Under the stoneその3

 ほぐほぐと髭を動かした後に、穴の奥へするりと入っていった茶色の毛玉は、しばらく中で小さな手足を動かしてあちこち駆け回っていたようだが、ちゃんと籠からの解放者――水晶の仕掛けを解いて南京錠の鍵を入手した、ロンドの元へ帰ってきた。
 ハムスターが丸められた紙切れを咥えている。

「おう、ちびすけ。ご苦労だったな」

 湿って乾いてを繰り返したためにすっかりごわついてしまった紙を、ロンドが受け取り、彼の出来得る範囲内で丁寧に広げようと悪戦苦闘する間、ハムスターは短い前足をくるくる顔に擦り付けて洗っていた。

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Under the stoneその2

 牢屋から出てきたロンドは、懐に入れた奇妙な石を服の上から撫ぜた。
 滑らかな台座の上に放置されていた真っ赤な石は、どういう仕掛けなのか中心部に昏い光が明滅しており、その一定のリズムが自分の心音とシンクロしているようだった。
 確かに台座に刻まれた文字には、

”この石はお前の心臓””努々手離すことなかれ”

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Under the stoneその1

 水の……音が響く。
 揺れ、渦を巻き、漣を起こし、流れゆく水の音。
 ロンドは夢現な頭の中で、聴覚からの情報から海を連想していた。
 家族同然の娘の眼は、温かな春の海と同じ色をしており、生き生きとした光がそこで躍るのを見るのが好きである。

(冒険者になって、色んな理不尽なことや腹立たしいこと、悲しいことがあったけど……でも、あいつの目はまだ死んでない。俺たちはまだ、冒険を続けられる。)

 ぴちゃり、と滴の跳ねた音が耳に届く。

(しずく……滴……?)

 あれ、と彼は訝しんだ。

ScreenShot_20180319_131933237.png

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