Sun.
紅き鷹への葬送曲 3 
「なんだ!テメーらァッ!!」
首領らしき大男の横にいた盗賊が、一行に向かって叫ぶ。
「ようこそ・・・ってところかァ?招かれざる客さんよォ・・・・・・!」
「お前たちはやりすぎたのさ。出る杭を打ちに来た」
「大方、ギルドの連中の手先だろ?・・・・・・ギルドの面子丸つぶれだな。粛清を冒険者に任せちまうなんざ、今までねぇぜ?」
ねちゃねちゃとした口調で言う紅き鷹旅団の首領に、エディンがひどく冷めた様子で言い放った。
「その面子も、ここでお前を始末すりゃ取り戻せる。とっとと死んでもらおうか」
エディンのその台詞に迎合するように、ギルも言った。
「・・・お喋りはそのくらいにしておくんだな」

「せっかちな連中じゃねぇか。いいぜ、かかって来いやァッ!!」
前衛を務めるギルとアレクは、まず渾身の一撃を首領に向けた。
ジーニは呪文を唱え、アウロラは他の者の怪我をすぐ癒せるよう、自分を防御して備える。
ミナスはエディンに目配せされ、彼と同じように雑魚のひとりに斬りかかった。
「ぎょえっ!」
【雪精召喚】によって現世に現れていたスネグローチカが、雑魚の梅雨払いをする。

その隙に、他の面子が首領へと攻撃を行い、ギルが受けた傷をアウロラがすぐさま癒した。
首領が「バケモノだ」という幹部の話は本当らしく、ジーニの【魔法の矢】の呪文にも抵抗してみせた。
「くっ・・・・・・、手ごわいわね」
「・・・・・・!ジーニ、危ない・・・!」
歯噛みしたジーニに体当たりするように、ミナスが動いた。
驚くジーニの視界の中で、先ほど自分が放ったのとは違う【魔法の矢】が、ミナスの背中に突き刺さっている。
「・・・援護に来ましたよ、首領殿」
紺色の薄汚れたローブに身を包んだその男こそ、”金狼の牙”が警戒していたモグリの魔術師に違いなかった。
「ミナス・・・っ!」
慌てて回復呪文を唱え始めたアウロラを嘲るように、首領が余裕を含んだ笑みを浮かべる。
「ハッ、ようやく来たか!」
その勢いを剣に乗せたかのような凄まじい威力の【居合い切り】が、アレクの体を袈裟懸けに切り刻む。
「く!!」
「アレク!くっそ、コノヤロウ!」
ミナスの怪我と幼馴染の出血に激昂したギルが、剣を振り切った首領の懐に飛び込み、思い切り斧を下から上に振り上げた。
斧の凶悪な刃は、首領の大きな体を存分に断ち割り、血しぶきを派手に上げた。

「ぐォアッ!」
首領がその場に倒れると、魔術師は、
「ぐっ・・・ここは退かねば・・・・・・」
と言って、すかさず【帰還の法】を唱えて転移した。
それと同時に、他の部屋にいたらしい雑魚が首領部屋に入ってきた。
冒険者たちが動く間もなく、雑魚は事の顛末に驚き、逃げ出していった。
「盗賊団をまとめていた首領が倒されれば後は勝手にバラバラになっていくでしょう」
アウロラの静かな言葉に、一同は頷いた。
アレクやミナスの怪我を【癒身の法】や【水淑女の守】で癒すと、”金狼の牙”たちは、誰もいなくなったアジトの残りの部屋を調べて廻った。
≪防護の指輪≫や≪魔法薬≫、【魔毒の矢】の魔法書など、中々高価な物を発見していく。
報酬の値上げはなかったが、ここにあったものをどうするかは言及されていない。
エディンに言わせると、「ささやかなボーナスさ。向こうさんも、俺らに仕事頼むなら承知の上だから遠慮しなくていい」ということである。
あらかたの物を回収し終わって、一行は依頼人の”コウモリ”の元へと帰っていった。
「よし、よくやってくれた」
彼らを出迎えた男の第一声は、まずそれだった。
「頭をやられた連中はもう終わりだ。後はこっちで狩り出してやる」
「よろしく頼むぜ」
「魔術師は逃がしたそうだが俺たちギルドからは逃げられないさ。すぐに奴は始末される」
「そう願いたいもんだね」
エディンと幹部の会話に割り込むように、アレクが言った。
「ずいぶん信用してくれるな?」
「おいおい、馬鹿じゃないんだ。確認ぐらいはしてるさ。ともあれ、依頼は達成だ。こういう仕事はないだろうが・・・・・・、俺個人からの仕事を頼むかもな」
「その時はよろしくお願いする」

