Wed.

葡萄酒運びの護衛 5  

エディンから怪我の有無を問われて、大丈夫と返したエレンだったが、はっと顔を上げると、「同行者だった若者の遺体を探してほしい」と、冒険者たちに頼んできた。
きっと、その若者とエレンが、親しい間柄であったろうことは、想像に難くない。
山賊たちの口ぶりからすれば、遺体はそう遠くないところにあるだろうと、ジーニが予測した通り、無残なそれはすぐ見つかった。
ごめんなさいと泪を流して謝るエレンを、アレクがそっと慰めた。

「私に力がなかったせいで・・・・・・。私が自分の身を守れたら、こんなことにはならなかった・・・・・・」
「エレンさん・・・・・・」

それ以上は、もう言葉にはできなかった。

それからは何事もなく山を越え、冒険者たちは無事にカラコ村へ葡萄酒を届けることが出来た。
エレンは村長に事のあらましを報告し、村では青年の死を弔う葬送が厳かに行われた。

そして翌日。
別れを惜しむエレンと、出立の用意を既に整えた冒険者たちの姿が、そこにあった。
「貧乏暇なしってやつさ」と嘯くギルに、エレンが寂しげに微笑んだ。

「残念です・・・・・・」

そして彼女は、約束の報酬の他に、特産品の織物を差し出して言った。

「私・・・・・・、剣を習ってみようと思うんです」

傷つけるためではなく、自分が誰かを守れるように、と語るエレンの顔は、泣いたせいで腫れぼったい目をしていたけれど、晴れ晴れとした様子だった。
来年も自分がリューンに買い付けに行くだろう、だからそれまでに・・・と語る彼女の決心は、なによりも堅いようだ。

剣の修行頑張れよ、また機会があったら会おう、と冒険者たちはエレンに呼びかけ、狼の隠れ家への帰途に着いたのだった。

※収入600sp、織物(売値300sp相当)※

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■後書きまたは言い訳
2回目のお仕事は、でざーとわいんさんの葡萄酒運びの護衛です。
初めての護衛ということで、最後の決断がかっこいいエレンさんを、村まで送り届けさせてもらいました。
きっと、死んでしまった若者に対して、淡い恋心とか慕情とかあったんだろうな・・・と思うと、ちょっとやりきれない感じも致しますが、そういうほろ苦さも含めて、冒険者の仕事ということで。
たった三日間の同行ではありましたが、各々の心にも、何かが残ったことでしょう。

当リプレイはGroupAsk製作のフリーソフト『Card Wirth』を基にしたリプレイ小説です。
著作権はそれぞれのシナリオの製作者様にあります。
また小説内で用いられたスキル、アイテム、キャスト、召喚獣等は、それぞれの製作者様にあります。使用されている画像の著作権者様へ、問題がありましたら、大変お手数ですがご連絡をお願いいたします。適切に対処いたします。

2012/07/25 21:17 [edit]

category: 葡萄酒運びの護衛

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