Thu.

大時計その4  

 オーブのあった部屋をすり抜け更に奥へと進むと、そこにはかなり古びた石板が壁にかけてあった。

 一番先にそれへ近寄ったテーゼンが、眉根を寄せる。

「ずいぶん古い文字みてえだな……」

 その背後から近寄って、現代とまったく違う綴りを形成している石板をしばらく眺めていたウィルバーが、腕を組んで頷いた。

「……なるほど、大体分かりました。さっきの大仕掛けは、どうやらこの時計台の中だけ、時間をループさせるためのもののようです」
「ってことはもしかして……」
「はい、テーゼン。やはり『止まらない大時計』のからくりがこれですね。たしかに時計なら、同じ時間を繰り返していても外界には問題ありません……考えたものです」

 先人の知恵に感じ入っていたウィルバーを正気に戻すように、テーゼンが水を差す。

「……それはいいけどよ、肝心の異変の原因はわからねえのか?」

大時計4

「推測ですが……さっきひとつ割れていた玉のせいで、この魔法が町の外にまで広がったのではないでしょうか?」

 ぴっと人差し指を真っ直ぐ立てて自分の考えを述べた彼は、石板の端の方に目を留めてまた近づいた。

「こちらは公用語ですね。……『異常の際は南北の玉を速やかに持ち出し、賢者の搭に指示を仰ぐこと』――なるほど」

 結局のところ、異変の原因まではさておき、オーブが割れていた件については立派な異常であろう。
 公用語の指示に従い、冒険者たちは南北の位置に置かれているオーブを回収し、賢者の搭まで持っていくことに決めた。
 さっそくウィルバーが玉を抱え込むと、なにかが収束するような音のした後に、部屋の中央に走っていた魔法陣の紋様が消え去った。

「さて、では参りましょうか?」

 彼の誘いに同意すると、一同は元来た道を引き返していった。
 ――その後。
 時計台前に人がいないのを確認後に表に出て、真っ直ぐクォーツ氏の店へと走っていった旗を掲げた爪は、仕事の首尾を尋ねる氏にことの報告を行なった。

「……そんなことが……その、割れた玉が異変の原因なら……いいんですが……」

 依頼人のセリフに、ため息をつきながらシシリーが言う。

「『明日』にならないと結果がわからないものね……」

 苦笑いし合った依頼人と冒険者たちだったが、とにかくと彼女が切り出した。

「回収してきたものは渡しておくわ。後の事は任せていいわよね?」
「はい、とりあえず預かっておきます」
「しかし……異変はともかく、あの時計……あれだけの仕掛けで支えていたものです」

 思案げに杖で顎を押さえた男は、クォーツ氏に自分の懸念を説いた。

「そう簡単には元の状態に戻らないかもしれませんね」

 その言葉に、珍しくもくすりとクォーツ氏が笑った。

「魔法の力に頼らなくったって時計は動きますよ。……僕が証明してみせます」

 力強く胸を叩いてみせた彼は、『明日』になったら後金を宿に届けると約束する。
 冒険者たちは万が一の場合を想定した氏に促され、夕方前にリューンを離れ、結果を待つことにした。
 ≪狼の隠れ家≫に戻ってきた面子を確認した宿の亭主が、

「おう、お帰り。仕事の方は無事に済んだのか?」

と軽い調子で声をかけてくる。
 シシリーはやや苦味を帯びた笑いで応えた。

「さあ……『明日』にならないとなんとも言えないわ」

大時計5

「……どういう意味だ?」
「まあ、一仕事してきたのは確かよ。今日は休ませてもらうわ」
「あ、ああ……」

 しきりと首を傾げていた亭主だった。
 あくる日の午後。
 ちゃんと宿には報酬が届き、一同は胸をなでおろしたと言う。
 旗を掲げる爪は、それを元手にリューンを離れたある都市で依頼をいくつか引き受けた……。

水の都

※収入:800sp
※支出:なし
※その他:SARUO様の水の都アクエリアにて”護衛の依頼””財宝の地図””整備の手伝い”をクリアし、【手当て】【必中の矢】≪亡者退散(スクロール)≫≪クロスボウ≫を獲得。【必中の矢】を300spで売り払い。
※焼きフォウ描いた人様作、大時計クリア!
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■後書きまたは言い訳
3回目のお仕事は、シナリオを作る際に素材を使わせていただいている作者様の一人、焼きフォウさんの大時計です。
構造上はこれもゴブリンの洞窟の改変なんですが、そうとはまったく気づかせない(…というか私本気で途中まで気づかなかった)不可思議で好奇心をそそられるストーリーに引き込まれます。
ただ、あいにくと計算外だったことに……「_貪欲」の特性がないと、例のアイテム取得できなかったんですね。
うーわー、誰も持ってなかったよこのパーティ。
なお、街シナリオ依頼をまた依頼と依頼の合間に受けていこうと思います。
今回はそんな中、1~4レベル対象の街シナリオ、SARUOさんの「水の都アクエリア」をセレクト。
独特のシステムで短い依頼をいくつも受けられる、低レベルパーティにはありがたい作品です。
ここで私が何を手に入れたいと思っているか…わかる方には分かっていただけるかと。
コツコツ遊んでいきたいとおもいます。

当リプレイはGroupAsk製作のフリーソフト『Card Wirth』を基にしたリプレイ小説です。
著作権はそれぞれのシナリオの製作者様にあります。
また小説内で用いられたスキル、アイテム、キャスト、召喚獣等は、それぞれの製作者様にあります。使用されている画像の著作権者様へ、問題がありましたら、大変お手数ですがご連絡をお願いいたします。適切に対処いたします。

2016/02/04 14:10 [edit]

category: 大時計

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