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Tue.

空となるか?その2  

「もう~。どうして、遅かったの?」

 唇を尖らせたリタの文句に、少しだけ首を傾げてシシリーが宥める。

「ごめんね。少し、君のおばあちゃんと話をしていたんです」
「早く!早く行こう!」

 厚手のブラウスに包まれたシリーの腕を取り、ぐいぐいと引っ張ろうとするリタに苦笑したウィルバーが、そもそもと口を挟む。

「道は分かりますか?」
「こっちこっち!」

 彼女は迷うことなく、山のある一点を指差した。
 迷子になることを恐れて、予め自分たちから離れないよう注意すると、元気な返事が返ってくる。
 それに安堵して、一行は隊列を組むことにした。
 まずは山歩きに慣れているテーゼンと身軽なアンジェが前に。
 蜂や、万が一にその他の敵が出てきたときのため、すぐ入れ替われる位置にロンド。
 その後ろにリタを挟んでテアとウィルバーが続き、しんがりをシシリーが守ることになった。
 穏やかとは言え、一応山道だからと、彼女が転ばぬよう気を配っていたウィルバーが訊ねる。

「葉っぱがどの辺に生えてるかは知ってますか?」
「うん!えっとね……」

 しばし、琥珀色の瞳を彷徨わせていたリタが、一本の道を見つけて彼に示した。

「ここを、ずっとまっすぐ進めばいいの!」

 少々からかう様な声音になって、ウィルバーが言う。

空となるか3

「探す葉がどんな物だったかは覚えていますか?」
「えっ、えっと……葉っぱが……」

 人差し指を顎に当て、視線を上にやっていたリタが、思い出した情報を得意げに披露する。

「葉っぱが三角で、つぼみが丸くて、黄色っぽいの!」
「よくできました。似たようなのを見かけたら教えてくれますか?」

 もちろん、知識豊富な魔術師たるウィルバーはお茶の葉の現物を知っているのだが、リタの元気とやる気を削がないようにそう頼んでみた。
 少女は嬉しそうに頷いている。
 アンジェとテーゼンは、耳障りな音を立てることもなく辺りを探っていた。
 近くに危ない野生の獣などがいないことを確認し終わり、アンジェは重なる木の葉を通して降り注ぐ陽光に目を細めた。

「いい感じの山ね……ここでのんびりしたいわ」

 リタが嬉しげに声を上げる。

「うん、爽やかでとってもいい山よ!」

 鞠が弾むような足取りでころころと一行について来る。
 その様子を後ろから見守っていたシシリーが、それにしてもとひとりごちた。

「魔物の目撃例がないなんて……今時珍しいぐらいね」

 出ると聞いていたのは蜂ぐらいだが、今のところその姿すらない。
 近所の森に出たゴブリンやら狼やらを退治してきた旗を掲げる爪にとって、この山は驚くほど安全な山のように思われた。
 もっとも、蜂といえども侮ることはできない。
 蜂の持つ毒は単独ならば怖くはないが、蜂は大抵群れで現れるものだから、重ねてあの針を突き刺されるのはひどく危ないからだ。
 それをちゃんと理解していないのか、それとも知っていてあえて気軽な調子を崩したくないのか、

「いるとしても、蜂さんでしょ?」

と先頭から振り返ってこちらを見たアンジェが応じる。
 耳ざとい娘だ。
 笑いを多分に含んだ声で、見て見てとある地点を指差す。

「お花がいっぱい咲いてるんだね」

 彼女の指差す先には、紫がかったピンクの花をつけたヘリオトロープの花がある。
 香料にも使われることのあるハーブの一種だ。
 低木に付いた花の甘い匂いを肺にいっぱい入れ、一行は更に先を進む。
 ごつごつした岩肌が目立つ崖が見える場所まで来ると、リタが足の速度を緩めてウィルバーの服の端を、注意を引くために引っ張った。
 少女は顔の横に垂らしたお下げを揺らしつつ、周囲を見渡している。

