Thu.
アルク・トゥルスピカ 2 
しばらくすると行く手に滝が見える。さらに奥へ進むと・・・・・・。
エディンがまたもや手で仲間を遮った。
目を凝らして見てみると滝壺のそばの穴倉から、熊が顔を覗かせている。
しかしエディンは同時にある事に気づいた。
穴倉の奥のほうで何かがキラリと光ったのだ。
(金銀財宝を蒐集する野獣か・・・・・・)
(前に風車の遺跡で倒したグリフォンみたいねー。ワールウインドだっけ?)
(・・・・・・あの時はいい金になったな)
全員がばっとアレクを見つめた。まさかそう言う意見がこの男から出ると思わなかったからである。
(な、なんだよ)
(・・・・・・いえ、あなたでもそういうことを気にするのかと思いまして・・・)
(違う、皆。アレクは最近、防具が欲しくなってきたんだ)
俺もだけど、とギルが呟いた。
その推測は当たっていたようで、アレクは羞恥からか白皙へかすかに血の色をのぼらせていた。
(最近、肉弾戦の応酬が激しいものねー)
(・・・そういうことなら仕方ない、もっと近づいてみるか)
僅かに歩を進めた瞬間・・・・・・。
「グオオオオオン!!」
熊が穴倉から勢いよく飛び出してきた!
どうやら初めから”金狼の牙”に気づいていたらしい。
「あぶねっ!」
咄嗟の判断で、エディンはそのグリズリーの太い足を【磔刑の剣】で岩場に釘付けにした。

反射的に【信守の障壁】を唱えたアウロラの手から、法術による魔法のベールが全員に降りかかる。
「よし、よく二人ともなーいす!もらったあああ!」
ギルが勢いよく【暁光断ち】を放ったが・・・・・・。
「げ、まだ倒れない!今の結構必殺技だぜ!?」
「野生の獣の体力を甘くみるんじゃねえ、リーダー!」
折角束縛していた細剣も怪力に引き抜かれ、敵は傷の痛みにますます猛り狂っている。
慌ててギルやアレク、エディンが波状攻撃を繰り出すも、致命傷にはなっていない。
「仕方ないわね~。やっぱりここは・・・」
「魔法攻撃、だよね。出でよスネグーロチカ!」
「旋風の護りよ!」
それぞれの魔法の媒体である杖をかざし、ジーニとミナスが魔法を唱えた。
現れた雪の精霊と風の刃による障壁が、グリズリーに襲い掛かる。
後一歩のところまで追い詰めたからか、油断したアレクとエディンが岩に足を取られて体勢を崩し、僅かに熊の爪で怪我を負ったものの、その後どうにか仕留めることができた。
やれやれと息をつき、穴倉の中を調べる。
すると、一振りの剣・魔道具らしき指輪・いくらかの銀貨を発見することが出来た。
「こっちの剣は普通の武器ね。でも、指輪は【魔力感知】の魔法が込められているわ」
ジーニの鑑定で価値の高いものと分かった。どうやらこの場所に訪れた無謀な者を殺して蓄えたものらしい。
”金狼の牙”たちは亡くなった者への冥福を祈りながら、それらを頂戴することにした。
「・・・・・・・・・?」
ジーニは周囲に微弱な魔力の波動を感じた。
先程手に入れたばかりの指輪を使って、波動の元を探る。
「・・・・・・そこね」
穴倉の奥深く、人骨か獣の骨か分からぬものの山に小瓶が埋もれていた。
土で汚れて中身が見えないからと、ギルが小瓶を開けてみる。
ぽん、と軽い音がして小さな影が飛び出してくる。それは、先の冒険の時に会ったのと違う種類の妖精だった。
そうして皆が驚いて呆気に取られていると、常緑樹の髪をしたその小さな妖精は滝へ向い・・・忽然と姿を消してしまった。
不思議に思って後を追ってみると、滝の裏には洞穴への入り口があった。
エディンがまたもや手で仲間を遮った。
目を凝らして見てみると滝壺のそばの穴倉から、熊が顔を覗かせている。
しかしエディンは同時にある事に気づいた。
穴倉の奥のほうで何かがキラリと光ったのだ。
(金銀財宝を蒐集する野獣か・・・・・・)
(前に風車の遺跡で倒したグリフォンみたいねー。ワールウインドだっけ?)
