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In the moonlight・・・ 7  

 月獣と化し襲い掛かってきたイリスは、その鋭い爪でジーニの肩を切り裂いた。
 幸い浅手で、それによって正気づいた自分達の魔法使いを、ミナスとアレクがそっと後ろにかばう。

「・・・ウウウ・・・」

 かつてイリスだった獣は叫ぶ。

ScreenShot_20130107_060158343.png
 
「ああっ!」

 その叫び声に呼応するようにジーニの体が震え。
 
「・・・ジーニ・・・手が・・・爪が・・・」

 白い手が獣のように獣毛が生え始め、桜色に塗られたはずの爪が不自然なほど鋭く尖り始める。
 形容しがたいその衝動に耐えるように杖を振ると、髑髏の先から【魔法の矢】が飛び出した。

「ガアアアアア!」
「神よ、我らに大いなる祝福を!」

 アウロラの【祝福】が仲間たちを覆う。
 秘蹟による加護に包まれたエディンの身体が、とんとん、とその場に跳ねていた状態から急に消えた。

「!?」
「こっちだよ」

 跳び上がった肢体が月影に紛れるように現われると、彼の握っていた細剣が容赦なく延髄を狙う。 
 しかし、とっさに獣が身をよじったために狙いは逸れ、背中を突き破るにとどまった。その体勢のまま、エディンも獣の反撃を食らって地面に叩きつけられる。

「つうっ・・・・・・」
「おい、お前の相手はこっちだ!」

 戦斧を両手で握り締めたギルが、それ以上の追撃をさせまいと叫ぶ。
 一足飛びで距離を詰めてきた暴れる獣の爪を、斧でがっきと受け止めるが・・・堪えきれずに膝を突いた。
 これはまずいかも、と思ったギルの視界に、更に変異した腕に苦しめられながら呪文を唱え始めるジーニの姿が映る。

「仲間を・・・お前になんて渡せるかよ!!」

 火事場の馬鹿力とでも言うべきだろうか、ギルは喉を狙って更に突き出してきた爪を柄で跳ね上げ、隙が出来たところを【暁光断ち】という新しい斧技で振りぬいた。神聖な力を宿す刃が、夜明けのように辺りを照らした・・・・・・。
 疲れ果ててへたり込む”金狼の牙”たちを無言でフォットは見つめていたが、

「・・・イリスは大丈夫なのか?」

とアレクに尋ねられて、「多分な・・・」と頷いた。

「・・・結局、イスタンは死んでいた訳ね」
「ああ。奴は魔力を失って・・・あとはお決まりの道だ・・・。下町のエサ漁り・・・そして病気にかかる・・・」
「ここで拾われはしたけれど・・・」
「その主人も持病の発作であっさり逝ってしまった・・・」

 ジーニの台詞をフォットが繋いだ。
 彼は赤い帽子を被り直すと、冒険者たちに向き直った。

「・・・さて・・・イリスを運ぶのを手伝ってくれないか?」

 そしてフォットに協力しようと彼らが立ち上がった瞬間だった。またもや、ジーニの腕が変異を起こし始めたのである。

「うっ!また・・・腕が・・・」
「・・・シンデイナイ・・・」
「満月がそこまで力を与えるはずが・・・。イスタンのせいか・・・」

 魔力にも勝る妄執が彼女を突き動かしているのだ。

「ウググ・・・はぁ・・・う・・・」
「まずい・・・ジーニはイリスに共感している・・・このままでは取り込まれるぞ。何か一撃必殺の武器がないと・・・」
「・・・一撃必殺・・・!フォット、ハイオートンを貸せッ!」

