Mon.

階下に潜むモノ 3  

 そうして進んだ一行の前に、上半身が馬で下半身が魚の形をしたモンスターが現れた!

「あ、ケルピーだ!」

 ミナスが慌てて後ろに下がる。

「けるぴー?」

 たどたどしい口調のギルに、ミナスが早口で説明した。

「こいつも海の精霊の一種なんだけど、水で相手の顔を包み込むんだ。たまに、水際で遊ぶ人を溺れさせたりもする。僕、苦手・・・・・・」
「ははあ。さては、お前もこいつに溺れさせられた口だな?」
「おい、そんなのんきに構えてる場合じゃないぞ、ギル!!」

ScreenShot_20121115_151548984.png

 アレクが水の槍と化したケルピーの尻尾を切り落とし、叫んだ。
 危うく難を逃れたギルが、素早く回り込んで攻撃に移る。

「そうはさせるか・・・よっ!」

 【薙ぎ倒し】をされたケルピーは、その数を一匹に減少させた。
 すかさず、【雪精召喚】に成功していたミナスが、生き残りの敵に襲い掛かるよう命令する。

「スネグーロチカ、お願い・・・!」

 ――戦闘はあっという間に終わった。
 ケルピーが中々レベルの高い敵であることをミナスから教わった一行は、ではもしかしたらボスが近いのではないか、と言って辺りの探索を始めた。

「んっと・・・あれ・・・?」

 すると、ミナスの精霊感知に引っかかるものがある。
 小さな体が導かれるようにして進むのを見て、慌てて仲間たちが走り出す。

「ミナス、どうしちゃったのよ!?」
「おい、勝手に行くな」

 周りに一切構わず、ミナスが清浄な濃い水の力を追っていくと、美しい海精を象った石像が中央に置かれている部屋へと辿り着いた。

「ここだ・・・・・・ここに精霊がいるよ、みんな!」
「え?」

 秀麗な顔を興奮で赤らめたミナスの言に、驚いたようにアレクが辺りを見回す。
 父は優秀な精霊剣士であったが、アレクにはその才能がほとんどないのでよく分からなかった。

「ねえ、君、海の精霊でしょ?お願い、僕の呼び声に応えて!」

 しかし、美しいその像は沈黙を保ったままだ。

「どうしちゃったんだろう・・・・・・精霊の力は、確かにここにあるのに」
「・・・・・・ひょっとしてさあ、彼女、封じられてるんじゃない?」
「封印、ですか?」
「うん。ほら、神殿なんかもそうだけど、こういう『何かに祈るための遺跡』って、その土地固有の気脈とか周りの環境なんかと上手く合致すると、たまーに強い力を得ることがあるのよ」
「そういえば・・・・・・水路を流れる水はとても清浄ですね。海精に力を与えるために、こういった遺跡の造り方をしていると考えることもできます」
「この神殿も、そういう特別な場所なんじゃない?でも、精霊を遺跡に現れた魔物が封印して・・・・・・」
「精霊力が働かなくなり、海が荒れだした」

 ジーニやアウロラの推測の最後を受けて、アレクがぽつりと呟いた。
 我が意を得たり、といった様子でミナスが頷く。

「きっとそうだよ!この子、早く助けてあげよう」
「しかし、助けると言ってもな・・・・・・」

 難しい顔をしたアレクに、ミナスが言い募る。

「大丈夫。この海精に共鳴した力の塊が、微かだけど感じ取れる。それをここに持ってくれば、その封印も解けるよ、きっと!」
「近いのか?」
「うん、ここからそう遠くないよ」
「分かった。ミナス、案内してくれ」

 ギルが信頼をこめた目でミナスを見つめ、幼いエルフは真剣な顔で頷いた。

2012/12/10 19:48 [edit]

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