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氷室の囚人 2  

「うー、さっむーい」
「ジーニ大丈夫ですか?」

 冒険者達は、防寒着の襟を引き寄せ冷気に耐えた。
 一度、氷室から出て対策を練ろうとギルが提案したのだが、

「ヘェーへへへ!旅人が迷い込んだ!」
「げ!先手打たれたか!」
「なんてこった、上へ行く梯子が、氷で封鎖されちまってる・・・・・・」

ScreenShot_20130127_095303687.png

 ギルとエンヅーの言うとおり、インプのような――ジーニによると、ヤクローストというらしい――妖魔が、既に梯子を確保していた。

「死ね、旅人!」
「ちっ!【炎の鞘】!!」

 簡易詠唱によって炎の宿った刀身を振りかざし、今にも魔法を撃たんとした妖魔のほうへと走る。

「うおあっちぃい!!」

 アレクが火炎を纏った剣で斬り付けると、あっけなくその体が崩れ落ちる。

「・・・やはり、火は苦手のようだな」

 その後、一度ミナスが【氷原の法】という氷の魔法で麻痺させられながらも、一行はなんとか妖魔たちを倒すことに成功した。
 慌ててアウロラが小さなエルフを癒す中、エンヅーがエディンの横に立ち、頭をかきながら上を見てぼやく。

「参ったな。梯子はもう使えねえ」
「正確なお見立てありがとよ。・・・で、この遺跡で何か他に分かってる事ねえのか?」
「分かってりゃ、入る前に言ってるぜ!・・・冷気の元を断つしかねぇな」
「やっぱそれしかねえ、か」

 アレクとジーニは、しゃがみ込んで荷物袋を漁っている。

「何してんだ?」
「探し物よ、エディ」
「・・・・・・あった。これだ」

 アレクが取り出したのは、旧文明期の錫杖であった。
 以前にリューンの下水道で発見した代物で、杖の先を目標に当てて特定のキーワードを唱えると、負傷や中毒、麻痺を癒す事ができると言う優れものである。

「相手側の麻痺を受け続けると、石化する可能性も出てくる。少しは対抗策を整えないとならん」
「なるほど、そいつで麻痺を解くのか」
「・・・・・・で、俺が持つの?何かぜんっぜん、しっくりこないんだけど」

 幼馴染から錫杖を持たされて、ギルは微妙な顔になった。

ScreenShot_20130127_100459156.png

「俺は詠唱があるから片手開けておきたい。エディンは魔法の抵抗値が低いし、他は本持ったり杖が魔法の触媒だったりで、とても持ってられないだろ」
「俺だって斧両手で持ってるんだぜ!?」
「錫杖を腰から引き抜いて使う時は、柄を片手で支えられるだろ?」
「万が一の時は頼んだわよ、ギルバート」

 にこやかに説明するアレクやジーニの様子に、ギルは深いため息をついた。
 一行が寒さに震えながらあちこちを調べてみると、

「スノーリット・・・・・・、スノーリット・・・・・・」

と呟くイーゼンの亡霊に出会った。

「スノーリット?誰の名だ?」

 ギルが問いかけるが答えは無い。
 正気を失っているらしくそのまま襲い掛かってきたが、一度その冷たい手を退けて事情を説明すると、水晶を壊せ・・・・・・壊せ・・・・・・と呟きが聞こえた。
 成仏させてやりたいが、今のままでは難しい。再び正気を失う前に、一行は十字路まで後退した。
 ギルが首を傾げる。

「水晶?エンヅーが持ってきた奴か?」
「いえ・・・・・・」

 アウロラは考え考えしながら口にする。

「エンヅーさんが持ってきたのは、欠片でしかありません。恐らく、アレの元となったのが、氷室における異様な冷気の原因でもあるのでしょうね」
「ふむ・・・・・・トール!」
「なんでっしゃろか?」

 アレクのシンプルな外套の一部がもこもこと動き、中から赤い鬼のような小人がまろび出てくる。
 この小人こそが雪精トール。アレクを勝手に主と定め、はるかヒララギ山からリューンまで憑いてきてしまった精霊であった。
 アレクが問う。

「お前、冷気の流れがどこに集まってるか分からんか?」
「精霊の動きゆーたら、南の通路に集まってるようでっせ」
「ギル」

 言葉は短かったが、アレクの意図は明らかだった。全員が顔を見合わせて頷く。

 ――再び北のドアの前に移動した時、確かに冷気は少し四散しているようだった。
 南にあった強烈な冷気を発する水晶は、すでにギルの斧によって破壊されている。
 ジーニが嘆いた。

「ちょっと勿体無かったわねえ・・・あれの仕組みを解明して、砂漠地帯に売りつけたらいいお金になったでしょうに」
「そんなこと言ってる暇はなさそうですよ、ジーニ。ほら、妖魔が来ました」
「旅人よ・・・・・・氷柱になって悔いるがいい!」

 再び出てきた妖魔たちだったが、先程の一戦で対策を練ってきた冒険者たちには適わない。

「マナよ、炎となりて一面を覆え!」

 ジーニが張った【火炎の壁】に、たちまちヤクロースト四匹が気絶して床に落ちていく。残りの妖魔も10秒ともたなかった。

「・・・・・・ま、ちゃんと対策すりゃこんなもんだわな」

 ギルが得意そうに斧を肩に担ぐ。
 冒険者達は、扉の奥へ進んでいった。

2013/02/01 02:20 [edit]

category: 氷室の囚人

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