無愛想なアレクの返事に肩をすくめると、依頼人は金貨で1000spを払った。
冒険者たちは盗賊ギルドを後にした。
※収入1000sp、≪金鉱石≫≪コカの葉≫≪葡萄酒≫≪魔法薬≫≪防護の指輪≫【魔毒の矢】入手※
--------------------------------------------------------
■後書きまたは言い訳
11回目のお仕事は、Wizさんのシナリオで紅き鷹への葬送曲です。
”金狼の牙”を名乗り始めてからの初仕事、ということで、重みのあるシリアスシナリオで戦闘があるものがいいと思い、こちらを選びました。
作者様は「全く新しいことはやっていない」とおっしゃっておられますが、盗賊ギルドからの依頼であることや、戦闘の途中で逃げた魔術師が、実は違うシナリオの伏線になっていることなど、中々面白いと思います。
因縁のある相手と決着を着ける・・・というのは、ファンタジーに限らずカッコイイですよね。
それにしても、今回のエディンは珍しく真っ黒だったなあ・・・・・・(笑)。
当リプレイはGroupAsk製作のフリーソフト『Card Wirth』を基にしたリプレイ小説です。
著作権はそれぞれのシナリオの製作者様にあります。
また小説内で用いられたスキル、アイテム、キャスト、召喚獣等は、それぞれの製作者様にあります。 使用されている画像の著作権者様へ、問題がありましたら、大変お手数ですがご連絡をお願いいたします。適切に対処いたします。
首領らしき大男の横にいた盗賊が、一行に向かって叫ぶ。
「ようこそ・・・ってところかァ?招かれざる客さんよォ・・・・・・!」
「お前たちはやりすぎたのさ。出る杭を打ちに来た」
「大方、ギルドの連中の手先だろ?・・・・・・ギルドの面子丸つぶれだな。粛清を冒険者に任せちまうなんざ、今までねぇぜ?」
ねちゃねちゃとした口調で言う紅き鷹旅団の首領に、エディンがひどく冷めた様子で言い放った。
「その面子も、ここでお前を始末すりゃ取り戻せる。とっとと死んでもらおうか」
エディンのその台詞に迎合するように、ギルも言った。
「・・・お喋りはそのくらいにしておくんだな」

「せっかちな連中じゃねぇか。いいぜ、かかって来いやァッ!!」
前衛を務めるギルとアレクは、まず渾身の一撃を首領に向けた。
ジーニは呪文を唱え、アウロラは他の者の怪我をすぐ癒せるよう、自分を防御して備える。
ミナスはエディンに目配せされ、彼と同じように雑魚のひとりに斬りかかった。
「ぎょえっ!」
【雪精召喚】によって現世に現れていたスネグローチカが、雑魚の梅雨払いをする。

