Fri.

不思議な博物店 2  

 仕事振りを監督するためか依頼人の司祭も同行する中、冒険者たちは問題の屋敷を歩き回っていた。
 確かに亡霊たちがうようよしており、ゴーストや鬼火であるウィスプたちが屋敷内を我が物顔で彷徨っている。

 ギルが妙に感心したように口を開く。

「こりゃすごい。お化けばっかりだな」
「さーて、2階建ての屋敷なら、大事なモンとかキーになるものは上の階にあるのが常道だな・・・」
「あ、エディン。階段あったよー」

 元気よくミナスが指示する方に進み、一行は2階へと上がった。
 亡霊たちの動きに注意しながら、途中あった部屋へと立ち寄ってみる。

「鍵も罠もかかってねえよ」
「ここには魔物はいないようだね」

ScreenShot_20130212_101050828.png

 ミナスがきょろきょろと見渡して断言する後ろから、ジーニが中の卓上を指して注意を促す。

「・・・ん?あそこにカードが・・・」
「・・・これは・・・ワンド(杖)のカードのようですね」

 中に入ってカードを取ってきたエディンの手元を覗き込み、司祭がそう言った。

「1セットそろってますね・・・何にするんです?プレゼントとかならもっていってもよろしいですが・・・」
「あら、そうね。親父さんへのプレゼントくらいにはなるわね。明日のクリスマスの」

 美しい絵の描かれた破損のないカードというのは、それだけでコレクターの間の希少価値が上がる。
 ジーニが鑑定したところ呪いの類はないようだし、親父さんへのちょっとしたお洒落なプレゼントとしては極めて上等だと思われた。

「銀貨1500枚ってとこかしら。中々いいんじゃないの?」
「ふーん。こんな薄いのがねえ」

 ギルが頭を掻いて鑑定結果に唸った。
 その肩をアウロラが叩いて、先を促す。

「まだお仕事中ですよ、ほら。行きますよ?」
「はいよ・・・・・・って、またウィスプかよ!?」
「・・・・・・妙に多いな。集まる何かの原因が、この屋敷にあるということだろうか・・・?」

 アレクが首を傾げつつ愛剣を振るう。
 その横で、じーっと廊下の奥を注視していたミナスが、「あ」と呟いた。

「どうした?」
「ギル。あそこ、行き止まりに暖炉がある」
「行き止まり・・・に暖炉?」

 ミナスの言う石造りの暖炉は、遺跡を見慣れている冒険者の視点からするとさして古いとも言えないが、手入れが悪いせいか詰まれた石にひびが入っている。
 せっかく綺麗な屋敷なのに・・・と、ギルが近づいていくと、「グオオオォオォォ!」という名状しがたい呻き声がどこからかあがった。

ScreenShot_20130212_102141375.png

「な、なんだ!?」

 慌てて辺りを見渡していると、天井の一点を司祭が指差して叫んだ。

「!!皆さん、レイスが!!」
「レイスですって!?」

 アウロラがハッとした表情でミナスを後ろに庇い、【信守の障壁】を唱える。
 庇われたミナスもアウロラの様子を見て、あわただしく【蛙の迷彩】の詠唱を開始した。
 レイスは力の強い上級のアンデッドで、その危険さは今まで戦ったウィプスやゴーストの比ではない。
 アレクの単独冒険でも邂逅したが、彼らの【死の接触】は一撃で相手の生命力を根こそぎ奪ってしまうのだ。

「こんな危険なのもいるなんて・・・」

 掃除と言うにはちょっと危険すぎない?とぼやきつつ、ジーニが風の障壁を自分の周りに張った。
 彼女の周りに吹く旋風の護りは、非実体も容赦なく薙ぎ払っていく。
 体勢を整え終わった前衛で波状攻撃を繰り返し、レイスは断末魔を残して消滅した・・・。
 ヒュン!とレイピアをしならせたあと鞘に収めたエディンは、目を眇めてレイスのいた暖炉の辺りを見つめた。

「・・・ん?下に何かあるぞ?」

 それは鉄製の妙に凝った形の鍵で、ジーニの鑑定した結果では魔法が込められているらしいというところまで分かった。

「この屋敷のものでしょうね。普通の鍵とは違う感じよ」
「・・・・・・ということは、これで開く部屋が重要なんじゃないか?」
「アレクの言うとおりかもしれねえ」

 エディンは腕組みして自分の意見を言った。

「さっき、アレクも言ってたろう。死霊の数が妙に多い・・・。おまけにレイスだ。こんなもんまで出るようじゃ『何か』か『誰か』が集めていると思った方が、筋が通るんじゃねえ?」
「・・・追加報酬はないのよね?」

 司祭はにっこりと笑って頷き、「ただし」と言い添えた。

「契約は銀貨1000枚で締結してありますからね。当然、完遂していただけますよね?」
「・・・はーいはい、分かったわよ」

 ひらひら、とジーニは手を蝶のように動かして応える。

「ま、そんな危険なもんがリューンの街中。しかも裏通りにほっとかれてる方が危ないや。掃除はすっかりやっちまおうぜ」
「ここはリーダーの言うとおりだな」
「そうと決まりましたら、この鍵に合う部屋を見つけるのが先決でしょうね」

 アウロラの言に、肩をすくめてエディンは言った。

「見つけてもすぐには開けないからな。準備してからにしてくれ」

2013/02/15 19:37 [edit]

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