Sun.

密売組織 4  

 魔術師――ボルラスという名前らしい――の召喚に応え、ワイトやゾンビ、スケルトンたちが2体ずつ部屋にと流れ込んできていた。
 これは結構な強敵と判断した”金狼の牙”たちは、雑魚の一掃をギルに任せ、アレクがボルラスに、エディンがワイトへと向かう作戦に出た。
 ジーニやアウロラたちは、呪文に集中するためそれぞれの魔法の媒体を掲げて集中する。

「おおおおおおおお!」

 ギルが勢いをつけて斧を振り回し、たちまちスケルトンや精霊によって傷ついていたゾンビを粉砕した。
 邪魔な壁がいなくなり、アレクとエディンが得物を振り上げる。
 しかし、辛うじて破壊を免れたゾンビの一体が、半ば胴体を千切られながらも、杖を手に詠唱を開始したジーニに襲い掛かった。

「つぅ・・・・・・!」
「ジーニ!」

 心配したアウロラが、詠唱の終わっていた【癒身の法】の呪文対象をジーニに定めた。
 さらに、黄色い禍々しいオーラに包まれたワイトが、鋭い爪でエディンの脚に怪我を負わせた。

「中々やるな・・・!」
「よくも、エディンさんを!神の刃を喰らえ!」

 ラインの猛々しい剣が振り下ろされるも、ワイトに避けられ床を穿つ始末だった。
 中々緊迫した戦闘に決着をつけたのはギルで、彼は【薙ぎ倒し】後に【暴風の轟刃】の体勢に入り力を溜めていたのだが、ボルラスへのアレクの攻撃が外れた瞬間、精度の高い竜巻を繰り出した。
 闘気が胸を一文字にぶち割り、ボルラスの緑のローブを血色に染め上げた。

「グフゥ・・・・・・・・・。しょ、少々貴方たちを甘く見ていたようですね・・・」
「敗因は、あんたが調子に乗りすぎたことだ」
「一度攻撃かわしたくらいで、隙を見せるからさ」

 並んで佇むギルとアレクを睨みつけ、さらに口の端から血の泡を零しながら、ボルラスは呪いの言葉を続けた。

「し、しかし、このボルラス・・・こんな所で死ぬ訳には・・・い・・・・・・・・」

ScreenShot_20121115_125308640.png

 ぐらり、と細い体が揺らぐ。

「か・・・・・・・・・な・・・」

 そこまでが限界で、彼は音も無くその場に倒れた。ボルラスが倒れるとアンデッド達は崩れ落ちた。

「どうやらアジトの殲滅に成功したようですね・・・・・・」
「だな」
「さて、後はゾンビパウダー密売の証拠となるような物を探さなければ・・・・・・・・・」

 この書斎のような部屋には入ってきたのと別の扉があったので、ざっと部屋を見渡して目ぼしい物がないと判断した一行は、そこから奥の部屋へと移動した。
 ボルラスの私室だったらしく、清潔なベッドと本棚が備え付けられている。
 本棚の傍らには想像したとおり木製の宝箱があり、部屋に張った罠がないと分ったエディンは、さっそくその前にひざまづいた。
 宝箱は2つあったのだが、そのどちらも罠は無く鍵が掛かっている。

「よっし。ちょっと待ってろよ、みんな」

 しばらく小型ルーペで鍵穴の形状を調べていたエディンは、合鍵の束を取り出してヤスリで先を削り始めた。

「こいつはな、わりと一般的な鍵のひとつだ。この束の鍵をこうして・・・・・・こうすれば・・・!」

 思うように変形したらしい鍵を使いエディンが開錠すると、ボルラスの物らしい装備品や装飾品がいくつか入っていた。
 それを見て、ラインが太い眉を上げた。

「むう・・・・・・・・これらの中には密売の証拠になりそうな物もありますね・・・・・・・・・」
「ああ。これとこれ・・・かな?」

 ラインはエディンと一緒に木製の宝箱に入っていた物を調べ始めた。
 そしていくつかの品をより分けると、納得したように頷く。

「これらの品は証拠品として、私が管理します」
「じゃ、こっちからこっちは、うちの取り分としてもらっていくぜ」

 エディンの手には、緑色の石が嵌まった指輪やリューンで見慣れた魔法薬などがあった。
 もうひとつの宝箱には、大量の書類と粉の入った袋がいくつか入っていたので、ラインにそのまま引き渡す。

「書類は暗号で書かれた顧客リストと計画書か・・・・・・」
「こっちの袋は・・・・・・」
「ええ、ゾンビパウダーに間違いないでしょう」
「これで一件落着ですね。それじゃ帰りましょう」

 控え目だが嬉しそうな微笑みを浮かべて、アウロラが言う。
 他の面子も同意し、一行は聖北教会へと帰還した。

2012/12/02 12:47 [edit]

category: 密売組織

tb: --   cm: 0

コメント

コメントの投稿

Secret

プロフィール

最新記事

最新コメント

月別アーカイブ

カテゴリ

カレンダー

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

ブロとも申請フォーム

QRコード

辺境に足を運んだ方の人数

▲Page top