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satan 5  

 紆余曲折はあったものの、結局ラングと”金狼の牙”たちは危険手当と拘束期間の二つについて再確認を行い、その依頼を引き受ける事にした。
 例によってラングは感情論と彼個人の正義感で引き受けようとしていたため、アレクは依頼の内容をよく吟味し、自分の能力と照らし合わせた上で引き受けるよう進言していた。
 だが、他の者達もまた、子供の安否を気遣っていたのである。
 ミーナの案内で子供が失踪したバッカス家に移動する。
 ほとんど有益な情報を持たない両親から話を聞いた後、一行は息子の部屋から何か得るものがないかと探索を開始した。

「まず・・・・・・エディンさんの意見を伺いたいです。この部屋に侵入する経路は?」
「・・・・・・そうだな」

 エディンはラングの言葉にさっと眠たげな目を部屋に走らせると、小さく頷いて言った。

17satan

「目の前に見える窓・・・・・・俺たちが入ってきたドア・・・・・・この2箇所以外は考えられないな」

 そして、「ちょっと待ってくれ」と言うと窓に近づき、手慣れた手つきで調べ始める。

「鍵は外れている」
「外れている・・・・・・という事は?」

 きょとんとした様子のミナスに、間髪いれずエディンは答えた。

「ここから侵入した可能性が高いな。それに・・・・・・・・・」
「それに?」
「何かを引きずった様な跡がある」

 エディンは窓に残った微かな痕跡を指でなぞりながら呟いた。
 ジーニが柳眉を顰める。

「・・・・・・子供を?」
「恐らくな」
「・・・・・・・・・手慣れた者の犯行ですか?」
「いや、違うな」

 やや青ざめた感のあるラングに否定の回答をし、有能な盗賊の指がするりと窓に付けられている鍵を撫でた。

「ここの鍵は幼稚なもので、軽い衝撃で簡単に外れる。お前でも外せるよ」

 他に手がかりがないかどうかを確かめるため、くまなく部屋中を調査するも、そのほかに分かったのは、争った形跡がないために寝ている所を襲われたのだろうと言う推測くらいであった。
 考えられる線としては子供浚いか、怨恨か・・・・・・ジーニの言葉に顔を見合わせた一行は、ラングの主導で近所の聞き込みも行なったが、精々がバッカス家は仲のいい家庭であることが裏づけされた程度だった。

18satan

 有力な手がかりも得られぬまま宿に帰り、翌日5日目。
 事件は大きく動いた・・・・・・・・・最悪な形で。

19satan

「ゆ、行方不明の子供が見つかったようです!」
「何だと!?どこで見つかった!?」

 冒険者達が途中経過を報告しに来た治安局にて、突然飛び込んできた治安局員の一人がバイゼルに叫んだのは、もう昼も過ぎた頃のことであった。

「西南地区16番街の裏通り!特徴が酷似しているとの事です!」
「無事なのか!?」
「い、いえ、まだそこまでの情報は・・・・・・見つかったというだけで・・・・・・」

 舌打ちをしたバイゼルは、ミーナや”金狼の牙”たちを引き連れて現場へと急行した。
 傍らにいる、母親の代わりに小さな甥を心配して治安局に訪れた若い叔母を放置して・・・・・・。

「この辺りだな・・・・・・」

 バイゼルと冒険者たちは路地裏に到着した。日が出ている時間帯にもかかわらず、非常に薄暗く、辺りの視界がはっきりしない。
 遠めに2、3人の人だかりが見える。

「あそこか!」

 バイゼルの言葉と共にその場へ駆けつけると、治安局員の一人が青ざめた顔でこちらを振り向いた。
 皆が絶句する。目の前にあったのは――。
 一面を覆う血痕と・・・・・・散らばる内臓と肉片・・・・・・。

「な・・・・・・な・・・・・・・・・」

 言葉を失ってラングが口を戦慄かせる。碧眼である彼の目は、地面に無造作に置かれた子供の首に注がれていた。

「こんな・・・・・・・・」

 こんな無残な結果に終わるとは、という言葉を辛うじてアレクは飲み込む。
 子供が見つかったとすっかり興奮した若い叔母が、子供の母親を引っ張って現場にやってきてしまった事に気づいたからだ。

「ここよ!ここよ、姉さん!」
「デューク!デュークはどこ!?」
「なっ!だ、駄目だ!」

20satan

 慌てて彼女たちから酷い状態になっている子供の姿を隠そうとするも、時は既に遅く――。
 子供の空ろな眼と、母親の眼が合う。

「デュー・・・ク・・・・・・?・・・キャーーーーーーーッ!!!」

 母親の悲痛な叫びが、その場に木霊した。
 冒険者たちも、その場に立ち尽くす以外無かった・・・・・・。

2013/04/11 18:04 [edit]

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