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男爵の密かな楽しみ 1  

「・・・そいつはバルツの街に住んでる貴族からの依頼でね。ネズミが屋敷に出ているから退治してほしいそうだ」
「バルツ、ねぇ・・・・・・」

 依頼書を持ってあれこれ相談している仲間たちを余所に、エディンは自分の顎を撫でた。

「おや、お前さん知ってるのかい?」
「・・・・・・いや、噂話でちょっと聞いたことがある街ってだけさ」

 エディンはいつもと変わらない仕草で持っていた杯をカウンターに戻した。
 その後ろから、ギルが親父さんに声をかける。

「やってみるよ。ネズミ退治程度なら、すぐ帰ってこれるだろうし」
「そうか、受けるか。まあ、がんばって来い」

 男爵の邸宅はリューンの北西にあるバルツの街中で、道中に危険は無いという。
 地図と紹介状を親父さんから受け取ったギルは、「何だい親父さん、変な顔してるぜ?」と首をかしげた。

「・・・実はバルツの街で何組か冒険者が行方不明になっているんだ」

 寝耳に水の情報だった。たちまち、”金狼の牙”たちに緊張が走る。

「そこの自警団も冒険者ってだけにどこかに行ったんだろうとまともに捜査していないみたいなんだ」
「・・・なんだかきな臭い話だな」
「お前らも気をつけた方がいいぞ」

と親父さんに見送られた彼らだったが、大した苦もなくバルツの街に到着することとなった。

ScreenShot_20130123_224124328.png

「真っ直ぐ男爵邸へ向う前に、ちょっと冒険者の店に寄ろう。行方不明って話を確認しておきたい」
「・・・その後、少し教会にも寄ってみませんか?領主ともなれば、大体は聖北教会とのつながりもあるでしょうし」
「そうね。案外、男爵のこと分かるかもしれない」
「分かった。じゃ、店行った後に教会も回ろうか」

 ギルの決定に仲間たちは頷いた。
 とはいっても、詳細な情報が入ったわけではない。
 男爵はいい人だ、素晴らしい人材だと誉める一方で、男爵の邸宅に招かれた冒険者が誰も帰ってこないため、よくない噂も広まりつつあるらしい。ある人などは、男爵が別人のようになって使用人を虐めている・・・と不安になることを言っている。

「昔は熱心だったけど、最近は礼拝に来なくなったとか司祭様も仰ってましたね」
「・・・・・・このまま、何の措置も取らずに行くのは危険そうだな。どうする、ギル」

 アレクが幼馴染を見やった。

「う~ん・・・・・・」

 ギルはさっきチンピラから取り上げた50spを手中で弄びながら唸る。

「虎穴に入らないと、虎の子は手に入らないって言うからな。ただ、注意はしておこう」

 冒険者たちは嫌な予感を抱えつつも、トラップ男爵の邸宅へ向った。
 門にいた衛兵に名乗り、取次ぎを頼むとすぐ男爵の元へと案内される。

「よくきてくれた。私がバルツの領主、そして君たちに依頼を出したトラップ男爵だ」

 なかなか豪華な椅子に腰掛けていた壮年の男が、こちらを振り返った。
 口ひげを蓄えた男爵は、「まあ、楽にしてくれたまえ」と、思っていたより気さくな態度で接してくれる。
 依頼内容を詳しく聞きだすと、ネズミ退治に600sp。できれば、その後で冒険の話なども聞かせて欲しいという。
 そういった申し出を受けたのは初めてではないので、ギルはあっさり頷いた。

「ああ、分かった。この依頼を受けさせてもらう」
「そうかでは今すぐ頼むよ。できる限り早いほうがいい」

 男爵は即座に立ち上がり、「ついてきてくれ」と短く言うとさっそく先頭に立って歩き出した。
 慌てて”金狼の牙”たちも後を追う。
 案内された廊下は暗く、灯火が見当たらない。かろうじて、細長い窓から入る光で輪郭が分かる程度である。
 男爵の足がとある部屋の前でぴたりと止まった。

「この部屋なのだがどうにもねずみがいるような気がしてだね」
「はあ・・・・・・」

 ギルはぽりぽり頭をかいた。小動物の気配がドアの向こうにしているようには思えないのだが・・・。

「ここに閉じ込めてあるから全て始末してくれ」
「まあ、ネズミくらいならあたしが風を張っておくわよ」
「うん。僕もナパイアス呼び出せばすぐ終わるね」
「ああ、扉は閉めてくれ。ねずみが屋敷に入ると困るのでね」

と男爵が言うのに、一同は頷いた。
 早く早くと急かされ、エディンは眉間に皺を寄せた。

(この男、なぜこれほどまでに興奮してるんだ・・・。ちょっと警戒して入ったほうが良さそうだな))

 一同が扉を潜ると、そこはまったき闇であった。

「暗くてよく分からねえな。おい、明かりをくれ」

 ガチャリ、と鍵の掛かる音。
 エディンのふてぶてしい声に、男爵はこう答えた。

「最高のショーを見せてくれ」
「なんだと・・・!?」
「床がっ!?」

 大人コンビが、自分達の踏みしめていた床がなくなった事に真っ先に気づく。
 ≪エア・ウォーカー≫で魔法の翼を出す暇も無く、”金狼の牙”たちは落ちていった。

2013/01/26 15:18 [edit]

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