Thu.

霧を抱く…その6  

「あら?罠ね。危うく引っかかるところだったわ」
「これで罠、いくつ目でしょうか?」
「多分3個……いや、4個目だったかな」

 ムルが肩に乗せてもらっているロンドが、顎を撫でながら妖精の疑問に頭を捻った。
 グラスの遺した言葉にあった『古城』――所々が経年劣化で崩れているものの、まだ立派に住居として使うことの出来る石造りの、本当の城である。
 さすが盗賊団のねぐらに利用された建物と言うべきだろうか、途中には高度なトラップがたびたび仕掛けてられており、やむを得ず先ほどから、アンジェが頑張って盗賊の腕前をフル回転している。
 ここに入ってどのくらい時が過ぎたのか、傾いた太陽を窓から見たシシリーは、完全に暗くなる前に出たいものだと思った。
 きょろきょろと辺りを見回していた老婆が言う。

「思ったより中は綺麗じゃのう」
「行方不明事件が多発する少し前に、この古城が、ある大きな盗賊団のアジトになっているという噂があった。結局それらしい被害も出なかったから、治安隊の方も調査しなかったようだが、噂は正しかったのだろうな」

 ハウザーの言葉に、テアが深々とため息をつく。

「そやつらがご丁寧に、ここを修復したついでに罠まで仕掛けた、というわけかえ」
「まあまあ、テアさん。そいつらが置いていったアイテムの数々も、一応は手に入れているわけですからね。魔法薬があるなど思ってもみませんでしたよ」

霧13

「……ずいぶんと邪気が満ちているぜ」
「そりゃまあ、さっきからバンシーだのゴーストだのに襲われてはいるが」
「ちっげえよ白髪男!……残り香っつーか……ここに悪霊が巣食ってたのは間違いねえ」
「ふーん?」

 いまいち分かっていない表情で相槌を打ったロンドは、すっくと立ち上がったアンジェに「どうだ?」と声をかけた。

「うん、もう進んで大丈夫だよ。時間が掛かっちゃってごめんね」
「構わないさ。一番大変な思いしてるのは、お前なんだしな」

 ガシガシと武骨な手で頭を撫でると、アンジェはえへへとちょっと嬉しそうに笑った。
 だが、すぐ真顔になって仲間たちに告げる。

「霧なんだけどさ、いるならもう襲ってくるんじゃない?話聞いた限りじゃ、頭悪そうだし」
「…今は城にいないって事か?」
「じゃないかな。それに、あたしたち伝言を聞いてきたのはともかく、対抗手段を考えてなかったじゃない。出直してきた方がいいかもしれないよ」
「ふむ…。敵のアジトは分かっているし、作戦を考えて出直すと言うのは、たしかにアリでしょう」
「それなら、一度城を出ま………」
「ちょっと待った」

 リーダーである少女の言葉を遮り、テーゼンは槍を構えて上の階へ続く階段を睨み付けた。
 ピリリとした緊張感を表すように、彼の黒い翼が微かに動いている。

「テメェ……誰だ!?」

 テーゼンが鋭く誰何した。
 中途から崩れているはずのその階段の陰から、一人の男がゆっくりと姿を見せた。
 恐らくはウィルバーよりも若いであろう男は、レンドルやリューンのような大都会でも女たちが喜んで騒ぎそうな整ったご面相をしている。
 だが、そんな軽々しい思いを打ち砕くような、硬質な雰囲気がこの男にはある。
 ぽたり、とハウザーのこめかみを汗が伝った。
 無駄のない動きで剣の柄に手をやり怒鳴る。

「何者だ!こんな所で何をしている!」
「……」

 男からの返事は無い。
 冒険者たちの間に緊張した空気が流れ、残りの面々もそれぞれの得物に手をかける。
 男の筋肉の動きを注視しつつ、ハウザーは問いを重ねた。

「俺はレンドルの聖北教会で聖騎士隊副隊長を勤めるレン・ハウザーだ。ある凶悪な悪霊たちの退魔を任務としている。あんたの名と目的は?」
「俺はヴェディ……。あんた達の敵ではない……」