「うーんと、もうそろそろで、葉っぱあると思うんだけど……あっ」
「何なに?葉っぱ見っけた?」
「うん、あった!」

 子ども同士のやり取りの後、まだ短い指が茂みの上方に咲く黄色いつぼみを指した。

空となるか4

 その先には、確かに言われていた特徴通りの植物が茂っている。

「間違いないのう。あの葉じゃろうて」
「ちょっとリタじゃ届かないな。俺が採ってやるよ」

 テーゼンが翼をはためかせ、つぼみのある箇所まで上昇すると、手慣れた様子で丁寧に葉を摘んで少女の目の前まで降りてきた。
 これで祖母が治る、と信じ込んでいるリタの顔は、達成感に輝いている。

「よし。じゃあ、帰ろうか。おばあちゃんが待ってるだろ」

 テーゼンが笑顔をリタに向けると、少女は待ちきれないとでも言うように身体を揺らして賛成の意を表した。

「うん!早く!早く帰ろう!」
「あっ!待てー!」

 まるで他愛無い鬼ごっこをしているかのように、リタとアンジェが走ってもと来た道を駆け出す。
 そろそろ息が切れてきたテアを背負ったロンドがその後を追いかけ、他の仲間が後に続いた。
 彼らはまるでピクニックに訪れた仲の良い家族のような睦まじさで、依頼人へ目的の葉を届けたのであった……。
 後日、彼ら一行は城館の街セレネフィアというところに来て、新たな技術を仕入れたり、小さな依頼を受けたりしていたのだが…ウィルバーはその時にふと思い出した。
 今後について追求したウィルバーへ、老婦人はこう言ったのである。

「私はリタと一緒に生きていきます。孤独って、何よりもつらいものだもの」

 生きていれば、どうだってなる。
 彼女のその言葉を頭の中で繰り返しつつ、魔術師は部屋の一方を眺める。
 彼の視線の先では、アンジェとシシリーが仲良く、たまにロンドから茶々を入れられながらも、今までの冒険で集めた荷を整理していた。
 我知らず、ウィルバーの口の端が笑みの形に上がっていた。

※収入:200sp+1100sp
※支出:追憶の書庫(のいん様作)にて【吊り蜘蛛糸】、城館の街セレネフィア(焼きフォウの人様作)にて【十字斬り】、周摩様の歌の一族にて【小悪魔の歌】を購入。
※その他:焼きフォウの人様の城館の街セレネフィアにて”縞模様の石採取””ネズミ退治の依頼”をクリアし、≪薬草≫を6本、報酬1100spを獲得。Niwatorry様の魔術師の工房にて≪薬草≫を≪傷薬≫2本に練成。
※倉林様作、空となるか?クリア!
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■後書きまたは言い訳
6回目のお仕事は、倉林様の空となるか?です。
一見したところほんわかした依頼なのかな?と判断した貼り紙だったのですが、意外と重いテーマが突きつけられるマルチエンドのシナリオです。
安楽死は現代でも是非が問われている事柄ではありますが、深く考えれば考えるほど、様々な意見が出てくるに違いないと。……深いテーマの作品だなぁ。
この冒険者たちだからこそこちらのルートを選んで終わらせたのですが、もし≪金狼の牙≫だったら……。
アウロラもいなかったら……あのルート突き進んでるかもしれないですね。ギル、一度やらかしてますし。
ちなみに、こちらの作品ではりり様の魔女の依頼とは別にクロスオーバーしていなかったのですが、薬効のある草が生えている地域ということで、ご近所扱いさせてもらいました。すいません。

この後にスキルを購入しがてら、焼きフォウ描いた人様の城館の街セレネフィアで依頼も2件受けております。
格好つけてはみたものの、さすがに200spの収入ではちょっと悲しかったもので。お許しあれ。
おかげさまで、お下がりじゃないスキルがかなり増えてきています。
特に【呪縛】【沈黙】のキーコードは早めに集めておきたかった(個人的好みです)ので、これでやっと一息つける感じです。

当リプレイはGroupAsk製作のフリーソフト『Card Wirth』を基にしたリプレイ小説です。
著作権はそれぞれのシナリオの製作者様にあります。
また小説内で用いられたスキル、アイテム、キャスト、召喚獣等は、それぞれの製作者様にあります。使用されている画像の著作権者様へ、問題がありましたら、大変お手数ですがご連絡をお願いいたします。適切に対処いたします。

2016/02/16 22:14 [edit]

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