Sat.

機械仕掛けの番犬 2  

 メイドのような格好をしたその少女は、16、7歳といったところだろう。
 平凡な顔立ちながら、そばかすの浮いたかんばせは生き生きとしていて、非常に朗らかな印象を与えてくる。
 依頼について話すと、少女は、

「じゃあ、あなた達が実験の手伝いをしてくれるのね。ありがとう。それじゃ、さっそく中に入って」

と言う。自己紹介によると、どうやら、彼女が依頼を出した人らしい。

(妙だな・・・?)

と、エディンは思った。
 宿の親父さんの話からすると、ファラン・ディトニクスは、リューンの街中まで使いが出来る年頃の娘がいるはずだ。とても、若い彼女にそんな大きな子供がいるようには思えない。
 すると、その戸惑いを見透かしたように依頼人が言った。

「あら、意外だった?古代文明を研究する魔導師がこんな小娘で。これでも10年くらいは研究活動をしているのよ」

ScreenShot_20121107_005504671.png

 ジーニがこっそりとエディンに言う。

(魔導師に、外見の年齢は当てはめない方が良いわよ。中には、幻覚の魔法で若く見せるようにしたり、変身の魔法で自分の青春時代に変わってる魔導師だっているんだから。)
(なるほどな。彼女がそれに該当するなら、外見は関係ないってことか。)

 なんでも、今回の研究はゴーレムについてのものらしい。
 ゴーレムについて問われた一行は、ジーニからその注釈を受けた。

「ゴーレムはね。木とか金属で作られたお人形さんに、魔術で擬似生命を与えたものよ。古代遺跡なんかのガーディアンには最適ね。なにせ、エサがいらないんだから」
「よく知ってるわね、そのとおりよ」

 ターコイズに似た輝きの瞳を瞠って、依頼人がジーニの説明に頷いた。

「今までのゴーレムっていうのは、術者の命令にしか従わないものだったの。でも私が今作っているゴーレムたちは、簡単な言葉で命令を受け付けるものなの。魔法を知らなくても、命令できるのよ」

ScreenShot_20121107_010249843.png

 先ほど一行に対して威嚇した金属の犬も、彼女が作成したスチームゴーレムだという。動力源が魔法力と水蒸気と聞いて、ジーニが「へえ。斬新な試みね」と感心したような声をあげた。
 研究はほぼ完成しているが、実際に警備用スチームゴーレムが役立つかどうか、戦闘によるテストを冒険者相手にしたかったらしい。
 報酬は最低500sp、他にもボーナスの提示があった。そういうことなら、とギルが承知して、一行は屋敷の地下の奥、大部屋へと案内された。
 入り口の向こう側に、大きな鉄製の扉がある。
 その扉の横にガラス窓があり、ぼんやりと向こう側が見えている・・・ガラスの向こうが実験室のようだ。

「さ、この部屋へ入ってちょうだい。今から対戦の準備をするから、ちょっと待ってね」

 ファランはそういって、大部屋からいったん外に出た。
 しばらくすると、向こう側のガラス窓越しに、ファランが忙しそうに手元を動かしながら話しかけてきた。BGMは元気のいい蒸気の音や機械音である。

「・・・おまたせ。準備できたわ」

 ギルたちも、それに合わせて戦闘の準備を行い、補助魔法や召喚魔法をかけていく。
 ガラスの向こうへ「準備万端」の合図を送ると、ファランは嬉しそうに何かの呪文を唱えた。
 一行の目の前の扉が開いていく・・・。

2012/11/17 04:59 [edit]

category: 機械仕掛けの番犬

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