ゴーストタウンその4

 階下に戻ると、見慣れない様式の祭壇や椅子が並んでいる様子に、特に変化はない。
 これは長期戦だろうかと、ナイトは壊さぬよう気をつけながら椅子の一つに腰掛けた。
 それを見たミカも、いい加減に緊張のしっぱなしで疲れていたのだろう、隣の椅子に座り込む。
 2人を咎めるつもりもなく、シシリーもまた祭壇に近い椅子に座った。

「この町……一体なんなのかしら?」

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ゴーストタウンその3

 いつの間にか夜空に広がっていた黒雲に悪態をつきつつ、旗を掲げる爪はひたすら出口を目指して走った。
 おかしい。
 その思いが、全員の胸を過ぎっている。
 彼らが佇んでいた貧しい世帯用の長屋と共同炊事場は、確かに町の隅にあった。
 だが、冒険者たる彼らが本気で走っているというのに、一向に目指す場所へ辿り着かないのだ。
 似たような住宅用家屋が建ち並ぶ道を通過し、一際立派な建物の角を曲がる。

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ゴーストタウンその2

 ロンドは白髪をかき上げるようにして再び唸った。
 冒険者の見張り交代は、こうして睡眠時間が飛び飛びになることもままある。
 だから慣れていると言えば言えるのだが、今回のように歩きづらい道を来て疲れた身には、まだ若いとはいえ少々堪えることは確かだった。

「うう、寝たい……」

 彼の懐では、パーティのためにひと働きしたムルが眠っている。

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ゴーストタウンその1

 頼りない三日月の光が照らす狭隘な道は、生ある者にとってひどくよそよそしかった。
 左右の崖に謂れのない圧迫感を感じ、ミカは落ち着かない様子で身じろぐ。
 風は、すでに春の真っ盛りであるこの時期には珍しくひんやりしていて、彼女は華奢な手で≪桜色ローブ≫をかき寄せた。
 薄紅色の美しいこの品は、見た目で楽しませてくれるだけでなく、こうした実用面でも頼りになり、さらには害意ある魔法を遮ってくれる効果を持っている。
 しかし、着用しているローブよりもなお、ミカの周りにいる仲間たちの方が頼りになる対象だった。
 特に自分を気遣うように守ってくれるリビングメイルは、悪路にも不平不満を零さず、淡々と自分の後ろをついてきている。
 ある依頼を引き受けたミカを含む旗を掲げる爪は、目的地に行く途上で夜を迎えていた。

ゴーストタウン

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