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狼の森その2  

 この森は藪が深い箇所が多々あり、人が通れる道というのが限定されてしまうようである。
 特に体力に不安のあるテアやウィルバーを気遣い、野伏の経験を持つ悪魔は、神経を研ぎ澄ませて斥候役を務めた。
 途中、一際大きな体躯を持ちながら、何となく動きの鈍い狼を仕留めたパーティは、あまりの藪の深さにとうとう一方向にしか進めなくなってきた。
 ある地点で足を止めたアンジェが仲間を振り返る。
 耳のいい彼女は、誰より先に獣の息遣いらしきものを聞き取ったのである。
「この奥に何かいそうだね…準備はいい?」
「いえ、ちょっと待ってください」

 落ち着いた挙措で【魔法の鎧】と【理矢の法】を唱える。
 不可視の鎧が一同を包みこみ、目標を提示されるまで周りをぐるぐる回っている魔力の矢を確認したウィルバーは、アンジェに頷いてみせた。

「よし、いくよ……」

 更に奥へと踏み込むと、アンジェの予測通り狼の群れが待ち構えていた。

「ガルゥ!」

 明らかに敵意を持った狼の咆哮に動揺することもなく、旗を掲げる爪は素早く散開する。
 ロンドが怪訝な顔になって、一行の頭脳役に顎をしゃくった。

狼の森2

「見てくれ、あの狼、群れのリーダーって感じがするな。あいつを倒せば統率が崩れるんじゃないか?」

 こと喧嘩などの荒事になると、かなり鼻の利く男である。
 彼の見立てどおり、奥にいる一頭は抜け目のない面構えをして一行を警戒している。
 明らかに只者ではない気配に気づいているのだ。

「なるほど、そうかもしれませんね……」

 ウィルバーは手早く【蒼の軌跡】を唱え、極低温の光線をリーダーらしき狼へと放った。
 毛皮に突き刺さった冷気が、ぱっと血の飛沫を宙に飛ばす。
 同時に、リーダーの咆哮が狼たちを戦いに駆り立てるように響く。
 セレネフィアで戦った狼よりも士気の向上した動きに戸惑ったのか、テアが手傷を負いながらもまた子守唄を歌い、群れの大方を眠らせることに成功した。
 しかし、その歌から逃れた一頭がこちらへと走り寄る。
 素早く老婆が舌打ちした。

「しまった、嗅覚か……!」

 血の匂いを嗅ぎつけたのか、爪に引っかかれて動きの鈍っているテアに止めを刺そうとしているようだ。
 ロンドがその進路を遮るように動き、スコップを振り上げた。

「おおおお!」
「ギャウン!」

 オーガに匹敵する馬鹿力で、真っ向から脳天をかち割られた狼が地に伏せる。
 テアに駆け寄ったシシリーが、上手く法術を唱えることに成功し、彼女の傷を淡い光で癒して完治させた。
 残りの眠ったままの狼を、急所を狙って各自で攻撃し始める。
 そんな中、狼のリーダーへと接敵したロンドは、血に濡れた燃え盛るスコップを思い切り振りかぶり、喉の辺りを思い切り突いた。
 尖ったスコップの先は剣もかくやというほど鋭くなっており、苦もなく野生の獣の体を裂く。

狼の森3

 群れのリーダーが倒されたことで、統率が失われた狼たちは慌てふためいている。
 ――残った一頭は、ウィルバーの【蒼の軌跡】による冷気が引き裂いた。
 この森に住み着いた狼は大分片付いたようだ。
 統率していた個体が消失した以上、これまでのような被害は出ないはずだ。
 やれやれ、と安堵した一同だったが、ふと気づくとテーゼンがある草むらを注視している。

