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花を巡りて・・・ 4  

 レピア村には夕刻前に着くことが出来た。
 実はこの前に、”金狼の牙”たちは興奮して見境無く暴れる――コカを大量に齧ったのか、それとも何者かが落とした麻薬を服用したのか――ミノタウロスを退治してきたところだった。

「お疲れ様でした。ここがレピア村です」

とレミラに言われた時は、思わず全員が息をついたものである。
 彼女の案内で村長に面通しした一行は、温和そうな村長から歓迎の言葉を受けた。

「・・・ところで、しばらくここに滞在するということですが、何か目的があるのですか?」
「ええ、実は・・・」

 ギルが手短に事情を説明すると、確かに魔道師とおぼしき人物がこの村に居住しているそうだ。
 村人からの情報収集がスムーズになるよう、村長から手を回しておくと言われ、冒険者たちは礼を述べた。

「では村長さん。今日中にやりたいこともあるので失礼させていただきます」
「・・・ああ。皆さん、少々お待ち願えますか?」
「・・・・・・?」

 ドアノブに手をかけていたギルが振り返ると、村長は苦渋の表情で話を切り出した。

「いえ・・・実は少々頼みたいことがあるのですが。みなさんのお仕事の片手間でけっこうですので・・・」
「・・・頼みたいこと?」

 席に戻ったミナスが聞き返すと、村長は、

「ええ、実は・・・最近、この村で行方不明者が一人出たのです」

と言った。
 のどかな村にしては物騒な話題だと、冒険者たちはすっかり聴く体勢になっている。
 失踪したのは湖のそばにある家の三男で、ディーンという青年。彼の都会に憧れていた日々の言動からすれば、家出してリューンに向かったなども考えられた。すでに彼が行方不明になってから一ヶ月も経つらしい。
 見つけろとは言わない、調査した考えを伺うだけで結構だと言う話に、先走ったミナスが出来る限りの協力をすると約束してしまった。

(まあ、これくらいなら構わないか)

 とかく楽観的なギルは、それをとがめることはしなかった。
 村長の家を出た後、レミラを気遣って実家に返した一行は、ディーンと言う青年の行方について少し話し合った。

「行方不明者、か・・・どう思います、ジーニ?」
「家出・・・盗賊団などによる拉致・・・薬草などを探して帰れなくなったというセンも・・・」
「ふむ・・・」
「とりあえず、魔術師の住処と一緒に、情報を集めてから判断するしかないわね」
「・・・よし、日が暮れる前にできるだけ多くの情報を集めるぞ」

 リーダーの言葉に頷くと、”金狼の牙”は急いで聞き込みを行った。

ScreenShot_20130116_134110843.png

「魔術師は人を治す薬の開発に来たと言ってた、か・・・・・・主張はまともだな」
「子どももいいおじさんだったと証言しています。でもここ一ヶ月くらい見ないって、嫌な符号ですね」
「最後に見た時、足元がおぼつかなかったって話も出たね」
「森の左手にある古い洞窟に住んでるかも知れないんだな。それにしても、森のほうから聞こえた咆哮ってなんだろうなあ・・・」
「ディーンの方の手がかりはほとんどねぇよな」
「ただ、いなくなる前に何の兆候も無かったと言うのは、少々妙ね。魔術師との接点はなかったようだけど」

 順に、アレク・アウロラ・ミナス・ギル・エディン・ジーニである。
 普段森に出入りしていなかったという母親の証言からしても、ディーンの失踪は魔術師とは無関係なように思われるが・・・。
 考えをまとめて明日洞窟に向かおうと決めた一行を、ふとアレクが呼び止めた。

「・・・・・・待て。宿ってどこだ?」
「あ」

 全員が気が付いた。この小さな村に宿などは見られない。

(野宿、人里に来て野宿なのか・・・・・・・・・?)

 一行に沈黙が流れる。疲れきったミナスが、腕組みするジーニに寄りかかりながら嘆いた。

「・・・勘弁してよ」
「・・・まだ諦めるのは早いわ。村長に相談してみましょう」
「そうだな・・・・・・ん?」

 エディンが軽やかな足音の方向を見やると、ちょうどレミラがこちらに走り寄ってくるところだった。

「ごめんなさい、私・・・みなさんに言い忘れていたことがあって・・・」

 レミラはレピア村に宿は無いので、自分の家に泊まらないかと誘った。
 遠慮をしないでほしいと薦めてくれる彼女を拒む理由は無く、冒険者たちは渡りに船だとレミラの実家に向かった。
 招かれた家では、物腰の柔らかく落ち着いた女性が、たくさんの料理の向こうで座っていた。レミラの母親だという。
 なんでも、材料は依頼料代わりと言うことで、村長が用意してくれたらしい。まったく、村の大きさの割に大した傑物だった。
 家の雰囲気も、素朴ではあるが心安らぐものであり、ギルたちは久しぶりにくつろいだ時間を過ごしていた。

「・・・お料理は、ご満足いただけましたか?」
「ええ、それはもう!」

 アウロラは熱心に頷いた。実は、”金狼の牙”で料理を担当するのはほとんどアウロラで、やっと最近ミナスが手伝うようになったところだった。彼女がこっそり珍しい調味料や調理法を研究しているのを、仲間たちは皆知っている。
 身体が弱いために久々の料理だったと聞き、一行は驚いた。そんな様子は今までまったく無かったのである。

「難儀ですね・・・・・・」

と感想を述べたジーニに、なんでもないようにレミラの母はころころ笑った。
 それよりもレミラと”金狼の牙”が体験したことを話してほしいと頼まれ、このたびの出来事、考えたことなどを語り合い、聞かせた。
 レミラの母は、彼らの話に聞き入っていた。彼らの体験を、ゆっくりかみしめるように。
 ・・・話が終わると、彼女はジーニたちに改めて、礼を述べていた・・・。

2013/01/20 16:52 [edit]

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