--.

スポンサーサイト  

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

--/--/-- --:-- [edit]

category: スポンサー広告

tb: --   cm: --

Tue.

狩る者を狩る者その2  

(面白い………)

 ロンドは表情を変えないまま、自分と5人の男女の間の距離を推し量った。
 その上で、意味ありげな目配せを送ってきた宿の亭主の顔を思い浮かべる。

(しごく面白い仕事だぜ、親父さん。なるほど、こいつは俺向きだよ)

 ぺろり、と唇を舐めて湿らせた動作をどう判断したものか――。
「……さて、と」

 木箱に腰掛けていた悪党の頭目が、隙のない所作で立ち上がった。

「勇猛果敢な冒険者様。お喋りはここまでだ……表出ろ」
「壁とか壊しちゃったら直すの大変だからね。ボクら、ここを借りてんだからさ」
「…………」

 逃走の意思のあるなしは置いておくとして、この場から逃げ出すのは困難だ。
 何しろ、敵は目の前の五人だけではない。
 クルベン村が悪党に協力しているならば、村人は連続殺人の共犯者である。
 仮に無理矢理従わされているのだとしても、罪悪感は募るものだ。
 村ぐるみの犯罪が明るみになることを恐れ、彼らは死に物狂いで足止めしてくるだろう。
 逃げる際、退路に立ち塞がる村人に下手に危害を加えようものなら、ロンドの方が投獄されかねない。
 この困難な現状を打破する方法はただ一つ――力を見せ付けて勝つことだ。
 村人全てが恐れおののく圧倒的な力を。
 ロンドと五人が外に出ると、乾いた一陣の風が肌を撫でた。

「……公開処刑か……」
「……くわばら、くわばら……」
「……ごめんなさい……」

 いつの間にやら、二十名ばかりの老若男女が戦いの舞台を遠巻きにして、口々に勝手なことを言っている。
 これではまるで、悪趣味な見世物である。
 クロスボウを抱えた男が、おどけたように言ってみせた。

狩る者3

「おほっ、村の皆さんが見てる。儲けはちゃんと山分けしますから、応援してくださいねーっ!」
「山分けって言っても、実際はボクらの取り分が七割なんだけどね……」

 肩を竦めた大男の横で、短剣を指に挟んだ青年がぼやく。

「しっかし、久々の喧嘩が五対一か。楽勝過ぎてつまんねえな」
「いいじゃん、いいじゃん。さくっと狩っちゃおー」
「よぉ、今から殺されるってのはどんな気分だ?」

 女の後ろでのんびりと髭を弄くりながら、頭目が言った。

「汚ねぇ血反吐ぶちまける前に、もういっぺん面拝ませろ」
「…………」
「……テメェ、どっかで見たような気がするな?まあ、今さらどうでもいいか」

 悪党の頭目は余裕綽々といった風情だ。
 数の利が彼に危機感を忘れさせている。

「何か言いてぇことあるか?折角だから聞いてやるよ。命乞いしても無駄だがな」

 ――すると、ロンドは不意に唇の片端を上げた。

「……楽勝過ぎてつまらない、か。甘く見られたもんだ」
「あ?」
「どちらが狩られる立場か、今から教えてやる……!」

 ロンドがスコップの能力を開放したことで、いきなりその場で炎が立ち上がった。
 あっけに取られる者たちを一瞥もせず、彼は他からの攻撃を回避しながらスコップを振りかぶる。
 頭目の攻撃だけは避けきれず肩に軽い負傷を負ったものの、それには構わずに、口調の柔らかな大男の頭部へスコップの平面を叩きつけた。
 たちまち血と脳漿が弾ける。

「まずは――1人目えっ!!」
「てめぇ……!」
「な、なんだこいつ…!」

 呻き声も上げられずに大男が倒れるのと同時に、返す刀――というかスコップで、今度は頭目の腹部を突き刺した。
 そのまま炎を吹き上げると、辺りには臓器の焼ける匂いがたち込めた。
 近くにいた女が顔を歪める。

「ひっ……」
「2人目。なんだ、あっけないな」
「『ま、魔力よ、安らかなる眠りをもたらしたまえ…!』」

 ロンドの間近に立っていた女は、慌てて【眠りの雲】の呪文を唱えて放ったものの、徹底的に暴れることに重点を置いている彼に、睡魔はつけ込む隙がない。

「そんな薄っぺらい魔法じゃ効かねえよ、あぁ?」
「なんなの、コイツ…本当に人間なの!?」
「どけっ、これでも食らえ、コノヤロウ!」

 短剣を裏手に持ち替えた男が、クロスボウの援護を得ながらロンドへ突っ込んできたものの、彼の使うフェイントなどアンジェの足元にも及ばない。
 こちらの喉元を裂こうとしていた男を、無造作なスコップの一撃が焼きながら吹き飛ばした。

狩る者4

 もはや顔色の白くなってきた女にそのまま突進し、背を使って当て落とす。
 盾の重量も乗った攻撃により重傷になりながらも、苦しい息の下で懸命に呪文を唱えようとした彼女の胸を、今度は腰から抜いた曲刀が深く切り裂いた。
 残る相手は、1人。
 クロスボウを抱えた男は防御体勢を取り、ロンドの絶え間ない攻撃から、それでも数分は持ちこたえていたのだが――。