「どうしたの?」
「アンジェ、あれ……」
「あれ?」

 鸚鵡返しに呟いた後、妙に密度の濃い一角を改めて盗賊の視点で見てみる。
 何かが隠されていることに気づいた彼女は、植物の棘や毒虫に気をつけながら手を突っ込んだ。

「何か、あったわ!」

 アンジェが掴んだものを引きずり出すと、それは六芒星の書かれた護符であった。
 この森で狼たちに襲われた旅人のものだろうか、銀貨100枚が入った皮袋も傍に落ちている。
 仲間が鑑定を頼んで渡してきた品を、つくづくと眺めてウィルバーが言った。

「これは……器用さの勝った攻撃を出しやすくする魔法がかかっていますね。剣士の護符、という名前で何処かの資料に載っていたのを読んだ事があります。なかなか便利な品ですよ」
「襲われた旅人の荷物かしら、貰っておきましょうよ」
「ええ、それが良いでしょうね」

 こういった魔法の品が、近隣の農民たちの所有物である可能性は極めて少ない。
 前情報などにも、こういった宝を取られてしまったという報告はなかったのだから、自分たちの荷物袋に入れても文句は出ないだろう……彼らはそう結論付けると、狼を退治した報告が早く村々に伝わるように、宿への帰り道を急いだ。
 ほどなく戻ってきた旗を掲げる爪を出迎えた宿の亭主が、顔を綻ばせて尋ねる。

「お帰り、早かったな。仕事は無事に済んだのか?」
「ああ、当然さ!」

 何しろ野外活動の専門家がついていたのだから――と胸を張るテーゼンに、亭主も嬉しそうに首肯した。

「そうか。依頼人の農家の人たちも悩みの種が減って喜ぶことだろうな。じゃ、これが報酬だ」

 亭主が差し出してきた金袋を受け取りつつ、シシリーが護符の件について訊ねると、やはりそういった報告は亭主の方には来ていないらしい。
 貰っておいて大丈夫だろう、と亭主から太鼓判をもらったパーティは、ホクホク顔で早めの夕飯を注文し始めた……。

※収入:報酬600sp+100sp、≪剣士の護符≫
※支出:
※その他:クエスト様のACM(メレンダ街収録)にて、各種クラスクーポン及びアイテムを取得。戦士→ロンド、聖職者→シシリー、盗賊→アンジェ、野伏→テーゼン、魔術師→ウィルバー
※スロット様作、狼の森クリア!
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■後書きまたは言い訳
7回目のお仕事はスロット様の狼の森でした。
こちらの依頼をやりたかったのは、ひとえに会心の一撃を配ってくれる≪剣士の護符≫を入手したかったからです。すいません。
アンジェに会心の一撃が回ってこないと、彼女がなかなか戦力にならないのですね。
それも、技能配布アイテムだと【盗賊の眼】や【盗賊の手】が先に手札に来てしまうので、ここで貰える≪剣士の護符≫がどうしても欲しかった……!
実はこちらの作品、ゴブリンの洞窟の改変シナリオのひとつなのですが、森の中の散策という依頼のためか、閉塞感のない印象が強かったです。
難を言えば、相手が獣だから確率で後ろから不意打ちされるとかあってもいいかな、とは思ったのですが、そこまで組むとまた面倒くさいだろうというか……うん、自分でも作るようになっちゃうと、色々察することもあってあんまり言えませんね(笑)。
ですが、駆け出しをやや卒業しかけたくらいのパーティにぴったりなシナリオでした。ありがとうございます!
この仕事の後、メレンダ街でクエスト様のAdvancedCharacterMakingへ突入し、クラスクーポンを取得してきました。
次回の仕事にどうしても必要なもので……。

当リプレイはGroupAsk製作のフリーソフト『Card Wirth』を基にしたリプレイ小説です。
著作権はそれぞれのシナリオの製作者様にあります。
また小説内で用いられたスキル、アイテム、キャスト、召喚獣等は、それぞれの製作者様にあります。使用されている画像の著作権者様へ、問題がありましたら、大変お手数ですがご連絡をお願いいたします。適切に対処いたします。

2016/02/19 12:23 [edit]

category: 狼の森

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