その隙に、他の面子が首領へと攻撃を行い、ギルが受けた傷をアウロラがすぐさま癒した。
首領が「バケモノだ」という幹部の話は本当らしく、ジーニの【魔法の矢】の呪文にも抵抗してみせた。
「くっ・・・・・・、手ごわいわね」
「・・・・・・!ジーニ、危ない・・・!」
歯噛みしたジーニに体当たりするように、ミナスが動いた。
驚くジーニの視界の中で、先ほど自分が放ったのとは違う【魔法の矢】が、ミナスの背中に突き刺さっている。
「・・・援護に来ましたよ、首領殿」
紺色の薄汚れたローブに身を包んだその男こそ、”金狼の牙”が警戒していたモグリの魔術師に違いなかった。
「ミナス・・・っ!」
慌てて回復呪文を唱え始めたアウロラを嘲るように、首領が余裕を含んだ笑みを浮かべる。
「ハッ、ようやく来たか!」
その勢いを剣に乗せたかのような凄まじい威力の【居合い切り】が、アレクの体を袈裟懸けに切り刻む。
「く!!」
「アレク!くっそ、コノヤロウ!」
ミナスの怪我と幼馴染の出血に激昂したギルが、剣を振り切った首領の懐に飛び込み、思い切り斧を下から上に振り上げた。
斧の凶悪な刃は、首領の大きな体を存分に断ち割り、血しぶきを派手に上げた。

「ぐォアッ!」
首領がその場に倒れると、魔術師は、
「ぐっ・・・ここは退かねば・・・・・・」
と言って、すかさず【帰還の法】を唱えて転移した。
それと同時に、他の部屋にいたらしい雑魚が首領部屋に入ってきた。
冒険者たちが動く間もなく、雑魚は事の顛末に驚き、逃げ出していった。
「盗賊団をまとめていた首領が倒されれば後は勝手にバラバラになっていくでしょう」
アウロラの静かな言葉に、一同は頷いた。
アレクやミナスの怪我を【癒身の法】や【水淑女の守】で癒すと、”金狼の牙”たちは、誰もいなくなったアジトの残りの部屋を調べて廻った。
≪防護の指輪≫や≪魔法薬≫、【魔毒の矢】の魔法書など、中々高価な物を発見していく。
報酬の値上げはなかったが、ここにあったものをどうするかは言及されていない。
エディンに言わせると、「ささやかなボーナスさ。向こうさんも、俺らに仕事頼むなら承知の上だから遠慮しなくていい」ということである。
あらかたの物を回収し終わって、一行は依頼人の”コウモリ”の元へと帰っていった。
「よし、よくやってくれた」
彼らを出迎えた男の第一声は、まずそれだった。
「頭をやられた連中はもう終わりだ。後はこっちで狩り出してやる」
「よろしく頼むぜ」
「魔術師は逃がしたそうだが俺たちギルドからは逃げられないさ。すぐに奴は始末される」
「そう願いたいもんだね」
エディンと幹部の会話に割り込むように、アレクが言った。
「ずいぶん信用してくれるな?」
「おいおい、馬鹿じゃないんだ。確認ぐらいはしてるさ。ともあれ、依頼は達成だ。こういう仕事はないだろうが・・・・・・、俺個人からの仕事を頼むかもな」
「その時はよろしくお願いする」

無愛想なアレクの返事に肩をすくめると、依頼人は金貨で1000spを払った。
冒険者たちは盗賊ギルドを後にした。
※収入1000sp、≪金鉱石≫≪コカの葉≫≪葡萄酒≫≪魔法薬≫≪防護の指輪≫【魔毒の矢】入手※
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■後書きまたは言い訳
11回目のお仕事は、Wizさんのシナリオで紅き鷹への葬送曲です。
”金狼の牙”を名乗り始めてからの初仕事、ということで、重みのあるシリアスシナリオで戦闘があるものがいいと思い、こちらを選びました。
作者様は「全く新しいことはやっていない」とおっしゃっておられますが、盗賊ギルドからの依頼であることや、戦闘の途中で逃げた魔術師が、実は違うシナリオの伏線になっていることなど、中々面白いと思います。
因縁のある相手と決着を着ける・・・というのは、ファンタジーに限らずカッコイイですよね。
それにしても、今回のエディンは珍しく真っ黒だったなあ・・・・・・(笑)。
当リプレイはGroupAsk製作のフリーソフト『Card Wirth』を基にしたリプレイ小説です。
著作権はそれぞれのシナリオの製作者様にあります。
また小説内で用いられたスキル、アイテム、キャスト、召喚獣等は、それぞれの製作者様にあります。 使用されている画像の著作権者様へ、問題がありましたら、大変お手数ですがご連絡をお願いいたします。適切に対処いたします。
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