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Sun.

銀の鍵 4  

 アレクが火精に水筒の水をぶっかけ、ジーニが松明の火を土精に近づけ、アウロラが残った小山の土を風精へと投げつける。

ScreenShot_20130108_065118125.png

 そして家があったはずの場所に一行がたどり着くと、家が消えた代わりに井戸が存在していた。
 井戸のそこは乾いているようだ。ロープか何かがあれば降りていけそうだが・・・。

「さすが冒険者の店の娘さん、何か予感でもあったのでしょうか」

 釈然としない表情でアウロラが荒縄を取り出す。ロープが必要なら、フィロンラの花の遺跡でやったように途中であった蔦を利用しようと思っていたアレクは、目を丸くしてから額を押さえて笑い出した。

「ははは!いや、大したものだ。親父さんより才能があるんじゃないか」
「いらないものを押し付けられただけだと思ってたんですけどね・・・」

 準備を整えると、冒険者たちは井戸の中に降りていった。

「・・・井戸の中、だよな」
「そのはずだが・・・」

 呆然とした様子のミナスの肩を、エディンが落ち着くようにと掴む。
 牧歌的な「村」の風景に、一同は呆気に取られていた。
 底についた、とロープを放して足をつけた瞬間からここに来るまでの記憶がない。魔法の力によって移動させられた・・・ということなのだろうか?
 一番早くに気を取り直したのはアレクだったが、その彼も

「・・・で、どうする?」

と訊くしかなかった。
 風景を眺めていても仕方ない、とにかく移動しようと歩き始めた丘の途中で、妙に軽く弾むような足音が聞こえてきた。
 全員が音のほうを見やると、金色の髪を二つに分けた可憐な少女が立っている。
 武装した集団を見ても取り乱したり怯えたりすることもなく、

「わ。お客様ね」

と言って嬉しそうに笑った。

「わたしのほかにもくる人がいるなんて素敵だわ。フェステ呼んでくるわね」
「あ、ちょっと待ってくれ」

 ギルが走り出そうとした少女を呼びとめた。

「俺たち、ヴァイオラって女性に用があるんだが、知らないかな?」
「なぁんだ、わたしじゃないの?ちょっと待ってて」

 少女はそこまで言い終えると踵を返した走り出したが、十分と経たない内にもう一人を引っ張って戻ってきた。

「おまたせ」
「・・・双子なの?」

とジーニが思わず訊いたのも無理はない。 

ScreenShot_20130108_070357296.png

 ヴァイオラという名前の少女が引っ張ってきたのは、一寸違わず同じ顔をした少女であったのだ。

「そうよ。わたし、オリヴィア」
「わたしがヴァイオラよ」

 二人は非常に仲が良い様子で佇んでいる。はっと何かに気づいたアウロラが、急いで外套のポケットから古い銀製の鍵を取り出した。

「オリヴィアさんに渡してくれ、と頼まれていました」
「あ、この鍵。もしかして!ずっとさがしてたのよ。もらえるの?」
「ええ。所望されたら差し上げて欲しいって」
「ありがとう!」
「ずるいわ。オリヴィアだけなんて」

 それを見ていた同じ顔の少女がむくれたのを見て、アウロラは慌てて手紙も取り出した。

「これを届けるのが今回のお仕事でしたの」
「わたしに手紙?ありがとう!嬉しいな。誰からかな?」
「ずるいわ。ヴァイオラだけなんて」

 ヴァイオラが宛名を読むのを、横からオリヴィアも眺めている。

「でもオリヴィア。これ、『オリヴィアより』って書いてあるわよ」
「わたし手紙なんて書いてないわ」

 二人は手紙の封を破り読み始めた。

「あなたが持ってきたご本をこのひとたちにあげなさいって書いてあるわ」
「わたし、手紙なんて書いてないってば」

 中身にある「このひとたち」とは冒険者たちのことであろう。しかし、ヴァイオラが小脇に抱える鍵つきのそれが、一体何の役に立つのかも分からず首をかしげていると、少女たちは顔を見合わせた。

「フェステに聞くっていうのはどう?」

 ヴァイオラが言えば、

「それがいい!」

 オリヴィアも同意する。二人は冒険者が止める間もなく走り出した。

2013/01/13 03:50 [edit]

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