 やっと口を開いた男の放つ威圧感は、彼自身の中にある力の強さが根本であるというのが本能的に察せられ、旗を掲げる爪は警戒を解こうとしない。
 そんな中、ポツリとテーゼンが声を発した。
 黒い瞳の瞳孔は明るい場所の猫のように細められており、彼が人ならざる種族であることを容易に察せられた。

「…アンタ、人じゃねえだろ。敵じゃないが味方でもないんじゃないか?」
「無論、あんた達と群れて行動するつもりは無い……。一人で動く……」

 男は魔女の釜の蓋を開けるような軋みを含んだ声で、淡々と彼らに告げる。

霧14

「……俺には目的がある。そのためにここに来た……。それを明かすわけにはいかないが、俺にはあんた達の目的を妨げる理由は無い……」
「つまりあなたは太古の悪霊と敵対しているわけですか?」
「そうとってもらって結構……」

 どこか茫洋とした色を湛えた瞳が、スッと細められた。

「疑いは晴れたか……?俺はもう行く……。時間が……時間がないのだ……」

 男は冒険者たちの横を自然な足取りで通り抜け、下り階段を下りて行った。
 彼の後姿がすっかり見えなくなった辺りで、ウィルバーが身体を震わせて息をつく。

「何者でしょうか、あの圧倒的な力の感覚は……。分かりますか、テーゼン?」
「近いのかもしれねえ」
「ほほう……。只者じゃないわけですか」

 あえて『自分と』と言わなかったのは、依頼主であり聖北教会の聖騎士であるハウザーが、彼と同行しているからである。
 しかし、その意図する言葉を正確に理解したルーラは、ひらりと冒険者たちに近寄って囁いた。

「あの者は確かに実体を……肉体を持っておりますが、その魂は明らかに人ではありませんでした」
「中身が人じゃない?」

 顔をしかめて言ったシシリーは、もう一度男が通り過ぎた階段を見下ろしたが、その姿は既にない。
 ハウザーが柄にかけていた手を外し、わきわきと動かして血を通わせた。

「あの男の正体が何であれ、太古の悪霊と敵対しているのは確かなようだ。今のところはそれで十分だろう?敵の敵は味方と考えてもかまわないだろうさ」
「とりあえず、この古城には悪霊たちの姿は無いようじゃ。一旦、教会へ戻るとせんか?」

 テアの進言に全員が頷いた。
 ところが、である。
 聖北教会に戻ってきた彼らに、とんでもない知らせが届けられた。

「あ!?ハウザー様!!大変です!!」

 そう言ってこちらに駆け寄ってきたのは、いつも聖北教会を訪れるたびに挨拶を交わす門番だった。

「どうした?そんなに慌てて」

 目を丸くして尋ねたハウザーに、門番は焦りで上手く回らない舌を懸命に動かし伝えんとする。

「そ、それが、ジーア様がお倒れになって……」
「えっ」
「ジーアさんが!?」

 口々に言う冒険者たちに頓着する様子も見せず、ハウザーはただ、ガッと門番の方を掴んでその目を真っ直ぐに見据えた。

「容態は?」
「疲労による、軽い貧血だとか……。幸いすぐに回復なさって、今はもう執務を行っています」
「そうか…」

 ハウザーは相当ほっとしたらしく、相好を崩した。
 かねてから危惧していたことが当たってしまい、シシリーは心配げに依頼主に言う。

「でも、心配ですよね。ジーアさん真面目ですから、また倒れそうで……」
「ああ、まったくだ……」

 ハウザーは苦笑と共に頷き、しばし顎に手を当てて、何か考え込んだ。

「ハウザー、さん?」
「すまんな、シシリー。しばらく、太古の悪霊のことはお前達のパーティに一任していいか?俺はジーアのサポートに回ろうと思う」
「ええ、構いませんよ」

