Sun.

密売組織 2  

 聖北教徒であるアウロラの先導で教会に訪れた一行は、レンフ司祭と向き合っていた。

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 ≪狼の隠れ家≫で貼紙を見たことをエディンとジーニが説明すると、レンフ司祭は、年月によって刻まれた深い皺に憂愁の色を落としながら、口外禁止の念押しをしつつ、依頼について語り始めた。
 レンフ司祭によると、現在西方諸国ではゾンビパウダーの密売組織が暗躍している、という。
 聖職者とすればこれは非常に頭の痛い問題であり、全力をあげてこの密売組織を壊滅させるべく活動している。
 ゾンビパウダーについて知識の無い仲間には、ジーニとアウロラが、清められる前の死体にふりかけることでゾンビを作り出す、いわばネクロマンシーの秘術に欠かせない薬であることを説明した。

「その結果、密売組織のアジトの1つを発見したのですが・・・・・・。残念ながら現在の我々には、そのアジトを攻撃するだけの戦力がありません」
「ははあ、なるほどね。それで私達に依頼を・・・・・・」
「はい・・・・・・・・・。せめて聖戦士団が残っていたなら我々だけで処理できたのですが・・・」

 宗教関係に特に疎いミナスが、小声でアウロラに尋ねる。

(ねえねえ、聖戦士団て何?)
(なんと言いましょうか・・・。聖北教会に所属している、アンデッド専門の調査機関です。必要に迫られれば、掃討もいたします。主に地方からの依頼で動いているはずです。)

「彼らは今、聖西教会からの要請で、ヴァンパイアに襲われた村の調査・討伐に向かってまして・・・・・・」

 溜め息をついたレンフ司祭に、密売組織のアジトの場所や戦力について質問すると、ある程度の答えが返ってきた。
 場所はリューンから北に少し行った所にあり、魔術師や盗賊風の者たち数人の確認報告があったという。
 アレクが顎に手をやりながら呟く。

「魔術師か・・・・・・・・・そいつがアジトのボスとみて間違い無いだろうな」
「ところで、その魔術師の素性は調べたんですか?」

 賢者の塔に所属していた魔術師なら、最終的な実力くらいは分かるかもしれないと、エディンが身を乗り出して聞いたが、司祭は首を振って否定した。自分達にはその伝手がないと言っているが、どうもその辺の調査は思いつかなかったものらしい。
 アジトの場所を教えて欲しい、と言われたレンフ司祭は、

「場所についてはアジトの調査をしておりました聖戦士を同行させましょう」

と言って、手を叩きながら「ライン、ラインはおるか?」と樫で作られた扉の向こうに呼びかけた。
 ほどなく、青い髪のがっしりとした体格の男性が、白い鎧姿で入室してくる。

「は!ライン参上いたしました」
「うむ、話しは分っておるな」

 レイフ司祭が確認すると、ラインと呼ばれた若者は緊張の面持ちで頷く。

「この者が道案内をします。多少の武術と神聖魔術の心得はありますので、邪魔にはならないと思います」

 これは案内後も同行させろということだろうかと、”金狼の牙”たちは戸惑ったような視線を交し合った。
 多少の武術や魔術というものは、かえって「生兵法は怪我の元」という事態を引き起こすこともある。
 うかつに、諸手を上げて歓迎できる物ではないのだが、どうにも断れない雰囲気だ。
 やむを得ず、一行はラインを仲間に加えてアジトへ向かうことにした。
 なんでも、ラインは聖西教会の出征に加われなかったことを悔しく思っていたらしい。
 今回の冒険者への同行を、心の底から喜んではりきっていた。

 報酬についてジーニが確認すると、仕事が終了次第、貼紙にあったように1000spを支払うそうで、アジトにある物については、密売の証拠以外は裁量を一任してくれるという。
 さっそく目的の場所に向かおうと、あどけない仕草で別れの挨拶をするミナスに、司祭が慈愛の微笑みを浮かべながら、

「頼みましたぞ・・・・・・・・・」

と言った。

2012/12/02 12:43 [edit]

category: 密売組織

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