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妖魔の砦その2  

 城砦裏手にある崖へ、数日かけて辿り着く。
 進み出たバイアンが荷物袋を地面に下ろし、通常の品より太くて頑丈そうなロープを中から苦労して取り出した。
 彼の言によると、すでにアルエス駐屯軍は前日に布陣したらしい。
 刻限は今日の正午――突っ立った赤毛を風に揺らしながら、真剣な顔でバイアンは注意する。
「移動や何らかの行動で時間をかけ過ぎると作戦は失敗になるから、あまり道草は食えないぞ」
「おぬしに言われんでも、分かっておるよ」
「そうかい、頼もしいね。それじゃ、ゴブリンどもの汚いツラを拝みに行くか」

 そう言って革の指ぬきグローブをつけた手を擦り合わせると、彼はすでに翼をはためかせているテーゼンへロープを渡した。
 両腕でもってロープを所持した頼りになる悪魔は、己の翼を力強く羽ばたかせ、褐色の岩肌に沿って上昇していく。

妖魔の砦2

「よし、ロープを下ろすぜ」

 一際太い幹を持つ木に、ロープを手早く確実に巻きつけ終わると、テーゼンは長い端を崖の下の仲間たちへと垂らして待つ。
 バイアンが、アンジェが、シシリーが、ウィルバーが次々とロープを伝って昇っていく。
 ロンドも途中でややぐらつきながらも、どうにか自分の体を頂上へ持ってくることに成功した。
 問題はテアである。
 年寄りにロープワークをあえてやらせるのも怖かったので、革の厚い上着を腰に当ててクッションにし、そこにロープを巻きつけて全員でちょっとずつ持ち上げた。
 おかげで時間は思ったより喰ったものの、幸いにして怪我もせず全員が砦の背後を突く位置に来られたわけだ。
 バイアンが懸念していた野生動物との遭遇も、テーゼンの適切な調査で避けることができた。

「砦の裏門だ」

 石で造られた建物に近づくと、バイアンがごくりと喉を鳴らした。

「見張りはいないようだが…油断しないで行こうぜ」
「了解」

 短く応えると、テーゼンはここでホビット娘に視線を移した。

「ここからはお前の仕事だな」
「任せといて、羽の兄ちゃん」

 にやりと笑ったアンジェが音もなく扉に近づくと、その鍵穴を図るように指で突付く。
 施錠はされているが、罠は特に見当たらない。
 ということは、ここから強襲されることを、さすがのロード種も警戒はしているものの本気にはとっていないのかもしれない。
 折角のアドバンテージを自分たちの行いで消してはならじと、一同は静かに砦の内部へと入った。
 開けたすぐ向かいに扉があったものの、魔法の鍵が掛かっていることに気づいたアンジェは、解除をする手段がないためパーティを南の通路へと導く。

「…ん?」

妖魔の砦3

 彼女は手を横に広げて仲間の進行を止めると、這うようにして壁の一部を調べ始めた。

「ここには罠がある。何も知らずに通り過ぎようとすれば、側面の壁から矢が飛ぶんだよ」
「解除できる?」
「大丈夫だよ、姉ちゃん。ちょっと待っててね」

 アンジェは調べていた壁から二つほどレンガを取り外し、その奥にあったレバーを引く。
 これが解除装置だったらしく、かちりと軽い音がして、矢が飛び出そうとしていた穴が塞がった。
 それにしても、とウィルバーが呟く。

「こんな物があるということは、私たちの侵入をやはり警戒していたということでしょうか…」
「一応の保険程度じゃないかな?だって、ここに元々あったトラップだったみたいだし」

 あとは裏口での出入りさえ禁じておけば、間抜けな仲間が引っかかるのを防ぐことができる。
 もしかかった者がいたら、それは裏から侵入した敵か、味方にするには当てに出来ない不要な仲間、ということなのだろう。

「でもね」

とアンジェはある扉の前で立ち止まった。

「ここは施錠がされている上に、アラームがなる仕掛けまであるよ。…こっちは、さすがにゴブリンの仕業だろうね」

 彼女はブーツの底に仕込んでいた針金を取り出すと、ある一定の方向からだけそれを鍵穴に差し込み、しばらくノブを弄っていた。
 小さな手ごたえと共に、鍵とアラームが同時に外れる。
 聞き耳を行った限りでは、この向こうに誰もいないと分かっていた冒険者たちは、砦の北側に広がる廊下へと滑り込んだ。

2016/02/20 12:31 [edit]

category: 妖魔の砦

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