Fri.

腐者の洞窟 1  

 胡桃の入ったパンを齧りつつ、ギルはその依頼書の文章を読んだ。
 彼は本日、他の仲間より寝坊をしたので、一人で朝食をかき込んでいる。
 宿の娘さんが、無言で「早く片付けたい」と訴えているので、食べる速度はいつもの倍だ。

「ミミニャヒク、ヒチタイ・・・」
「ミミナ地区自治体、な。口の中のもの、飲み込んでから話せよ・・・」

 呆れたようにアレクが幼馴染へ言うのに、宿の親父さんが苦笑した。

「その依頼はリューンの外れにある地方団体からの依頼だ。ゾンビの巣になっている洞窟から、ゾンビを駆除して欲しい、とのことだ」
「ゾンビかあ。臭そうだなあ・・・」

 嫌そうに顔をしかめたのは、最年少のミナスだ。
 彼は精霊使いの才能があるのだが、それは盗賊は違う意味で、感覚が鋭くなることを意味している。
 周りの自然に溶け込んでいる精霊たちを感知し、使役すること。
 これが精霊使いの基本であり、極意でもある。アンデッドにも、負の生命の精霊というのが働いており、それは腐臭以上に、精霊使いであるミナスの神経を苛立たせるのだ。
 親父さんが、目線で催促するギルに、温めたミルクを差し出しながら言う。

「相手はアンデット系だが、聖水など意外と弱点が多い種族だからな。対策を立てれば、駆け出しの冒険者でも易々退治できるだろう」

ScreenShot_20120724_121732750.png

 その隣でアウロラが首をすくめた。

「私の新しく授かった法術もありますし、ジーニさんの魔法もあるでしょう?次に受ける仕事として、ふさわしいかと思って、親父さんに取っておいてもらったんですが・・・」

 エディンが、手元の銀の剣を手入れしながら言う。

「いや、お前さんが神官としてこの仕事をやりたい、というなら仕方ないだろう。幸い、エクソシストの剣もまだ使えるし、俺は構わんぞ」
「この依頼を受けるか?」

 親父さんの問いかけに、なみなみと注がれていたミルクを飲み干したギルが、ゆっくりと頷いた。

2012/11/02 01:00 [edit]

category: 腐者の洞窟

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