作権者様へ、問題がありましたら、大変お手数ですがご連絡をお願いいたします。適切に対処いたします。

2017/04/14 12:58 [edit]

category: 緊急の依頼にて

tb: --   cm: 1

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 |  # | 2017/10/22 20:04 | edit

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