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最後の最後に笑う者 6  

 魔器を手に入れた冒険者達は、噴煙止まぬ火山のふもとへ再び足を運んだ。
 辺りには特に生物の影も気配も見受けられない。
 が――――。

「いるんだろ?出てきなよ」

ScreenShot_20130224_014524375.png

 溶岩で荒れ果てた山にギルの声がこだまする。

「よく私達の居場所が分かったものだな」

 初めて見る男がジョーンズやドワーフ達を連れて物陰から現れた。

「・・・・・・お前は?」
「お初にお目にかかる。私の名はシュイウン。ジョーンズやオリストデルのまとめ役だ」
「つまり、敵という事だな」
「その通りだ」

 シュイウンは目をつぶって口元を笑いに歪ませる。
 しばし、無言の時が支配する。
 衣擦れの音、得物をいじる音、地面に足を滑らす音、汗が体中を伝う音。
 その直後、重圧をはねのけるように、お互いが吠える!

「いくぞ!!」
「ゆくぞ!!」

ScreenShot_20130224_014814453.png

 白いひげを蓄えた老人がエディンにあっという間に距離を詰め、その体を吹き飛ばす。

「うごっ!!」
「スネグーロチカ、ナパイアス!エディンを助けて!」

 戦場を雪娘が舞い踊り、その後をナパイアスの激流が押し流す。
 エディンを倒した体勢のままだった老人は、受身を取る暇も与えられず気絶した。
 さらにその冷気が覚めやらぬ中を、ギルが斧を振り回し駆け抜ける。

「うおおおおおおお!!!」

 ギルの一撃を受けてジョーンズは苦悶の表情を浮かべる。

ScreenShot_20130224_015056000.png

「こら、ヤバいわ。シュイウンさんよ、悪ぃが、俺ァ抜けるぜ」

 言うが否や、ジョーンズは手にはめている指輪に念を送り、視界から消えうせた。
 動揺を隠せない毒師・アンサティを、アウロラが【光のつぶて】で打ち据えて気絶させる。
 一番後ろに控えていたジーニが大きく手を広げ、≪死霊術士の杖≫でもって己の周りに張っている風の護りを攻撃に転じさせる。
 その猛々しいかまいたちに、リーダーであるシュイウンもぼろぼろになって吹き飛ばされた。

「残りは二人!!」

 そう叫んで投げつけた薬瓶は、【災いの薬瓶】。――ほとんど動けなくなった残りの二人に、またもやミナスの雪娘たちが襲い掛かり、最後にギルの【暴風の轟刃】が飛んだ。

「止めを刺しておくか、リーダー?」
「――刺す」

 今までの彼らの所業は、ギルにとって到底許せなかった。
 毒を持って同じ冒険者を襲い、その上前をはねる。そして口を塞ぐ――彼らの行ないは、同じ冒険者を名乗るものとしてあるまじき事だったのである。
 ギルの目配せでアウロラがミナスの目を塞ぐ。
 それを確かめたギルとエディンは、得物を頭上に振りかざし――シュイウン達はピクリとも動かなくなった。

「これでライバルは蹴散らした。さあ、ここからが正念場だ」

 頬についた赤を無造作に手の甲で拭ったギルがそう言うのを、硬い表情ながらも、ミナスは信頼を失っていない目で見つめた。
 エディンが亜麻色の頭を撫ぜる。

「悪魔と俺ら人間との命の駆け引きだ。ぞくぞくしてくるぜ」
「勝てるのかな?僕達に」
「向こうは囚人とは言え、仮にも悪魔だ。一筋縄じゃ行かねぇだろ。だがな、俺らだって幾度となく死線を乗り越えてきた熟練冒険者だ!」

 はっとした顔になったミナスが、エディンの顔を見やると、彼は果たして滅多に見せない不敵な表情で微笑んでいた。

「いつもの通り、最後には勝ってみせるぜ」
「そうですね。最後に笑うのは私達です」

 そして彼らは悪魔の元へと向かった・・・・・・。

「おお!ついに我の一部を見つけ出したのだな!」

 アウロラの持つ彼の目・牙・翼を感知したものか、果たして洞窟に入るなり悪魔が喜びの声を上げた。

「さあ、早く我をこの忌々しき鎖から解き放ってくれ!」

 アウロラがそれを捧げもつと、まず不気味に広がっている一対の翼が、悪魔のごつごつした背中にふわりとくっついていった。
 闇よりも暗い目は、悪魔の顔のくぼんだ部分にするりと入っていった。
 剣の形をしたそれは、暗い光を発しつつ、粘土のように形を変え、猛獣のような牙になり悪魔の口の裂け目に入り込んでいった。
 魔力、いや瘴気と言うべきか。
 ともかく、圧倒的な力の奔流が辺りに渦巻いた。
 その中心にいるのは、いましがた封印を解いた悪魔。