 むしろジーアのためにほっとして、シシリーはその申し出を受けた。
 これまでレンドルで巻き起こった数々の事件を片付けるには、彼女一人では手が回るまいと思っていたのである。
 ハウザーはジーアの体調が回復次第、また旗を掲げる爪に合流することになった。
 彼らは教会の寮にある一室を借り、霧に出会ったときの対抗策を練ることにした。
 ウィルバーが難しい顔をして脚を組む。

「古城でもし霧と遭遇して、逃げ道を塞がれたらどうしようもありませんね…」
「備えあれば憂いなしとはよう言ったもんじゃが、さて何をしたものかの」
「体が文字通り霧と同じ構造をしているのなら、乾燥させることが弱点にならないかしら?」
「つまり、火ってことかい?」

 テーゼンはシシリーの言葉に、視線を転じてスコップを見やった。
 自在に炎を噴き出す古代王国期の武器は、今ロンドが抱えている状態では、ただの土木作業の道具にしか見えない。
 シシリーは自分の思い付きを聖妖精に尋ねてみることにした。

「どうかしら、バール、ルーラ」
「彼の者の能力は確かに霧状に変化することですが、それは喩えです。現実の霧とはまったく異なるもの……ただ、炎が弱点であることは間違いないと思われます。巨大な炎であれば、霧状への変化ができないでしょうから、本体をこちら側に引きずり出せるかもしれません」
「決まりのようですね。大胆な話ですが、あの古城を燃やして霧に対抗するとしましょう。そのためには油が必要ですが……」

 門番に油を売っている店を尋ねた冒険者たちは、何でも屋と呼ばれる技術書や冒険者用アイテムを売っている店へ足を向けた。
 油の大量に入った樽が銀貨200枚、火種になる小さな火晶石――店主は≪プチ火晶石≫だと言った――が銀貨100枚で売っている。

「合わせて銀貨300枚の出費ということだよな……」
「必要経費ということで、聖北教会のつけにしてもらおうか」
「どれ、樽は俺が背負うよ」

 重いものをロンドに任せて、一行は再びレンドルの南に位置する古城へと訪れた。

「よし!油をまいて、罠を張ろうぜ」
「急に生き生きし始めたな、白髪男」
「仕方ないね。兄ちゃんだからね」
「破壊活動好きですね…。確認を前もってしておきますが、油はそれだけしかありませんからね。残りは道々に少しずつ、撒いていくのです。効果的な場所を選ばないとなりませんね……」
「火を放つのは、霧が現れた時か、あるいは結局何もなくて古城を出る時じゃろうの。盗賊のねぐらになる城じゃ、燃やした方がいっそさっぱりするわい」
「……マスター、気のせいか?あの2人も生き生きしてるよな?」
「楽しそうですね……」
「………いいのよ。放置しておいてちょうだい」

 聖妖精がドン引きする姿を、まさか見ることになるとは思わなかったシシリーである。
 客観的に見ても、平凡な容姿ながら薄めの唇に不気味な笑みを浮かべたウィルバーと、醜悪な笑顔がいかにも釜で魔法の薬を練っている魔女のように見えるテアは、正直怖い。
 さらにはこれに、鼻歌でも歌いそうな調子で、油を指定された部屋に巻いていくロンドも加わるのだから、しみじみ彼らが敵でなくて良かったと思わざるを得ない。

「なあ、ルーラ。300年前に、こんなことやっておけば霧は倒せたのかな」
「どうでしょうね、バール…。ですが、慈悲深いアルトクレス様や謹厳なフィーセリア様が、こういった作業を手際よくやれたとは思えませんよ」

