Wed.

奇塊 2  

 いざ!と仕事に取り掛かった冒険者たちは・・・・・・。

「待って、何かいます・・・!」
「・・・蛇だっ!ほらそこ、水の中・・・」
「【召雷弾】!」
「【野人召喚】!」

「きゃあ、鼠!」
「【花散里】!」

 出てくる厄介なモンスターをあっという間に駆逐していく。
 その上、今日は誰かがものすごいラッキーなのか、汚水をざくざく歩いている途中で色んな宝物にぶつかったのだ。
 ≪光弾の書≫≪魔法の護符≫≪癒しの錫杖≫・・・・・・その種類の豊富さは最初こそ依頼人をして、「どっかの間抜けな学者さんが間違ってトイレに落としたんじゃないかなぁ?」だの、「君たち無茶苦茶ついてるなぁ。何かこつがあるのかい?」等としごく暢気に笑っていたのだが、さすがに呪文書が二つに錫杖までとなると、

「・・・いくら何でもおかしくないか!?ここは魔術師学連の宝物庫じゃないんだぞっ!?」

と叫び始めた。

「まったくですね・・・・・・ちゃんと使えそうなものばかり」
「それとも、学連の校長がとち来るって宝物庫の中身を全部トイレに放り込んだとでも言うのか!?」

ScreenShot_20130108_093112890.png

「もしそうなら、今から校長の頭を杖でぶっ叩いてくる必要があるわよ。ほら、それより先に行くわよ」

 やがて彼らは、なにやらぶよんぶよんとした黒い物体の目の前に出た。

「・・・?なんだ、ありゃ・・・?」

 ものすごく不審そうなダスキンの疑問に答える声は、ない。
 巨大な黒いそれは、まるで四角い箱にぎゅうぎゅうに押し込められたボールのようだ。完全にこの先の水路を塞いでいる・・・。

「どうやら、これが下水の逆流の元凶みたいだけど・・・なんなんだ、これ?」
「どれ」

 怖いもの知らずというか、杖の先で思い切りジーニが叩いてみた。

「・・・結構、弾力があるわね」

 ミナスは小首をかしげた。――これに生命力の精霊が働いている様子が感じ取れない・・・ということは、これはゴミの塊のようなものなのか?
 他の面子に急かされて、とりあえずアレクが≪黙示録の剣≫で思い切り斬りつけてみると・・・。

「グオオオオオン!」
「な、なんじゃこりゃあっ!!」

 ダスキンの叫びが響き渡る。黒い球体に触手、触手の先に目を生やしたそれ。
 正体はわからないながらもこれは危険な存在だと悟った冒険者達は一目散に駆け出した!

「撤退!俺とアレクが殿をやる、いけーっ!」

 エディンを先頭に依頼人の手を引いたアウロラ、ジーニとミナスが続き、アレクとギルが最後に走る。
 T字路の辺りまで逃げ込むと、

「はぁ、はぁ・・・ここまで、来れば、大丈夫・・・」

とダスキンが息も切れ切れに言った。

「ぜぇ、ぜぇ・・・いったい何なんだ、あれは!?」

ScreenShot_20130108_095324609.png

 同じく息を切らせているギルが、誰にともなく疑問を呈する。ところが、これにははたして依頼人から答えがあった。

「・・・ビボルダーですよ、多分・・・」
「ビヤホールだぁ?」
「ビボルダーっ!以前、本で読んだ事があります。魔法生物・・・生物兵器ですよ」

 この依頼人、驚くべきことにアウロラに手を引かれながら、きちんと正体を見極めていたらしい。
 魔法生物の一部には正常な生命の精霊力は働かない。ミナスの【精霊感知】にも引っかかるはずはなかった。

「でも、変ですね・・・ビボルダーは古代遺跡の番人として使用されたって話だけど・・・」
「何をとち狂って下水道なんかを守ってんの、あの魔法生物・・・」

 ジーニが杖に縋るようにして呻いた。
 その呻きに追従するように、ビボルダーの暴れる音が聞こえてくる。

「お~お、騒いでる、騒いでる・・・それにしても・・・なぜ追っかけてこないんだ?」

 エディンが言うと、眼鏡の位置をやっとのことで直したダスキンが指を一本立てて応じた。

「もしかして・・・身体がつっかえて動けないんじゃ・・・?」
「・・・間抜けすぎる」←全員

2013/01/16 08:59 [edit]

category: 奇塊

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