 アレクが叫んだ。

ScreenShot_20130107_063315562.png

 魔剣をアレクに差し出しつつ、確実にイリスへ止めをさすよう示唆するフォットに、一度イリスが助かると聞いていた冒険者たちは逡巡するが――。

「あたしに・・・あたしに渡せ!理性が・・・力が・・・コントロールできるうちに!」

と怒鳴ったジーニが、横から魔剣を奪い取る。
 この状態ではもう呪文を唱えられない。だが、肥大化しつつある獣の腕なら――鋼のようになったイリスの身体へダメージを与えることが出来るはずだ。

「・・・よし。俺たちで時間を稼ぐ。隙を見つけて確実にいけよ」
「分かったわ、ギル」

 仲間たちは頷き合い、イリスへ切り込んでいく。
 尖った爪から放たれた【眠りの雲】にギルとエディンが倒れこむが、その横で続けざまにアレクが雷の弾を相手へ叩き込む。
 アウロラとミナスも呪文を放つが、イリスの硬化した身体に阻まれ全く効果を示さない。

「まだかっ!ジーニ!」
「まダ・・・隙ガ出来てイナい・・・」

 アレクが放った【飛礫の斧】の流れ弾で目を覚ましたギルも参戦し、必死にジーニのために隙を作ろうとする。斧による【風割り】の技を受け止めた時、とっさにイリスの体勢が崩れた。
 ジーニはハイオートンを脇に抱え込む。そして――・・・。

「ヤアアああっ!」

 ――イリスとジーニは屋上から地上へと落ちていった。

「・・・・・・・・・」

 ひどくゆっくりと感じた落下の時間。ジーニの脳裏にはイリスの記憶、イリスの悲しみ、イリスの思考が流れ込んでいた。膨大な量のそれらは脳をかき乱し、負の感情を呼び寄せる。そして見える、虚ろな穴。

「やめて・・・・・・やめて!」

 イリスの目を入り口に、ジーニはハイオートンを彼女の脳髄まで突き刺した。
 ――全てが終わった後、フォットはイリスの死体を背中に乗せ・・・ヨタヨタと何処へともなく歩いていった。
 悲しみか憎しみか、それすら分からず涙を流し続けるジーニの頭を、アウロラがそっと抱きかかえる。

「なんで・・・・・・なんでっ・・・イリス・・・」

 それ以上は言葉にならない彼女を慰めるようにして、冒険者たちは狼の隠れ家へと歩みだした・・・。

※収入0sp※

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■後書きまたは言い訳
21回目のお仕事は、天かける翼さんのIn the moonlight…です。6~8レベル用シナリオなのですが、後ほどにやる予定のシナリオのために前倒しでプレイしました。勘の良い方なら何を狙っているかバレバレじゃないかと思いますが、哀れなLeeffesのために黙っておいてやってください・・・。(笑)

イリスと言うキャラクター。弟を愛しすぎ、他猫を罠に嵌めることも人間を利用して殺すことも厭わない彼女ですが、なかなか嫌いになれませんでした。こう言うと天かける翼さんにご迷惑かもしれませんが、ジーニもまた、仲間のために誰かを罠に嵌めることも利用することも辞さないキャラで、イリスに良く似ています。
会ったばかりの頃から口げんかしてたけど、相手の気持ちを少し判って憎みきれなかったろうし、憎みきれない自分自身への嫌悪も感じているのかもしれません。珍しくジーニが鬱々としておりますが、浮上させるシナリオもありますのでご安心を。すぐにはやりませんが。

5レベルを超えた辺りから、シナリオの雰囲気が精神的に追い詰められたりするようなものが多くなる気がします。(或いはそういうシナリオばかりDLしてるのでしょうが)

当リプレイはGroupAsk製作のフリーソフト『Card Wirth』を基にしたリプレイ小説です。
著作権はそれぞれのシナリオの製作者様にあります。
また小説内で用いられたスキル、アイテム、キャスト、召喚獣等は、それぞれの製作者様にあります。使用されている画像の著作権者様へ、問題がありましたら、大変お手数ですがご連絡をお願いいたします。適切に対処いたします。

2013/01/11 17:59 [edit]

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