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金狼の牙の辺境戦 3  

「いや~、それにしても俺たち、よく生き残ったもんだよな」

 のほほんとした調子でエディンが言った。未だに体勢は肘を床について寝そべった、だらしがないままである。
 それを特に咎める様子もなく、アレクが返す。

「俺も正直、危ないとは思ったよ。でもギルが・・・」
「ああ、一番大きな傷負ってるくせに、それでも大将に喰らいつこうと必死だったからな」

キーレ到着後14

 恐ろしい男だよ、とエディンは独白した。
 他の者を牽引して士気を取り戻す為でも何でもなく、ギルはまさしく「そうしたいからそうした」のである。
 たまに鳥肌が立つほどの残忍さ・狡猾さを垣間見せながら、一方で、ただひたすら無謀なまでに果敢な戦士の面を見せる。
 そのアンバランスさをギルは自覚のないまま隠しているものの、エディンは誰よりも先に嗅ぎつけていた。

「・・・・・・よしっ。さあ、練成するわよー!!」

 特殊な染料でひたすらに木の床へ練成陣を描いていたジーニが、ガッツポーズつきで起き上がる。
 彼女はベルトポーチから≪黒曜石≫と≪紅曜石≫をそれぞれ二つずつ取り出し、そこだけ白い染料を使った円の真ん中へ、大事そうに1個ずつ設置していった。
 これらの鉱石は、いずれも地図作製組合における探索ポイントを貯めて獲得したものだ。
 今までは、ジーニが作ろうと思っていた品では≪紅曜石≫が1個不足していたのだが、この間の城砦都市キーレの報告を済ませたところ、≪紅曜石≫ひとつと≪アーシウムの赤≫一本に交換してもらえたのである。僥倖であった。

「それにしても何だっけか、ジーニが作ろうとしてる奴」
「ああ、≪魔鋼の篭手≫だ。重量はすごい重いんだが、≪黒曜石≫の硬さをより魔力で鍛えるように作るから、無二の防御力を秘める」

 そういえば、とアレクは不意に思いついたように言った。

「≪魔鋼の篭手≫の頑強さは、城壁と喩えられるほどだという。城砦都市帰りの俺には、ちょうどいいガントレットじゃないかな」

錬金 魔鋼の篭手

「・・・・・・そいつぁすげえな。おまけに、お前さんには≪天翼の短剣≫も渡してあるし」
「そうだな。次に行くエリアに敵がいると分かっている場合なら、≪天翼の短剣≫で回避力を上げてから殴りに行く手も使える」

 まさしくこのために”金狼の牙”は、強い威力を誇る魔法の短剣を、護身用ナイフを持つアウロラでも最近力の強くなってきたミナスでもなく、あえてアレクに回したのであった。

「ケースバイケースさ。俺が持つより他の人が持った方がいい時もあるだろう、その時は遠慮なく・・・」
「ちょっとお二人さん。少し静かにしてくれない?」

 やや頬がこけた様子のジーニが、好き勝手に話をしているアレクとエディンを止める。

「鍛冶屋さんと違って、こっちは一気に作業が進んじゃうのよ。途中で止めて様子を見ながら調整とかできないんだから、ちゃんと術式を踏まないといけないわけ」
「わーるかったって。ほれ、静かにするからよ」
「すまない。進めてくれ」
「まったくもう。邪魔だけはしないでよね」

 そう言い捨てるとジーニはスクロールを広げ、そこに書き付けられている古代文字の呪文をゆっくりと唱え始めた。
 普段の冒険時に錬金し自壊するに任せる物品と違って、こういう具現化をさせて更に現実世界へ留めておく場合の錬金術というのは、とかく術式や練成陣が厄介で、必要とされる魔力の量も非常に多くなる。
 到底一人の魔力量で足りるものではないので、その分だけ長く儀式を行うことで補うわけだが、難しいものを作ろうとしている時などにこれを行うと、3日間ほど飲まず喰わずでやる事もあるという。
 幸いにして、≪魔鋼の篭手≫については元の儀式の時間がそれほど長い品ではないので、連続徹夜とまではいかない。
 いかないのだが・・・・・・。

「・・・なげえなあ」
「毛筋ほども間違えられないから、確かめつつなんだと思う」

 不平そうな響きを帯びた台詞に、アレクは苦笑気味だった。

「なんならエディンも先に寝てて構わん」
「いやー、申し出は嬉しいがね。一応起きてるよ」

 ジーニがぶつぶつ呪文を唱え続ける中で寝れる自信がなかったエディンは、肘をついていない方の腕をひらひらと動かして、相手の申し出を拒否した。
 やがて少し欠けた月がかなり空を動いた頃、白い円だったものが徐々に色を帯びていく事にエディンもアレクも気づいた。
 ――円の中心にある鉱石の色が、円へ溶け出しているのだ。
 練成陣を構成する線が、溶け出した赤と黒に染まっていく。

「なるほど・・・・・・こうなるのか」
「俺ァ初めてだが。お前さんも初めて見るものなのかい?」
「ああ、母は錬金術に造詣は深くなくてな。こういう技は見たことがない」

 数多い練成陣の中でも、ジーニの目前――ひときわ大きく描かれたものの中心に、溶け出した赤と黒がわだかまり始める。
 まるで生物のように息づく塊に、ごくりとエディンの喉が鳴った。
 アレクが殊更小さく呟く。

