Fri.

腐者の洞窟 3  

「数が多い・・・・・・!」

 アウロラは、思っていた以上のゾンビの数を見て舌打ちした。常にないことである。
 普通のゾンビに守られるようにして、コボルトやコボルトリーダーのゾンビまでいたのだ。
 これに動揺したらしいギルが、初動で重傷寸前まで追い込まれたものの、アウロラが氷心の指輪の力で詠唱に成功し、傷を【癒身の法】で癒した。

「指輪、買っておいて良かったな!」
「店員が値引きつけてくれて、助かったぜ」

 アレクとエディンが、先見の明を誇るように叫びながら、同じ敵へ攻撃を繰り返していく。
 二人のコンビプレイの合間を縫うように、雪精スネグローチカが、部屋の隅っこで身を守るミナスの指示に従い、氷の腕でゾンビの身を削った。

ScreenShot_20120724_125034937.png

 結局、怪我らしい怪我は、初動のギルが負ったものだけで済んだ。
 ゾンビの中心的役割を果たしていたのは、コボルトリーダーのゾンビだったらしい。
 恐らく、ネクロマンサーがいなくても人間を組織的に攻撃したのは、彼の影響だろう。
 そのコボルトリーダーゾンビのポケットから、戦闘中、鍵束らしきものが落ちたのを、エディンは発見していた。それをつまみ上げ、ジーニに見せる。

「これ、普通の鍵じゃないぞ。魔法の品か?」
「どれ?・・・ああ、これは魔法の鍵を開けたり閉めたりできる物よ。でも、もう大分魔力は弱まってるわね」
「これもさっきのオーブと同じようなもんか」
「ええ」

 ジーニの見解に頷いたエディンは、とりあえず自分のポケットにそれを納めた。
 そして、ギルにまだ行ってない通路や部屋の捜索を提案する。

「一応、親玉は倒したから大丈夫だと思うんだが、掃討を命じられたからには、しっかり見たほうがいいだろう」
「そうだな。怪我も大したことないし、全部見てしまおう」

 そんな訳で移動した一行だったが、確かめたのはひどい現実だった。
 部屋の一面を覆うように、死体の山が積み上げられている。
 酷い腐臭を放ち、見るに堪えない光景だ・・・。

「うぅ・・・・・・」
「!!」
「どうした?」

 ジーニが、弾かれたように顔を上げるのに、ギルが問う。

「今、生きてる人の呻き声が聞こえたわ」

 死体の呻き声と生者の呻き声は、先ず誰でも聞き間違える事はない。
 ゾンビの呻き声は独特なのだ。

(調べるか?いや、しかし確証を得ないと近づくのは危険ね・・・死体の山から生命体を見つけるにはどうすれば?)

 ジーニは厚めの唇に人差し指を押し付けて考え込んだ。
 死体の量は尋常ではない。うっかり踏み込めば、武装してる者が助ける人を踏んで、骨折させてしまうかも知れない。

(そうだ、あれなら!)

 ジーニは荷物袋を下ろすと、”生命の瞳”を使った。
 海よりも青いオーブが一際輝き、ジーニの双眸に生命のオーラを映し出す。

「いた、やや手前側に一人生きてる人がいる」

 彼女の声に、慌ててエディンとギルが死体の山をかき分ける。

「うっ・・・うぅぅぅ・・・」
「気づいたみたいね」

 それは、壮年から初老に差し掛かる頃の男性だった。
 裕福な家庭の人らしく、着ている物は貴族とは言わないものの、それなりに上等である。

「・・・ぅ・・・ここは?そうか、私はネクロマンサーに襲われて・・・」

 どうやらリューン外の都市に住んでいる一般の人のようだ。
 ネクロマンサーに襲われ、運良く致命傷を避けたが、死体と共にここに連れて来られたらしい。
 一応、毒を警戒して、ミナスが【水淑女の守】をかけて傷を癒した。

「ウンディーネの力で傷も塞がったけど、念のため、帰ったら薬師とかに診てもらってね?」
「ありがとう・・・私は大丈夫だ。何とか自力で洞窟から出れそうだよ」

 そう言って遠慮する男性を、とりあえず洞窟の入り口まで送り、一行は最後の横穴へと歩を進めた。

2012/11/02 01:04 [edit]

category: 腐者の洞窟

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