Tue.

月光に踊る長靴 5  


 翌日、ジュビアや村人に真相を漏らさぬまま、冒険者たちはまた森へと入った。
 途中で見つけた”ケット・シー”の仲間達に、昨日のキジトラの名前が「アイルーロス」ということや、まだ森では怪しいものを発見していない、ということを聞いていく。

(ねえ・・・・・・。不穏な気配って、昨日のダークエルフじゃないの?)
(かもしれん。アイルーロスに、そっと耳打ちしておくか。)

 ジーニとエディンが密かに話をしていると、前を歩いていたギルがぴたりと立ち止まって言った。

「何か鳴った?」
「・・・・・・気のせい―――?」

 話をしていたせいで、何もわからなかったジーニがそう答えると、また前日のように小石を手にしたアレクが、思い切りよく木の陰へと投げつけた。

「おいッ、姿を見せろ!」
「・・・・・・さすがは冒険者だ」

 それはあの時見つけたダークエルフだった。
 無闇に敵対するつもりはない、と嘯くダークエルフに、一行は構えを解かないままだった。
 ダークエルフは極めて賢い、邪悪な種族である。
 邪神を信仰する者も多く、その加護を得た者は魔法に対する親和性が高いために、攻撃の魔法がかかりづらいという特性を持っている。
 そのため、敵対しないという相手の口約束を簡単に信じるわけにはいかなかった。

「あんたら、アレだろ?あの猫どもに会ったんだろう?」

 ”ケット・シー”を見下したかのようなその物言いに、ギルやアレクはカチンと来た。
 アイルーロス―――冒険者たちにとって、すでに彼は対等の友人だった。

「お前には関係ないだろう」
「そういうなよ。昨晩、見てたんだからな」

 武器を持つ腕に力を込めたアレクに、ダークエルフは小ばかにしたように語り掛けた。
 しかし、いかに言を左右にしようとも、一行がダークエルフの喋ることに耳を傾けるつもりはない。

「誰がダークエルフの話なんかに乗れるかっ!」

 そう叫んだエディンの横を、無言でアレクは走り抜けた。剣はすでに鞘から抜いている。
 交渉の失敗を悟ったダークエルフは舌打ちして、また姿消しの呪文を唱え捨て台詞を吐いた。

「せいぜい長生きしろよ」
「・・・・・・なんでしょう、あれ!」
「さあな。しかし、一応襲撃を警戒したほうが良さそうだ」

 柳眉を逆立てたアウロラに、エディンが腰のダガーを確かめつつ応じた。


2012/11/06 05:15 [edit]

category: 月光に踊る長靴

tb: --   cm: 0

コメント

コメントの投稿

Secret

プロフィール

最新記事

最新コメント

月別アーカイブ

カテゴリ

カレンダー

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

ブロとも申請フォーム

QRコード

辺境に足を運んだ方の人数

▲Page top