Sun.

密売組織 3  

 アジトについてさっそく、物陰に隠れながら入り口に立っていた見張りをジーニ会心の【眠りの雲】で黙らせた”金狼の牙”たちは、体力の少ないものを真ん中に隊列を組み、奥へと移動していった。

「・・・なんだか、紅き鷹旅団を退治したこと思い出すね」
「ああ。今回も隠密性ということでは同じだから、注意しねえとな」

 こっそりと話しかけてきたミナスに肯定のうなづきを返し、エディンは慎重に斥候としての役割を果たす。
 聞き耳をしよう、とエディンが一番最初に見えた扉の前に耳をつけようとすると、興奮した様子のラインが一歩前に踏み出し、肩当てにぶつかった反動で扉が開いてしまった。元々、ちゃんと閉めていなかったらしい。
 扉の向こうでは、何人かの盗賊風の男達が、唖然とした顔でたたずんでいる。
 彼らは一瞬とまどった様子だったが、素早く短剣を抜き、冒険者達に襲いかかってきた!

「くっ・・・・・・!」

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 舌打ちしながら武器を構えた”金狼の牙”一行だったが、6人いた敵も、しょせん彼らの敵ではなかった。
 あっという間に制圧し、最後の1人がミナスの【雪精召喚】で倒れると、ギルが困ったような顔で呟く。

「今の剣戟の音、外にもれたかな?」
「魔術師には我々の侵入がばれたものとみて間違いないでしょう・・・」
「・・・・・・今、この扉開いたの、誰の責任?」

 しれっと応答したラインを睨みつけ、ジーニが仁王立ちになって言った。
 額の端に汗を垂らしつつ、ラインが「し、しかし」と抗弁する。

「盗賊は片付けました。これでこのアジトに存在する人間は魔術師だけだと思いますよ」
「ふ~ん・・・だといいけどねえ」
「ね、エディン」

 エディンを小さな声で呼んだのはミナスだった。部屋の隅を指差している。

「なんだ?」
「あそこに木箱あるよ。もしかしたら、アジトの中の鍵とか入ってるんじゃないかな」
「雑魚の持ち物に、そんなに期待できねえと思うが・・・」

と首を傾げながらも、エディンの指先は木箱を丹念に調べていった。
 鍵が掛かっているが罠はないと判断し、千枚通しのような道具で鍵穴をこじ開ける。
 中に入っていたのは、ミナスの推測どおりアジト内のどこかの鍵と、いくらかの銀貨だった。

「お!儲けたな。ミナス、よく見つけた」

 小さな喜びの声をあげるエディンの後ろから覗き込んだラインが、残念そうに首を横に振った。

「これらは密売の証拠になるような物では無さそうですね。貴方がたの裁量に任せます」

 手に入れた200spはアレクが、鍵はエディンが管理することにする。
 さらに奥に進むと、似たような扉が2つあった。
 またエディンが調べると、ひとつは分らないものの、もうひとつは鍵が掛かっていることが明らかで、彼は先ほどポケットに突っ込んだ鍵を取り出し、しばらく鍵と鍵穴を見比べてから、おもむろにそれをはめ込んだ。
 澄んだ音を立てて鍵が開く。
 そこは整頓された書斎のような部屋だった。
 机の向こうには、鋭い目つきをした魔術師風の男がこちらをにらみつけている。

「くっくっく・・・・・・・・・。まさかこの屋敷がこうも簡単に見付かるとは思っていませんでしたよ・・・・・・。少々教会という組織を、甘く見ていたようですね」
「貴様がこのあたりのゾンビパウダー密売組織のボスだな!どうやら魔法使いらしいが、聖戦士の力を見せてやる!」
「おい、ライン!?」

 無軌道に突っ込もうとした若者の肩を、危うくギルが掴んで引き戻す。
 緑色のローブに身を包んだその魔術師は嘲笑した。

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「おやおや勇ましい事で・・・・・・。ぞろぞろと人数を引き連れて人の屋敷に土足で上がりこむとは、いや、これを野蛮人と呼ぶのですねェ」

 アレクが、ラインを押さえるのに一所懸命なギルに代わって言った。

「抵抗するようなら、実力行使を行なうのみだが・・・・・・どうするんだ?」
「くっくっく・・・・・・。実力行使ときましたか・・・・・・。では、私は貴方達を送る事にしましょうか」

 妙な含み笑いは癖らしい。
 それが気に入らなくて眉を寄せるジーニを愉快そうに眺めてから膝に置いていたワンドをかざし、魔術師は高らかに宣言した。

「送る?」
「そうです、送って差し上げますよ、あの世にね!来なさい、我がしもべ達よ!」


2012/12/02 12:45 [edit]

category: 密売組織

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