「……お前らも、墓地の近くに埋めてもらえるのか?」
「ヒッ……」

 びっと、スコップの先で斬られた脚から血が噴出する。
 動きが鈍くなったところで間合いを詰め、ロンドはまじまじと相手を眺めながら言った。

「それとも家畜の餌にされるのかも知れないな……どう思う?」
「ヒイッ、なんだお前……何なんだよ!?」
「俺か?俺は……」

 ザクっと肉を刻む音が響いた。
 頬に飛んだ血飛沫を拭いつつ、彼は静かに告げた。

「俺は、葬儀屋さ。悪党ほど、俺の作った墓穴に入りたがる」

 村人たちが腰を抜かしたり、あまりの惨状に胃の内容物を吐き戻したりする中、古代遺跡で貰った曲刀が振るわれた。
 目的のものを手にすると、あわてて後退る村民を無視して村長宅に向かい――。

「ひぃっ……」

 ロンドは部屋の隅で縮こまって怯え竦むパウル村長の眼前に、頭目の首級を投げて寄越した。

「食人鬼を退治した証拠だ」
「おっ、お、お許しをっ……!わた、私どもは、彼奴等にっ、脅されて……仕方なく……」

 がちがちと歯の根の合わぬ口を必死に動かし、彼は弁明している。
 ロンドは一歩村長に近づいた。

「うそ、嘘、では、ありません……!私どもの……罪は、償いますっ!どう、どうか、お許しをっ……!」

 ロンドの太い――力を入れれば、貴婦人のウエストくらいにはなる――腕がすうっと伸びて、村長の頭上にかざされる。
 もはや、村長は瞼を開けていられない。

「お……お許しをっ!お許しをっ……!お許し――」
「報酬」
「……え?」

 突き出されたロンドの手に武器が握られていないということに、パウル村長はようやく気がついた。
 ロンドは依頼の成功報酬を受け取ると、(当たり前だが)宿を借りることなくクルベン村を発った。
 「次はない」とだけ言い残して……。
 滞在時間は僅か1時間足らず。
 ロンドが村に来たという事実すら知らなかった者もいた。
 ただ、悪党どもが迎えた無残な最期は、それを見ていたクルベン村の民の心胆を寒からしめた。
 肉の焼ける匂い、散らばる血と脳漿、そしてロンドの冷酷な双眸……あれを覚えている限り、村人が悪事に加担することは、もう二度とないだろう。
 次はない。もしあれば、その時は……。
 ――かくして、幾人もの冒険者を狩り殺した食人鬼どもは、冒険者ロンドによって退治された。

※収入:報酬800sp
※支出:
※オオカタ様作、狩る者を狩る者クリア!
--------------------------------------------------------
■後書きまたは言い訳
39回目のお仕事は、オオカタ様の狩る者を狩る者でした。
こちらの作者様のシナリオをやるのはこれが初めてなのですが、中々シビアな内容で、今までちょっとギャグ路線を走っていたかもしれないロンドを、気持ちよく大暴れさせてやれました。ありがとうございます。
圧縮容量100KB以下を目処に作成なさったとリードミーにあったのですが、いかにも裏のありそうな依頼の事情が明かされる経過が、小説のようにじっくりと読める地の文と、まさに外道の敵側のセリフのおかげで、まったく短いシナリオであることを感じさせませんでした。
リプレイに書き起こす際には、シナリオそのままの流れにするとちょっと文章量が足らず、オープニングや戦闘シーンなどで、描写やないセリフをちょこちょこ付け加えたりしておりますが、お許しくださいませ。
また、村人の反抗心をくじくのに惨い殺し方をしているので、下手くそなりにはりきって残酷描写を書いてみました……が、あんまり怖くなかったかもしれません。

正直言うと、今回の依頼でテーゼンとロンド、どっちを行かせようかかなり迷ったのですが……貼り紙を見る限り、一応はオーガが相手ということになっているのですよね。
オーガ相手なら喜び勇んで旅立つのはロンドだろう、ということで、彼にやらせたのですがいかがだったでしょうか?
次回のテーゼンは……こっちも強敵と当たる予定なのですが、上手な戦闘描写って一体どうしたら書けるのでしょうか、偉い人。

当リプレイはGroupAsk製作のフリーソフト『Card Wirth』を基にしたリプレイ小説です。
著作権はそれぞれのシナリオの製作者様にあります。
また小説内で用いられたスキル、アイテム、キャスト、召喚獣等は、それぞれの製作者様にあります。使用されている画像の著作権者様へ、問題がありましたら、大変お手数ですがご連絡をお願いいたします。適切に対処いたします。

2016/04/26 12:08 [edit]

category: 狩る者を狩る者

tb: --   cm: 0

コメント

コメントの投稿

Secret

プロフィール

最新記事

最新コメント

月別アーカイブ

カテゴリ

カレンダー

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

ブロとも申請フォーム

QRコード

辺境に足を運んだ方の人数

▲Page top

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。