「・・・・・・・・・呪文の構成からすると、そろそろ終盤だな」
「マジか。よく分かったな」
「どんな呪文でも、終わりの方は定型があるんだ。古代文字なんかをただの音として捉えていると分かりづらいが、少しだけでも意味を知っておくと何となく分かるようになる・・・」

 ヒソヒソとジーニの邪魔にならないよう交わされる会話の中、急激にジーニの体内に蓄えられていた魔力が膨れ上がる。
 それに気づいて、2人がやや警戒気味に後ずさりすると、黒いローブに包まれた肢体から弾けるような不可視の波が発せられた。

「・・・・・・ふーう。魔力の素もないもんだから時間かかっちゃった。できたわよ、アレクシス」
「ああ。お疲れ様・・・くたびれたろう?」
「まあねー。この≪魔鋼の篭手≫は、あたしも作ってみたかった品だからいいんだけど、さ」

 既に力を失った練成陣から、目的の品を取り出す。
 鉱石に含まれる魔力とジーニの魔力がよく溶け合うことで不思議な光沢を帯びた紫色の篭手は、アレクにぴったりの大きさであった。
 事前にアレクの手の大きさを測って、篭手を錬金する練成陣を描く際に古代文字で織り込んでおいたのだから、当然なのだろうが・・・。

「きついところない?大丈夫?」
「ぴったりだ。流石だな」
「ふふん、当たり前でしょー。あー、でもしばらく休ませてちょうだいね。今日と明日は動きたくないわあ」

 ぐったりとして疲れきった様子のジーニの眼前へ、エディンが木製のコップを差し出した。

「ほらよ、この薬草茶飲んだらそのまま寝るといい。起きたら、何か胃に優しいモン見繕ってやるよ」
「ん。ありがと・・・・・・ふわああああ・・・・・・」

 薬草茶を飲む前から欠伸が止まらなくなってきたジーニを見て、エディンもアレクも笑ってしまった。
 ちょうどその頃、ギルに何が起こってるかを知らないまま・・・。

※収入3800sp+2500sp(キーレとベルサレッジ分)≪アーシウムの赤≫≪薔薇の指輪≫≪天翼の短剣≫≪冷界の魔鎧≫≪魔鋼の篭手≫【風塵旋舞】取得※
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■後書きまたは言い訳
ごめんなさい。まだ小話です。
リプレイをご期待なさってた方がいらっしゃいましたらすいません。
今回も・・・・・いろんなシナリオの名前が出ております。

・城砦都市キーレ(ブイヨンスウプ様)
・要港都市ベルサレッジ(あんもないと様)
・暗黒街ペテンザム(アーティ様)
・魔術師の工房(Niwatorry様)
・焔紡ぎ(Mart様)
・地図作製組合(CWGeoProject様)

幼馴染コンビが遠出する前のフラグ立てをして、読者様をどきどきそわそわさせてしまったようで・・・すいません。でもああいう表現、嫌いじゃないでしょう・・・!?(何を言っている)
ベルサレッジのスクリーンショットがないのは、シナリオDL不可だからというよりも、きつい戦闘にあっぷあっぷしてて、ちょうどいい画面の撮影を忘れていたという、しょっぱい理由のせいです。
その代わり・・・と言えるのかは判然と致しませんが、がっちりキーレの最終戦について書いてみました。
あの独特の雰囲気の、十分の一でも表現できていたらいいな・・・!

そして鉱石を集めていた最大原因――≪魔鋼の篭手≫練成を、せっかく錬金術師の真似事できるのだからとジーニにさせております。カードワースにおける練成が、本当にこんな風に行われるかどうかは分かりません。ただ、間違っても策士型や知将型のPCが、ドワーフやブレッセンさんみたいにガッツンガツンハンマーで叩くのだけはないだろうと予測してこうなったんですが・・・。
ちなみに私が錬金術師と言われて思い浮かべるのは、手をパンとやる方です。(笑)

ここでギルだけちょっと別行動中。次回は彼だけで開始します。

当リプレイはGroupAsk製作のフリーソフト『Card Wirth』を基にしたリプレイ小説です。
著作権はそれぞれのシナリオの製作者様にあります。
また小説内で用いられたスキル、アイテム、キャスト、召喚獣等は、それぞれの製作者様にあります。使用されている画像の著作権者様へ、問題がありましたら、大変お手数ですがご連絡をお願いいたします。適切に対処いたします。

2013/03/15 00:04 [edit]

category: 小話

tb: --   cm: 2

コメント

キーレってならず者の巣窟とか犯罪者の逃げ込み場所と言われてる割には治安はそこまで悪くない気がするんですよね。粗野だけど気のいい野郎共の街って感じで。
ペテンザムはまさに血と悪党とボッタクリの街ってイメージですが、街中で襲われるとか犯罪を目の当たりにしたりする差でしょうか。

URL | 堀内 #wKzDXcEY | 2013/03/15 19:01 | edit

コメントありがとうございます

なるほど、堀内さんの中ではそういうイメージなのですね・・・。
私の中では、イベントこそなくてもその荒くれ具合はどっこいどっこいかなあって感じなのですが。(笑)
騎士の武者修行とか腕試しのようなつもりでキーレに訪れたら、正規の剣術だけでは歯が立たなくて半泣き~とかそんなつもりでした。

ペテンザムは好きなんですが、ミナスを甘やかしてる”金狼の牙”を見ていると多分訪れないだろうという気がします。昔のソードワールドの盗賊都市を、もっとアダルティにした印象が・・・。

URL | Leeffes #zVt1N9oU | 2013/03/15 22:56 | edit

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