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かぼちゃ屋敷の夢その3  

「……」

 ロンドは、しきりに自分の名前を呼んでくる人魂に顔を引きつらせた。

「……ロンド!ロンド!!」
「うわあぁっ!?って……その声は、アンジェか?」
「うん、そうだよ!よかった、やっと兄ちゃんに気づいてもらえた…」
「アンジェ……」
 じわり、とロンドの目尻が光る。

「そうか……。俺の知らないうちに、死んでしまったんだな……」
「死んでないよ!!?たしかにこんな姿だけど死んだわけじゃないよ!!?」
「一度きりの人生を楽しんで生きようってスタイルだったもんな……妬まれて、後ろからぐっさりやられたのかな……」
「兄ちゃん……兄ちゃんの中のあたしって一体……」

 脱力したような人魂に、ロンドはある意味感心した。
 死んだ後でも脱力はできるらしい。それとも、それはホビットだけなのだろうか?

「えーっと、どこから話したものかな……とりあえず、これは別に死んだってわけじゃないみたいなんだ」

 ロンドと合流する前に、色々試してみたらしい。
 この状態で物にも触れるし、意識もしごくはっきりしている。

「……ただ、どうしてあたしがこんな姿になってるのか、さっぱりわからないんだけど……」
「あー……それ多分、例の布オバケのせいだな」

 大体の事情が飲み込めたロンドが、やはり向こうの部屋で犬の姿のウィルバーを見つけたことや、そもそもお化けに宝探しを持ちかけられたくだりを説明した。

「っていうか、兄ちゃんてば上手いこと乗せられ過ぎじゃない?」
「自分でもそう思う」

 全く否定する様子を見せない仲間にいい加減ツッコミ疲れたのか、彼女は天井の隅に書かれた文章をロンドに伝えると、部屋に置いてある南瓜のひとつに乗っかった。

「あ、万が一姿が戻れなかったら、後で供養するから安心してくれ」
「やめて」

 割と本気の声である。
 ひとしきりアンジェをからかい終わったロンドは、またジュースなどを拾いながら更なる仲間やヒントの発見のために調査を続けた。
 そろそろ誰かがいてもいいのにな、とまた装飾性の高いドアを開いた時、高い位置からさっと彼の目の前を横切った黒い影があった。
 黒猫である。

「お、猫だ」

 ロンドは、猫なら怖くはなかった。
 なんなら虎でも大丈夫だったろう……犬が駄目なだけなのである。
 遊んでやりたいな、と彼が手に猫じゃらしを持ってしゃがんだ時、素早いパンチを飛ばしてきた猫から、半ば予想したとおりに仲間の一人の声が聞こえてきた。

「みゃっみゃっ!!」

 彼の喧嘩相手のようである。

「……ってそうじゃねえよアホ!思わず本能に従うとこだった…」
「いや、もう従ってただろ」
「うるせえ」
「その怒り方、テーゼンか。なんというか…ずいぶんコンパクトになったな!」
「それは褒めてんのか?貶してんのか??あ??」

 しばし、猫と人間で真剣なガンの飛ばしあいが発生した。
 不毛な時間に気づいたテーゼンが、事情を説明するようロンドに求めるまで実に十分もかかった。

「……つまり、てめえは今僕らを人質に取られてて、それでそいつの言うこと聞いてる…って所か」
「向こうもそこまでは考えてないだろうが、大袈裟に言うとそんな感じだな」

 ロンドはある程度気楽に考えているようだが、テーゼンにとって今回の件は容易ならざる事態なのである。
 なぜなら、どれだけ下級であったとしても、彼も一応悪魔の端くれなのだから。
 それがたかがお化けの一匹により変身させられ、抵抗も出来ないときている。
 よほどに力を持っていた人間の成れの果てなのか、それとも屋敷の地脈がこういった魔術に最適だったのか……。
 真面目に考え込んでいるテーゼンを余所に、

「人質って言うより猫質だよな」

と呑気に発言したロンドは、大物と言えるのかどうか。

「どうでもいいだろそこは!!」

 別に犬猿の仲でなくとも、この状況に置かれた仲間だったら怒っていただろう、とテーゼンは思った。

「僕の考えだが、白髪頭に探し物を強いてる以上、あの鍋はただの置物じゃないと思うぜ」

 鍵の掛かった扉の近くに置かれている鍋に顎をしゃくって(猫でもやろうと思えばできるのだ)、テーゼンは気になっていた点を指摘する。

「ええー…鍋だろ?鍋が鍵になるのか?」
「鍋だが、もしかしたら魔法的な仕掛けがあったりとか……」
「うーん……まあ、黒蝙蝠がそうまで言うならちょっと考えてみるよ」

 呼称こそ気に食わないままだが、存外素直な返事が返ってきたものである。
 こほん、とテーゼンは咳払いした。

「ま、まあ、あくまでも仮説だけどな」

 そっちも気をつけろよ、などと柄にもなく付け加えて、190cmを越す身体が窮屈そうに扉を潜るのを見送った。
 見送った後に毛クズが気になり、思わず手入れしてしまったのだが、これは神経質のなせる業だったろう。

2016/02/26 12:50 [edit]

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