Wed.

葡萄酒運びの護衛 2  

はじめの1日は整備された街道を進んだ。

「平和だよねー」

街道沿いの景色を眺めながら、ミナスが言う。
それに同意したのはギルで、彼は手綱を握っていた。
こういった道中の退屈には、彼ら冒険者もそろそろ慣れてきていた。もっとも、そういう油断が危ないとは、先輩からよく戒められていたけども・・・・・・。

退屈に耐えられなくなったのか、エレンの方から話しかけてきた。

「実は私、リューンに来たのって今回が初めてなんです」
「地元から出たことないのか?今時珍しいな」

アレクはリューン出身で、冒険者の父と母がいる。
そのせいで、武器の扱いにも長けており、よく幼馴染のギルとリューン郊外に出かけては、親からお小言と拳骨を貰っていた。

「うちの村は山の向こうにあることもあって、リューンとあまり交流がなくて・・・・・・」

遠くを見るような目で、短く揃えた茶髪を暖かい風になびかせながら、エレンは言葉を続けた。

「年に1度、こうやって葡萄酒を買出しに来るぐらいですね。普段の買い物は近くにある小さな街で済ませてるんです」
「退屈じゃないか?」

と、ギルは手綱を持ったまま言った。

「確かにリューンと違って娯楽はありませんね・・・・・・。もっとも、退屈はしませんよ。仕事が忙しいですから」
「ああ、農作業の手伝いとかね?」
「それもありますけど、女は機織(はたおり)が主な仕事なんですよ。村の織物をリューンで売って、そのお金で葡萄酒を買うんです」

へえ、とジーニとミナスが感心したような声を上げる。
ギルとアレクがアウトドア派なら、今までの人生でインドア派代表だったのがこの二人だ。
ジーニは賢者の塔という特殊機関で、ミナスはエルフの隠れ里という環境にずっといた為、なかなかそういう農村の生活というものが分かっていない。
エレンの説明に、今まで間遠だった村の様子というものが見えてきて、

「なるほどね」

と、ジーニは頷くことしきりだった。

「さあ、行きましょう」

2012/07/25 21:13 [edit]

category: 葡萄酒運びの護衛

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