「フ、フ、フ・・・・・・。フハハハ・・・・・・。フハハハハハ!!!」

 唾を飲む音さえもがこだまするかのように静まり返った洞窟内で、悪魔が吼える。

「10年!10年だ!長かった、長かったぞ!!」

 悪魔は腹の中の憤りを噴出するかのように自由を謳歌する。
 周りの事は全く見えていないようだ。

「・・・と、済まんな。主らの事を忘れていたわけではないのだ」

 ひとしきり笑い続けた後、ぴたりと笑うのを止め、悪魔はアウロラや仲間たちの方を向いた。

「では、宝物庫へ主らを運ぶ事にするか。その前にこの牢獄から出ねばならんな。しばし待て」
「その巨体を出すにはここに入り口は狭すぎますね。どうやって・・・・・・」

 アウロラがそう言いかけた時、悪魔の気が満ちたかと思うと、次の瞬間には洞窟が消し飛んでいた。周りは何かにえぐられたような跡が残っているだけ。

「なんて乱暴な・・・・・・」

ScreenShot_20130224_021751250.png

「まだ力の入れ加減が上手くいかないようだ。主らには障壁を張っておいたが怪我は無いか?」
「はい・・・・・・」

 妙に紳士的な悪魔の台詞に首をかしげながらも、返事をしないのは礼に反するためアウロラは頷いた。

「驚かせて済まんな。では、行くか。天空の宝島へ」

 冒険者達は悪魔の広い背中に乗り、空へと飛び立った。
 悪魔はただ上へ上へ、雲を突っ切り飛んでゆく。
 流れる雲が高速で下に落ちているのに全然息苦しく感じないのは、悪魔が障壁を張ってくれているからだろうか。
 高速ゆえに時間の感覚が掴めず、どれほど時が過ぎたのか分からない。
 悪魔に掴まる腕が痺れてきた頃。

「ん・・・あれは・・・?」

 辺りの閉塞感が途切れ、目の前には立派な建物がそびえ立っていた。
 建物の周りの地面はレンガか何かで覆われており、普通に足で立つ事が出来そうだ。

「ついたぞ。ここが海賊王の宝物庫だ」
「ここが・・・・・・」

 背中から降りたアウロラに、そっと悪魔が爪の先を差し伸べて降りるのを補助した。

「そら、そこが扉だ。中では迷う事もなかろう。早く目当ての宝を探すがいい」
「アウロラー、待ってー」

 ミナスが彼女を呼びとめ、他の仲間たちもぞろぞろと降りてくる。
 金属製の扉は立派で、ジーニの鑑定したところ海賊王の活躍するずっと前の時代に流行っていた装飾だという。
 罠や鍵のかかった様子はない。
 冒険者達は扉を押し開け、宝物庫の中へ入っていった。
 決して大きくはない宝物庫の中は、所狭しと貴重品や宝箱が詰め込まれていた。
 感に堪えぬ表情でエディンがつぶやく。

「すげぇ・・・・・・。さすがは海賊王シェクザの隠し財宝だぜ。珍しいものが多いな。ほら、あの彫刻とか・・・・・・」

ScreenShot_20130224_022516765.png

 さすがに盗賊根性が出たものか、品定めを始めようとするエディンをギルが制した。

「まずは目的の冠を探してからだ。品定めはその後でじっくりな」
「おおっと、すまねぇ。つい興奮しちまった」
「無理ないわよ、エディ。あたしも今すぐ鑑定したいところだけど・・・・・・」
「おーい、探してくれってば」

 大人組みはギルの懇願に肩をすくめると、真剣な表情に変わって辺りを調査し始めた。
 程なく、エディンが目的の冠を取り出す。

「あったぜ。これだな」

 ズ・・・・・・・・・ズオオオオオン!!

 突然、地面が揺らいだかと思うと、冒険者達の体に高い所から落ちた時の浮揚感と落下感が湧き上がった!

「な、何だぁ?」
「とにかく、外へ!」

 ミナスの誘導で”金狼の牙”たちは宝物庫の外へ飛び出した。

2013/02/26 20:52 [edit]

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