Sun.

主なき人形 3  

 青年が招いた彼の自宅の中は驚いた事に酒場のカウンターだった。
 冒険者が青年を見やると、悪戯っぽく微笑を浮かべている。

「言い忘れてましたが、私はこの村の酒場を営んでおりまして。勿論お代は結構ですよ」
「・・・それで、依頼の内容は?」

 出された茶を傾けて一息ついたミナスが切り出した。

ScreenShot_20121210_161035593.png

 ルーシーは呆れた表情になった。

「・・・まさか、私の依頼の最中に村の依頼を受けるつもり?」
「蔵書を見せてもらうなら数日はかかるんじゃない?その間暇を持て余すのもどうかと思ったのよ」

 けろりとした様子でジーニが説明し、ルーシーはますます呆れ顔になったが納得したようだ。
 しかし、青年が話し始めたその依頼の内容というのは、イアンとも関わりの深い案件だった。

 魔術師イアンは、なんとこの村で掘削用ゴーレムの開発に生前、成功していたのだという。
 ゴーレムは古代文明時、警備用に製作されたもの。それゆえ、現代の技術もその分野に特化しているそうで、魔術師イアンがゴーレムに掘削を行わせる事ができたのは画期的な研究の成果だと言っていたらしい。
 「ところが」と、青年は顔をゆがめて続けた。

「イアンさんが亡くなられた事でそれらのゴーレムは動きを停止してしまいました」
「炭鉱の村にとっては死活問題だな」
「・・・それだけならよいのですが、ゴーレムの内の一体が炭坑内で暴走し始めたのです。これには困り果てました」

 アレクの相槌に少し間が空いたものの、青年は頷いて言った。

「そこで、村民の総意で冒険者の方々を雇い、ゴーレムを破壊してもらおうとそういう次第になったのです」

 ジーニが、現実的な彼女らしく腕を組んで応じる。

ScreenShot_20121210_162243687.png

「・・・事情はわかったけど。依頼を受けるか受けないかは村長と話してからにするわ」
「言い忘れていましたが、私はこの村の村長も努めておりまして。親の七光りではありますが」
「これはしてやられたな」

 ギルは快活に笑った。
 報酬は600spが精一杯だと言う。条件としては相場より安い気がするが、この鉱山以外何も無い小村で暇を持て余すよりはましだろうと、”金狼の牙”たちは依頼を受けることにした。
 休息はこの酒場を自由に使って構わないという。
 炭坑の場所やイアンの家を教えて貰った一行は、早速出かけることにした。

2012/12/30 13:00 [edit]

category: 主なき人形

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