(・・・・・・あの時はいい金になったな)
全員がばっとアレクを見つめた。まさかそう言う意見がこの男から出ると思わなかったからである。
(な、なんだよ)
(・・・・・・いえ、あなたでもそういうことを気にするのかと思いまして・・・)
(違う、皆。アレクは最近、防具が欲しくなってきたんだ)
俺もだけど、とギルが呟いた。
その推測は当たっていたようで、アレクは羞恥からか白皙へかすかに血の色をのぼらせていた。
(最近、肉弾戦の応酬が激しいものねー)
(・・・そういうことなら仕方ない、もっと近づいてみるか)
僅かに歩を進めた瞬間・・・・・・。
「グオオオオオン!!」
熊が穴倉から勢いよく飛び出してきた!
どうやら初めから”金狼の牙”に気づいていたらしい。
「あぶねっ!」
咄嗟の判断で、エディンはそのグリズリーの太い足を【磔刑の剣】で岩場に釘付けにした。

反射的に【信守の障壁】を唱えたアウロラの手から、法術による魔法のベールが全員に降りかかる。
「よし、よく二人ともなーいす!もらったあああ!」
ギルが勢いよく【暁光断ち】を放ったが・・・・・・。
「げ、まだ倒れない!今の結構必殺技だぜ!?」
「野生の獣の体力を甘くみるんじゃねえ、リーダー!」
折角束縛していた細剣も怪力に引き抜かれ、敵は傷の痛みにますます猛り狂っている。
慌ててギルやアレク、エディンが波状攻撃を繰り出すも、致命傷にはなっていない。
「仕方ないわね~。やっぱりここは・・・」
「魔法攻撃、だよね。出でよスネグーロチカ!」
「旋風の護りよ!」
それぞれの魔法の媒体である杖をかざし、ジーニとミナスが魔法を唱えた。
現れた雪の精霊と風の刃による障壁が、グリズリーに襲い掛かる。
後一歩のところまで追い詰めたからか、油断したアレクとエディンが岩に足を取られて体勢を崩し、僅かに熊の爪で怪我を負ったものの、その後どうにか仕留めることができた。
やれやれと息をつき、穴倉の中を調べる。
すると、一振りの剣・魔道具らしき指輪・いくらかの銀貨を発見することが出来た。
「こっちの剣は普通の武器ね。でも、指輪は【魔力感知】の魔法が込められているわ」
ジーニの鑑定で価値の高いものと分かった。どうやらこの場所に訪れた無謀な者を殺して蓄えたものらしい。
”金狼の牙”たちは亡くなった者への冥福を祈りながら、それらを頂戴することにした。
「・・・・・・・・・?」
ジーニは周囲に微弱な魔力の波動を感じた。
先程手に入れたばかりの指輪を使って、波動の元を探る。
「・・・・・・そこね」
穴倉の奥深く、人骨か獣の骨か分からぬものの山に小瓶が埋もれていた。
土で汚れて中身が見えないからと、ギルが小瓶を開けてみる。
ぽん、と軽い音がして小さな影が飛び出してくる。それは、先の冒険の時に会ったのと違う種類の妖精だった。
そうして皆が驚いて呆気に取られていると、常緑樹の髪をしたその小さな妖精は滝へ向い・・・忽然と姿を消してしまった。
不思議に思って後を追ってみると、滝の裏には洞穴への入り口があった。
2013/01/24 19:09 [edit]
category: アルク・トゥルスピカ
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