Sun.

主なき人形 2  


 炭鉱の村オデッサに到着した一行は、辺りをゆっくりと見渡した。
 オデッサ炭鉱はさして有名でもない、小規模な鉱山である。
 そのため、炭鉱が発見された後に村が成立しても、町には発展しなかった。
 村民は大半が鉱夫とその妻、子供達であると言って差支えない。
 流れ者の寄り集まった村、それがこの炭鉱の村オデッサだった。

 軋みをあげる水車や茅葺き屋根の家々を眺めていたルーシーが、ぽつりと言った。

「・・・イアンさんはこの村の小屋にこもって研究をしているらしいわ」

 魔術師イアン。
 ルーシーの父と違い、古典的とも言える石のゴーレムを研究しているコンストラクターだという話だ。

「・・・まずは村の人にイアンさんの家の場所を聞いてみるとするか」

ScreenShot_20121210_155153828.png

 リーダーらしく意見を言ったギルに仲間たちは頷き、辺りに村人がいないか探し始めた。
 すると、村民らしい青年が薪割りに精を出していたのが見える。

「・・・失礼」
「・・・はい、何でしょう?」

 ギルは、なるべく彼を脅かさないよう武器を隠しつつ、青年の後ろから控え目に声をかけた。
 その茶髪に緑の目と衣装が印象的な青年は、整った顔を困惑の色に染めていたが、やがて納得したように口を開いた。

「ああ、もしや依頼を受けてくださる・・・」
「・・・依頼?」

 青年の言葉を聞いて、アレクは怪訝そうな顔をする。
 少し顔を見合わせた後、思い切ったようにルーシーが、

「私達はイアンさんという魔術師に会いにきたのだけど」

と、自分達の目的を告げた。

「・・・イアンさんに?これは失礼、依頼の張り紙を先日出したものですから、その方々とばかり・・・」

 イアンに会いにきた用件を聞かれ、ルーシーが詳細を説明すると、青年は残念そうに眉をひそめ、目的の人物が亡くなっていることを一行に教えた。
 思わぬ凶報に、素っ頓狂な声を上げるルーシーを見つめ、アレクは自分の頭を撫でた。

「・・・まいったな。どうする、帰るのか?」
「ちょ、ちょっと待って。イアンさんの蔵書の一部をいただけるかもしれないわ」
「たくましいですね。先に墓参りでもするのが学友の娘の務めでしょう?」

 聖職者らしく、礼儀と年功序列にうるさいアウロラがそう言って少女を軽く睨む。

「うっ・・・」

 ルーシーはそのまま沈黙し、青年にちらちらと視線を送る。

「お墓参りですか。よければご案内しますが、お疲れではありませんか?」
「んー。僕、もう歩きつかれちゃった」
「・・・・・・ま、確かにちょっとした強行軍だったしな」
「先に私の家で茶でも召し上がってください」

 ぷっくりと頬を膨らませるミナスに、エディンが同意するように口を添える。
 その様子を微笑ましげに眺めた青年が、休憩を取るよう薦めてくれた。
 続けてそっと笑って言う。

「お時間があるなら先の依頼の話でも・・・」
「・・・ああ、なるほど」

 アレクが青年の如才なさに感心した。

2012/12/30 12:57 [edit]

category: 主なき人形

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