Wed.

泥沼の主 3  

踏ん張りの利かない沼地であることを鑑みて、渾身の攻撃を繰り出せない冒険者たちを嘲笑うように、大蛇はエディンの胴を、激しく尾で叩いた。ジーニの指先から出た、甘やかな煙を被りながら、である。

「ぐえっ」
「ちょっと・・・【眠りの雲】が効かない!?」
「詠唱で手を抜いたんじゃねえのか!?」

硬い鱗を武器でいなしながら、ギルが怒鳴り返す。
慌ててミナスが、泥の中から器用に水の精霊の声だけを拾い上げ、エディンを癒した。

「【水淑女の守】よ・・・」

だが、蛇の攻撃は、続けてギルの体力も半分以上奪っていった。
そのまま、太い蛇身の締め付けにあってしまう。
中々詠唱に集中できないアウロラに代わり、急いでミナスが水の精霊で癒すも、長い蛇の体が波打つと、今度はギルを助けようと慌てて前に出ていたエディンが吹き飛ばされ、気絶してしまった。

「んぎゃー!!気持ちわるっぬるぬるしてるっ」
「ぐ・・・今の、効いたぜ・・・」
「ギル!エディン!・・・うう、癒しの詠唱が間に合いません・・・!」
「やばいな・・・ギル、ちょっと待ってろよ!すぐ助ける!」
「だい・・・じょぶだって!」

火事場のくそ力とでも言うべきか、ギルのよく発達した筋肉が盛り上がると、そのまま豪腕で蛇の体を無理やり押しやった。

「ギル兄ちゃん、すっげー!」
「さあて・・・こっからが俺たちのターンだ!」

一撃、二撃と、着実にギルとアレクを中心として、蛇への傷を増やしていく。
ジーニがその後、詠唱の最中に攻撃され、重傷まで追い込まれるが・・・。

「えーい!!」
「――ッ!?」

ScreenShot_20120719_091904687.png

ジーニが倒れこむと同時、その向こう側にいたミナスが、己の頭ほどもある石塊を思い切り投げつけ、偶然、大蛇の急所に当てた。
試合終了のゴング代わりに大蛇が断末魔の叫びを上げた。
勝敗が決してからも大蛇は暫くの間、文字通り泥沼の中で「のたうちまわって」いたが、やがてその力すら失うと、自らが濁した水の中で物言わぬ”ひも”となった。

「か、勝ったああ!」

初勝利の余韻に、泥のしぶきが顔に散るのも構わず、ギルは大きな声をあげて両手を突き出したのだった。

2012/07/25 17:44 [edit]

category: 泥沼の主

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