Wed.

血塗られた村 3  

 行程は1週間ほど続いた。

「ここが問題の村だと思うのですが・・・・・・」

 村の入り口に入った瞬間、一向はその異常さに気がついた。
 ここには生きている人間の生気が無い・・・・・・。
 案の定、村を歩き回っても子供達の声などは聞こえてくる事も無く、透き通るような青空がかえってその不気味さを強調していた・・・・・・。
 ミナスが尖った耳の先をぴくりと動かす。

「精霊たちの声が聞こえない・・・・・・」
「なんなの・・・。これ・・・・・・・・・」

 寒気を感じたように身を震わせたジーニの怯えを打ち砕くように、ラインが声を上げる。

「こんな馬鹿な!このアラン村には30人ほどの人々が、生活していたはず!」
「・・・・・・何かのトラブルがあって、身を隠しているのかもしれない。まずは、村人を探そう」

 ギルが言うと、全員が頷く。
 そして小1時間ほど、人を求めて歩き回った一行だったが人影はまるでない。
 青い目に焦燥をにじませてラインが言う。

「う~ん、いったいどうなっているんだ・・・・・・。一度聖西教会の方へ行って話を聞いてみましょうか?」
「そうだよね、これじゃあ状況が掴めないものな・・・・・・」

 ミナスが呟く。他の仲間もあえて何も言わなかったが、ラインの意見に賛成らしく、教会の場所を彼に尋ねる。
 一行はここからしばらく離れた、聖西教会に向うことにした。

 辺りはいつのまにか暗くなり一行は交替で見張りを決め、キャンプをはることにした。
 見張りは、自衛もでき気配に鋭いアレクが勤めることになった。

「・・・・・・・・・・・・」

 しばらくして。
 仲間たちが健やかな寝息を立てる中、アレクは端麗な顔を焚き火の明かりに晒しながら、鋭い視線で辺りをうかがった。
 耳をすますと、カサカサと草むらが不自然にゆれる音がする。

「・・・・・・・・・?」

ScreenShot_20121205_210639937.png

 訝しげにアレクが剣の柄を握った瞬間、4体のゾンビがそこから飛び出してきた!

「くっ!!」

 とっさに抜き放った剣で1体を退治したものの、アレクの隙を狙い他のゾンビたちが仲間に襲い掛かる。

「起きろ!敵だ!」

 ギルとエディンがその声に跳ね起き、反応し損ねたアウロラとミナスをそれぞれ庇う。
 ジーニはどうにかゾンビの攻撃を杖で受け止めたが、防ぎきれずに腕を傷つけられた。

「痛いじゃないの!」
「すまない、ジーニ。声を掛けるのが遅かった・・・」
「まあいいさ、ゾンビならそんなに時間もかからないだろ。おい、アウロラ起きろよ、お前の専門だぞ」
「うー・・・んん・・・・・・??」

ScreenShot_20121205_210702296.png

 ギルがアウロラを揺り起こすが、中々目を覚まさない。
 ため息をついたギルが、斧を構えて向き直った。

「仕方ねえなあ」

 ゾンビとの戦いは、ギルの予測どおり程なく終わりを告げた。
 アレクが首をかしげる。

「なんだったんだ?」

 その横でエディンが、しきりと頭を振っている。

「なんだ・・・・・・?眠気が・・・」
「しまったっ。【眠りの雲】だ・・・・・・わ・・・・・・」

 死霊術士の杖を握り締め呪文に抵抗しようとしたジーニだったが、あまりの魔力の強さに抗えず、杖にもたれかかる様に眠ってしまう。
 他の冒険者たちも深い眠りに落ちていった・・・・・・。
 がさり、とゾンビが飛び出たのと反対側の茂みから、藍色のローブに身を包んだ老人が現われる。

「なんだこいつらは?・・・・・・戦力になるかもしれんし、ボルラス様に判断を仰がねばな・・・・・・」

 そして振り返り命じる。

「おい、お前等はこいつらを牢に入れておけ!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 うつろな目を瞬かせることも無く、生きた死体は老人の命に頷いた。

2012/12/12 21:00 [edit]

category: 血塗られた村

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