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In the moonlight・・・ 3  

 イリス(猫姿)をジーニの背負ったナップザックで運びつつ、冒険者たちはトーテム山を登っていた。
 山歩きに慣れているギルと視力の良いエディンが先頭に立ち、アウロラとジーニが真ん中、最後尾にミナスを手伝いつつアレクがつく。
 途中、コカの葉を見つけたミナスが荷物袋に入れているのを眺めながら、アウロラが顔だけ出している白猫に訊いた。

「そういえば・・・どうして、イスタンは魔力を失ったのです?」
「新しい年の最初の満月の光を浴びたからよ」

 前にも説明したじゃないと言う口調のイリスに、困ったアウロラの言を補うようギルが口を出した。

ScreenShot_20130107_032635593.png

「ああ・・・だからさ。新しい年の最初の満月の光を浴びると魔力を失うことを知っているんだろ?なのに、なぜ浴びたんだよ?」
「・・・さぁねぇ・・・よく分からないわ・・・」

 どこか口調に苦いものを含んだような顔で、イリスは言う。
 ――山の日が落ちるのは早いと、誰が言ったのだろう?2度狼に襲われたものの、ギルのかすり傷以外に大した被害はなく、ギルは採ったばかりのコカをしかめっ面で齧りながら「夕方か・・・」と唸った。
 辺りはすっかり黄昏に包まれている。
 その後も探索は続けられたが、やがて夕日は地面に、代わりに月が空高く昇り始めた。

「・・・綺麗、ですね」

 アウロラが見上げる夜空には雲一つなく、星がまだ肌寒い大気の中を瞬いている。
 月は・・・そんなことお構いなしに真円を描き、月光を地上に送っていた。
 冒険者たちは小休憩を取ったあと探索を再開した。

「ん・・・あれは・・・」
「館・・・」

 夜目がある程度利くエディンと月明かりで虹彩の少し広がったイリスが、同時にその建物を見つけていた。
 二人が促すほうへ視線を移した”金狼の牙”たちだったが、やがてジーニがあるものに気づく。

「ねえっ!あれを見てっ!」

 ジーニの見ているのは・・・館の屋上にいる一匹の猫らしい影だった。驚いたイリスが「ニャア!」と叫ぶ。
 微動だにしない猫のシルエットに、

「ニャッ!ニャアッ!」

とイリスは必死で呼びかけた。

「イリス・・・」
「・・・大丈夫。あの館に入りましょう」

 心配そうに呼びかけたジーニにイリスは微笑んだ(ように見えた)。
 大きな時計がついたその館に近づくと、エディンはなんとなく「慣れない」気配に気づいた。

「・・・なんだ・・・何かいるぞ・・・」
「誰だっ!」

 精霊の囁きに耳を傾けていたミナスがある方角に向かって怒鳴ると、館の入り口に立っていた柱の一つから、赤い帽子を被った黒猫が二足歩行で現われたところだった。

「・・・・・・人にしては勘が鋭いな・・・」
「あいにくと、人じゃなくてね」

 そう返したミナスの前に、ふわりとイリスがナップザックから降り立つ。

「フォット!?」
「フォット?」
「・・・・・・・・・同族を殺す始末人・・・」

 それを聞いた瞬間、ザッと”金狼の牙”たちは散開して距離をとった。

「・・・酷い誤解だな・・・」
「どこが違うっていうのよっ!」
「貴様には言われたくない。私宛ての手紙までを盗み読みまでして弟の居場所を勘ぐるような泥棒猫にはな・・・イリス?」
「あっ、あなたがここへ来た理由は分かってるわっ!」

 盗み読みという方法を明かされたことが恥ずかしいのか、やや口ごもりながらイリスが声を張り上げる。

「い、イスタンを殺すつもりでしょ!」
「・・・今回は例外なのだがな。ただ・・・場合によってはそうなる」

 その後も互いを弾劾するイリスとフォットの会話は続いたが、不意に「スーニ」という猫族の話になると、イリスがどういうわけかうろたえ始めた。
 イリスが、スーニという同族をフォットに売ったと言う――。ギルたちには、今まで弟を案じていたイリスの印象が強く、なかなか信じがたいことだった。

「君たちはどっちにつくかな?私かな・・・それとも彼女かな?」
「イリスを殺すんですか?フォットさん・・・とおっしゃいましたわね?」

 アウロラが氷心の指輪がついた手で、ぎゅっと胸元を握る。

「そのつもりだ」

 その一言で充分だった。少なくともこの瞬間――フォットは敵だ!

「・・・人間は分からぬ・・・」

 疲れたような哀切を帯びたフォットの呟きは、夜風にかき消されていった。

2013/01/11 17:27 [edit]

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