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Sat.

老賢者 1  

(ここは・・・何処だ?とても・・・暗い。)

 ギルの右手がぴくり、と動いた。
 かつてないほどの喉の渇きに、思わず彼は呻いた。

老賢者1

「あぁ・・・」

 キイィイィン・・・・・・。
 氷の鈴を鳴らすような、わずかな音が耳に届いた。

「・・・耳鳴りか・・・?」

 そしてギルは周りを・・・・・・見ようとして愕然とした。
 まったく見覚えの無い、そしてどこが上なのか下なのかすら判然としない白と黒交じり合った謎の空間・・・。

「・・・何なんだ、ここは・・・?」

 ギルは一所懸命に、自分が今まで何をしていたかを思い出そうとした。

ギル焔紡ぎへ

(・・・・・・そうだ。俺は確か、新技を習うためにガロワの森へワディムさんを尋ねに行ったんだ。)

 キーレにおける蛮族との戦いがひと段落し、その報告によって地図作製組合で鉱石を入手した”金狼の牙”たちは、とある宿の一室に寄ることとなった。
 鉱石を素に、ジーニが≪魔鋼の篭手≫なる防具を練成しようというのである。
 しかし、割と時間のかかる作業に焦れたギルバートが、以前からずっと目をつけていた斧の新技を早く習いに行きたいと言い・・・。
 ギルの熱意に折れたエディンが銀貨2000枚の入った皮袋を寄越して、リューンの定宿である≪狼の隠れ家≫で再会しようと、一人旅を許してくれたのである。
 喜んだギルは、早速記憶を頼りにガロワの森へ向かい、無事に【鷹の構え】という技を教わった・・・という辺りまでは思い出したのだが。

鷹の構え習得

「・・・!?」

 ギルは目の前でちらついた人影に驚き、身構えた。

「うわっ!!」

 音もなく彼の眼前に姿を現したのは、白い髯を豊かに蓄えた老人であった。
 ルーンマスター(魔法を使う者)とは違う、ごくありふれた灰色のローブ姿。
 その眼には諦観と・・・不思議なまでの親しみを感じさせる。

「あんたは・・・誰だ?」
「・・・・・・・・・」

 ギルの誰何に、老人は何も答えない。
 さては言葉が通じないのだろうかと、不安に思ったその時。

「そうではない」

 深く、しわがれた声が響いた。

「なんだよ・・・。で、誰なんだ、あんたは」
「・・・・・・・・・」
「・・・何故、答えない?」
「お前が既に答えを知っていることだからだ」

 老人の声は不思議とギルの苛立たしさを宥めるような力がある。
 しかし、彼の言う内容にまったく思い当たる節のないギルは、老人の台詞に対して微かな苦味を含んだ薄笑いで応じた。

「俺が?冗談じゃない。俺はあんたなんざ知らないぜ」
「それは違う」
「違わないね。あんた、何か勘違いしてるんじゃないのか?とにかく、あんた誰なんだ」

 頑なに自分の正体を明かそうとしない老人へ、ギルは詰め寄った・・・・・・つもりだった。
 足が動く様子がない――!?
 ギルはぎょっとして自分の足元を見つめた。
 無くなったわけでもなんでもない、いつもの足がそこにはある。にもかかわらず、ギルの意思と反してそれが動く気配はなかった。
 一体、この空間は何なのだろう――ギルは不気味になりつつも、更に老人へ呼びかけた。

「だから・・・黙るなって。答えてくれよ」
「お前が答えを望んでいない質問に対して、答えるつもりはない」
「おいおい爺さん・・・。俺は自分であんたの名前を聞いてるんだぜ。俺が望んでないなんてことがあるもんか」
「お前が今現在望んでいることは、私の名を聞くことではない」

老賢者2

 まるきり埒の明かないやり取りに、ギルは舌打ちした。

「おい、だから・・・」
「さらばだ、ギルバート」
「あ、おい!」

 老人の後ろに広がる、白と黒の入り混じる空間・・・・・・それが段々と白い領域のほうが広がっていったかと思うと、あっという間に真っ白へと変わり、輝き始める。
 どういうことなのか分からないながらも、ギルにはこれが問答の終了を意味する事だけは感じ取れた。

「待て、待ってくれ!まだ話があるんだ!!」
「・・・・・・・・・」
「待て・・・フィレモン!」

2013/03/16 11:33 [edit]

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