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グライフの魔道書 2  

 トラップだらけ――そう評されるこの場所にミレイを連れて来たのは、なんとも切羽詰ったような響きを、彼女の台詞から偶々ギルが拾ったからであった。

グライフ5

「・・・ねぇギルバート。今回の仕事、私と組まない?」

と申し出た時の彼女の顔色が、どこかギルの勘に引っかかった。
 そもそも、ミレイと組んで仕事をするのは初めてではない。
 彼女は単独で≪狼の隠れ家≫に来る事が多かったのだが、人手が必要な時などは一仕事だけほかの冒険者と組むことがある。
 ”金狼の牙”たちもそうで、以前に組んだ時の印象や他の先輩たちの体験談からすると、彼女の評価は”トラップ関係のスペシャリスト”だが、戦闘に関しては・・・といったところ。
 実際にはそれほど弱い訳ではない。そもそも、弱ければ”金狼の牙”やその先輩たちと組んで仕事ができるわけが無い。
 身ごなしはとても素早く、相手の裏をかく戦法も取ることができるだけに敵に回すと厄介なのだが、そこまで知能の高くないモンスターが相手ともなると、その力を発揮しきれず窮地に追いやられることが多いらしい。
 そんな訳で大量のモンスターが相手ともなると、仕事を請けないか、他の冒険者を頼る事となる。

「ミレイはブラウムの村に行ったのか?」

 宿にいた時に発したギルの疑問に、ミレイは事も無げに「行ったけどめぼしい情報はなし」と答えていた。
 村人はうろたえているだけ、目撃証言も、原因になりそうな心当たりもまるでなかったのだと言う。
 少々原始的ながらも、何かかの祟りではないか・・・という話もあったそうだ。しかし村人のほうで思い当たる節が無く、それ以上の調査も困難を極めている。
 高位の魔道師が関わっているなら、あり得ない話ではないのだが・・・。

グライフ6

「『カナン王』・・・とか?」

 ギルがぼそりと出した名に、親父さんは頷いていた。

「ああ、そのクラスの魔道師や魔術師なら人為的にもこんな事件を引き起こせるだろうが・・・」
「そんな相手は、そうそういるもんじゃない・・・か」

 アレクの言葉に、だがミレイは何も言わなかった・・・・・・。
 親父さんに教えられた洞窟の入り口は幻覚によって隠蔽されていたのだが、ミレイがあっさりと見破っていた。
 内部はかなりの広さを誇っていた。加えて、相当数の罠も仕掛けられていたが、それらはすべてミレイが解除してくれる。
 現れる敵だけに集中できる分、いつもよりは楽なのだが、絶え間なくやってくるモンスターのせいで流石に息切れし始めた為、洞窟内の広場で一端休憩を取った。

「結構広いわね~。情報通り、罠だらけだし」
「片っ端から調べながら来たしな。後はココから北のエリアだけだろ?」

 ギルの言に、ミレイはこくりと頷く。

「ええ。・・・残りどれくらいかはわからないけどね」

 疲労から火照った足をナパイアスの水で冷やしてもらいながら、ミナスが「にしても・・・」と言って洞窟内を見渡した。

「こんな洞窟内にしてはトラップが多すぎじゃない?」
「ん~~。その辺の事情は知らないけど大方、どっかの盗賊がお宝隠すのにこの洞窟を改造したんじゃない?」

 ミレイが腕を軽く広げて言った推測に、ギルは肩をすくめる。

グライフ7

「魔道書はその戦利品って訳か」
「ま、ただの推測だけど・・・さ、休憩終わり。頑張って行こっ♪」

 発破をかけるような彼女の言葉に、いつになく言葉数の少ないエディンが頷く。
 この洞窟に出るモンスターは、いわゆる死霊などのアンデッドが多い――親父さんの言っていたとおり、この洞窟で出会う敵は大抵その手のカテゴリに入る存在であった。
 それらを適当にあしらいながら進むと、やがて少し開けた場所の奥に宝箱を見つけた。

「この中に魔道書が・・・?」

 アウロラの呟きに、「ちょっと待ってて、開けてみる」と言ったミレイが静かに進み出て、手慣れた様子で調べ始めた。
 やがて、罠は無いと判断したのだろう、白い指先が微細に動いて開錠する。

「開いた」

 箱の中には一冊の本が入っていた。
 ジーニの目の色が変わった。

「それは・・・」
「・・・結構古い文字ね。えっと・・・・・・」

 ミレイはページをめくって目視していたが、すぐにぺろりと小さく舌を出した。

「『上級魔道書・エグリルの章』って書いてある。・・・ハズレみたいね」
「グライフの魔道書じゃ無いのね・・・」

 疲れきったようなジーニの声音に、労わるようにミレイがフォローをした。

「でも、魔法使いには役に立ちそうよ。宿に帰ったら解読するといいわ」
「ええ、そうさせてもらうわ」

 とにかく目当ての品とは違うということで、一行はまた暗い洞窟の中を、フォーチュン=ベル製のカンテラを掲げて進んでいった。

「・・・・・・どうやらお目当ての品は近そうよ」

 ミレイの囁きに、眉間に皺を寄せたエディンが言う。

「ここ・・・行き止まりじゃ?」
「ここに仕掛けがあるんだな~。ちょっと分かりにくいけどね」

 そう言ってミレイが盗賊の七つ道具をブーツの隠し場所から取り出す。
 しばらく、その仕掛けとやらに彼女は掛かりきりになっていたが、焦れたギルが「まだか~?」とせっつくと、案外とすぐに、

グライフ8

「ん~~。もうちょっと待って・・・よし!」

という返事があった。
 目の前の壁だと思われていた部分が動き出す。
 ふむ、と顎を撫でてエディンが呟く。

「隠し部屋か・・・!」

2013/04/28 14:00 [edit]

category: グライフの魔道書

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