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コデルモリアの英雄 5  

 屋内に潜む山賊の手下たちを、地の利が向こうにあるために少々手こずりながら進んできた”金狼の牙”たちは、とうとう頭領の前までやってきていた。

「くそっ・・・!ここまでやってきたとは信じられん!」
「覚悟して貰おうか。いくぜ」

 そう言って戦おうとしたギルだったが、部屋が狭いために相手の攻撃を回避するのが難しい。
 もっとも、それは敵側にとっても同じ事だったようで、アレクやエディンが手下たちへ容易に攻撃を当てている。
 それに気をよくして、【獅子の咆哮】で広範囲に攻撃を仕掛けると・・・。

「何!?絶対命中だぞ、何でだ!?」
「俺は身かわしのプロだぜ。そんなへっぽこ攻撃当たるものか!」

コデルモリア11

 後ろから見守っていたルースターが、半ば悲鳴のように叫ぶ。

「こんなのどうやったら倒せるんだ!?鑑定でもすれば分かりそうだが・・・」
「そんなことしてる暇はねえな。こういう時は・・・・・・こうすんのさ!」

 エディンは二刀を構えると、まずレイピアで頭領の右肩を突き刺そうとした。
 それに気づいて嘲った頭領が余裕で回避しようとする位置に、すかさず≪スワローナイフ≫の青い刀身が突き出される。
 それも何とか避けた頭領だったが、いつの間にか右肩の位置から移ったレイピアが右耳の傍を掠めた。

「うおっと!」

コデルモリア12

 頭領はフェイントにびっくりして体勢を少し崩した。
 だがジーニには、その少しで充分過ぎた。

「なるほどね・・・。お行き、あたしの風よ!なぎ払え!」

 ・・・・・・頭領の大きな身体が、部屋の隅に置かれていた棚に叩きつけられる。

「なぜなんだ・・・・・・利口なやつならたいていあのまま金を受け取って村を立ち去るはずなのに・・・・・・」
「俺たちがお前らより強くて、お前らが気に食わなかったからだ」

 ギルが止めを刺したのを見届けた山賊の生き残りは、慌てて持っていたナイフを捨てて投降した。

「あわわわ・・・・・・降伏するので命だけはお助けくださーい」

 この生き残りは、意外と重要な情報を持っていた。
 酒棚の下の段に入っている白旗を屋上のポールに掲げると、敵に本拠地を明け渡したということで、山賊団が解散する仕組みになっていたと言うのである。

「そうすれば、あなたがたを生き残りの仲間たちが襲ったり、ましてや村を襲撃することはないでしょう・・・・・・」
「どうする?信じる?」
「信じていいと思いますよ。・・・あれだけの実力者だったんです。自分が死んだ後の解散も、ちゃんと計算に入れていたと見ていいでしょう」

 ジーニの問いに、アウロラはギルの怪我を癒しながら答えた。
 戦いに倦んでいたであろうラクーンが、仲間たち以外動く者の居なくなった部屋に入り込み、酒棚の下の段を探っている。

「これが山賊が言ってた白旗ですね。私が早速これをつけてきましょう」
「僕も一緒に行こうか?」
「いえ、君は他の方の治療がおありでしょう。一刻も早くこれ以上争いが続くのを阻止しなければ!」

 ミナスの申し出を断った彼は、奥の扉から出て行く。
 結局戦った自分たちへの皮肉にも見えるそれに、やれやれと息をついていたところ、ラクーンの悲鳴が聞こえた。

「え!?ラクーンさんの声?」
「早く上に行くぞ!」

 驚いた様子のミナスを抱えるようにして、ギルが走り出す。
 他の仲間も急いで奥の扉を潜ると、ラクーンが必死に叫んでいる声が耳に届いた。

「争いは終わったんです。その剣を収めてください!」
「上にまだ一味がいたのか!」

 一行は目の前の階段を駆け上がったが、一歩遅かった。
 屋上へと上がった冒険者達がまず目にしたのは、高らかになびく白旗。
 その傍らで血を流して倒れているラクーン。そして、血のついたナイフを持った山賊だった。

「ラクーン!!」

 ルースターが駆け寄るも、もう事切れていることは明らかだった。
 山賊の手下が、狂ったように弁護をしている。

「ち、違うんだ!これは手違いだったんだ!誤解なんだ!」
「手違いですって!?どこがよ!」
「頭領がもうあんたらにやられていると知ってたら刺したりしなかったのに!」

 自分は悪くないと必死に弁護を繰り返していた山賊が後ずさる。

「危ない!」

コデルモリア13

 ギルが手を伸ばしたが、端っこにあった山賊の身体は既に落下していた。
 ・・・・・・白旗は強風に煽られてなびいている。
 辺りを見渡すと、散り散りに逃げていく山賊たちの姿が見える。先に戦った者達の遺体を見て呆然としている者もいた。

「・・・・・・ギル。もう、行こう。ラクーンさんを連れて行ってやらねば」
「・・・・・・うん」

2013/03/29 05:44 [edit]

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