 アルトクレスは、冠婚葬祭や人々の懺悔を聞き相談に乗ることを主にやっていたアントルー派の代表的存在……一方のフィーセリアが率いていたティナス派は、無法地帯となりがちだった辺境地帯の治安を組織的に守ることで大きくなった派閥である。
 両派閥の筆頭である2人は、口に決して出すことはなかったが、お互いに心惹かれるものがあったのはずだ。
 その悲しみをよく覚えている聖妖精たちだったが、300年前の彼らが目の前の彼らと同じ判断を下せたかと言うと、否と応えるしかない。
 賑やかな光景を見て、人間にも色々いるんだな……と、バールとルーラは悟った。
 とは言え、冒険者たちにしてみれば、自分たちの命が掛かっている作業である。
 手を抜けば退路まで火に包まれることは想像に難くないのだから、冒険者たちは色々とルートを検討して樽の中身を消費していった。
 が――異変は突然に訪れた。
 1階の油撒きが終わり、2階まで上がってきた時である。

「ちょ、ちょっと待って……」

 テーゼンが仲間を引き止めた。
 ただでさえ色白な美貌はすっかり青ざめ、大粒の汗が浮かんでいる。
 シシリーが気遣わしげにそれをポケットに入れていた手巾で拭った。

「大丈夫?顔が真っ青よ」

霧15

「後ろから……階段の方から凄いプレッシャーを感じる……恐らく、例の太古の悪霊のうちの一体」
「!?」

 冒険者たちが顔色を変え、意識を階下に集中させたバールも顔をしかめた。

「ああ。この感じは霧だな。忘れもしねぇぜ、ムナクソ悪くなるこの邪悪な魔力は!」

 じりじり、と階段から距離を取る。
 他の者たちにも感じ取れるようにまで膨れ上がった邪悪な気配は、徐々に近付いて来ていた。

「やはり、太古の悪霊は古城に僕らを誘い込んで、一網打尽にするつもりだったのかっ!」
「でも、本当に罠にかかったのは向こうのほうだよ。備えは万全だからね」

 額の汗を無意識に拭ったアンジェが、以前に与えられた強烈な痛みの記憶を振り払うように、あえて強気な口調で言った。
 バールとルーラが、旗を掲げる爪を落ち着かせようと、これからの作業を指示する。

「霧がお前達を食うためには、奴の“核”が直接触れねぇと駄目だ。だから追ってくるぜ。万が一、袋小路に追い込まれたら諦めるしかねえな。俺様の力をもってしても、逃げることさえできねぇぜ」
「ですが、あまりグズグズするわけにはいきません。霧の触手が広がりますから、それに触れるとダメージを負うことになるでしょう」
「2階で油をまきたい所があるんだったら、さっさとまいて、火を放て!迅速に且つ効率的に行動しないと、すぐにあの世行きだぜ」
「分かったわ」

 シシリーは覚悟を決めると、油を撒く場所を指示して、仲間たちと二階を駆け回る。
 やがて、赤い絨毯の敷かれている部屋……かつての謁見室において最後の油を撒き終わった一行は、アンジェがポケットから取り出した≪プチ火晶石≫を投げるタイミングに合わせて、体勢を整えた。

「………来たッ!!」

 閉じた扉の隙間から滲み出してきた霧の触手に、眦を釣り上げたアンジェが相手を十分に引きつけてから手の中のそれを放つ。
 ドオオオォオォン……!!
 腹の底から揺るがすような轟音が響き、たちまち辺り一面が巨大な火蜥蜴の舌に包まれた。
 火の粉が容赦なく降り注ぐ中、ついに姿を現した霧へ、シシリーはすかさず”空牙”を突き立てる。
 彼女の振るった霊剣は蒼い光の軌跡を残しながら霧を切り裂き、その聖なる光が霧の全体を守る魔障壁を打ち砕いた!
 バールが拳を振り上げて吼える。

