Sat.

家宝の鎧 2  

 屋敷のホールから、まず右手にある部屋に入った一行は、鉄の箱を見つけた。
 まるで宝箱のようなそれは、リヒャルト卿にも覚えのない品だったらしい。
 もしや、妖魔たちが宝を集めて入れたのでは・・・と、期待に胸を膨らませて、エディンが開錠したのだが。

「空のガラス瓶・・・?」
「なんじゃ、その瓶は? なんか黒い小さなもんがたくさん入っとるぞ?」
「え・・・?」

 アウロラが、もっと目を凝らして瓶に近づくと、突然悲鳴を上げて飛びのいた。

「きゃあああ!」
「ほれ、動いたっ!」
「・・・ああ、これ、ノミですよ、リヒャルト卿。まったく、こんなもん、大切にとっといて何に使うつもりだったんだ」

 どことなく平坦な口調のエディンだったが、ミナスが嬉しそうに手を差し出すので、「間違っても、俺らに投げるなよイタズラするなよ」と、念を押した上で渡してやった。
 空き瓶に入った黒いノミに、ミナスは興味津々である。
 鉄の箱に、それ以上何も入っていないことを確かめると、一行は反対側にあった部屋へと向かった。

 もう一方の部屋には、驚くほど大きな本棚があった。
 年代物らしい、様々な本が並んでいる。
 別におかしなところはないだろう、とリヒャルト卿は通り過ぎようとしたのだが・・・。

「あら」

という、ジーニの声に足を止めた。

「何かしら・・・本の間に呪文書が挟まっているわ」
「なんじゃ、魔法の呪文か? ふむ、爺様の遺品じゃろう。晩年の爺様は魔法に凝っておったからな・・・」
「魔法剣士目指したのかしら。何々、【氷柱の槍】・・・?」
「わしには不要の品じゃ、持って行って構わんぞ。報酬の足しにでもするとよかろう」
「さすがリヒャルト卿、太っ腹!ありがとうございます」

 新しい呪文書を得たことが嬉しかったのか、ジーニは目の色を変えてリヒャルト卿に礼を言った。
 その後ろで、こっそりアウロラとギルが、

「聞きました?今の・・・」
「2オクターブくらい、声が跳ね上がったな」

等と、仲間の現金具合を話していた。

 屋敷は広く、北にある奥の扉からようやく二階へと上がる。
 すると、長い廊下と部屋が続いていた。
 途中でオーク三匹と交戦したものの、あっという間にそれらを切り捨てると、一行はさらに用心をしながら奥へと進んだ。

 やがて、大きなの樫の扉の前まで出た。
 エディンが、罠がないか調べようと、軽くドアノブに手をかけると・・・なんと、この部屋だけ山荘の管理人が油をよく差していたのか、そのままドアが開いてしまった。

「ぶひっ!?」
「あらら、こりゃいかん」

 呑気な声とは裏腹に、エディンは目を鋭くさせて体勢を整える。
 扉の向こうに現れたのはオークの一団だった。
 仲間たちが装備を構えるのを横目に、ギルがリヒャルト卿に用心するよう、声を掛けようとした時だった。

「ぶ、ぶ、ぶぶぶ・・・」
「・・・リヒャルト卿?」

ScreenShot_20120730_010957484.png

「豚が爺様の鎧を着とる!!」
「はぁ?」

ScreenShot_20120730_011000859.png

 ぽかんと口を開けたリーダーに、アウロラが冷静に指摘した。

「オークの頭が着てる鎧、あれは恐らく家宝の鎧です。間違っても、攻撃しちゃいけません」
「え、え!? だって、攻撃しなかったら、どうやってやっつけりゃいいんだよ!?」

 大混乱になってしまったギルを見て、ここぞとばかりにオーク達が襲い掛かってきた!

「ぶひぃっ!」
「げえええ!おい、来るなって!」

2012/11/03 16:46 [edit]

category: 家宝の鎧

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