「よっしゃあああ!こっからが本番だ、袋叩きにしてやるぜ!」
「“魔障壁”を打ち破ったとはいえ、彼の者の力はまだまだ強力でございます。油断なさらないでください」

 ルーラはそっとシシリーの肩に手を置き、宥めるように忠告した。
 ひとつ頷いたシシリーは、”空牙”の切っ先をピタリと霧の中心部へ向けて宣戦布告した。

「この時を待ちわびたわ。あなたが殺した街の人々の家族……聖北の神の名において、彼等の悲しみをその身体に全て返してあげる。覚悟なさい!」 
「そらよっと!」

 障壁の消えた霧へ、すかさずロンドが燃え盛るスコップを突き出す。
 初めて邂逅したその時から、ただのひとつも傷の作れなかった敵が、その鋭い先端に身悶えして苦痛を露にしている。
 霧は人とは違う思考回路で、自身の危機を悟った。悟らざるを得なかった。
 削られてしまった身体を復元する為、肉を裂くのに最適な牙を強く冒険者たちへ突き立てる。

霧16

「ああああ!」
「くっそ……ルーラ!ユークレース!」
「お任せください!」
『………!!』

 妖精と鉱精……二体の人ならざる者たちが、その異能で旗を掲げる爪の止血を施す。
 さらには城の瓦礫が落ち始め、シシリーはこの城が急がねばもたないだろう事が分かった。
 ひびの入った床を蹴りつけ、翼を広げた人影が得物をかざす。

「エエエイ!」
「私の矢を喰らえ!」

 テーゼンの神速の槍とムルの射た矢が当たり、霧の動きを鈍らせていく。
 その隙を突いて、シシリーの振るった”空牙”が霧の不可視の外殻を砕いた。
 ここで滅んでたまるものかと、霧は再び人間へ噛み付き始める。

「ロンド!」
「は…っ!こいつ、と、初めて戦ったとき、みたいだな…」

 霧の噛み付きを肩に受け、ロンドは思わずスコップを取り落としてしまっていた。
 利き腕を、剣の柄へと伸ばす。
 肉を千切り取られた肩に激痛が走る――が、彼はそれに構わず、≪サンブレード≫を抜き放って半月の軌跡を描いた。
 【神薙ぎ】――本来ならば大剣の奥義であるそれは、獣の咆哮のように大気を震わせ、閃光の刃となって白き悪霊をバラバラに引き裂いた。
 大きなダメージによって思わず部屋の隅に縮こまった霧を、テアの【影のパレード】が追い詰めて削っていく。
 一際大きな咆哮と共に、”空牙”が強く青く輝き、バールは勝利の凱歌を叫んだ。

「よっしゃあ!奴にもう戦う力はねぇ!今度こそ、空牙できっちりと止めを刺してやんな!」
「やあぁぁぁ!!」

 シシリーが渾身の力を振り絞って振り下ろした剣が、霧の存在を完全に打ち砕き、消滅させる。
 がちりと床に当たった切っ先をそのままに、肩で荒い息をしていた彼女は切ない笑みを浮かべた。

「ようやく……ようやく殺された街の人々の仇が討てた……」

 チチチ、とバールは指を立てて振ってみせる。

「感慨にふけるのは早いぜ。まだ2匹残っていやがるんだ」
「それに姉ちゃん、まずここから逃げないと!!」
「マスター、とにかく安全と思われる場所へ退避をいたしましょう」

 すでに炎は景気よく城の中へまんべんなく回っており、どこかが崩壊する音まで聴こえてくる。
 視線を用心深い猫のように走らせたテアは、

「崩れ落ちる城内を走り回って外へ逃げるよりは、あえて安全な場所を城内に見つけて隠れておるほうが良いかもしれん」

と助言した。

「しかし……隠れると言ってもどこにするんだ?」
「テメェはもうちっと頭を働かせろ、白髪頭!」
「あそこはどうでしょうね。バルコニー」

 はた、とあたふたしていた彼らはウィルバーを一斉に見つめた。
 二階の廊下の突き当たりにあるバルコニーは、風が強いために火がすぐ消えてしまうからと、油を撒くところから外していたのである。
 幸いにして、そこに行くまでの道も猛火に覆われていない。
 冒険者たちは声を出さず(なにせ煙が凄いので)に顔を見合わせて頷き、まっしぐらに渦巻く霧しか見えないバルコニーへと飛び出した。

2016/06/16 13:29 [edit]

category: 霧を抱く…

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