Tue.

ゴーストタウンその4  

 階下に戻ると、見慣れない様式の祭壇や椅子が並んでいる様子に、特に変化はない。
 これは長期戦だろうかと、ナイトは壊さぬよう気をつけながら椅子の一つに腰掛けた。
 それを見たミカも、いい加減に緊張のしっぱなしで疲れていたのだろう、隣の椅子に座り込む。
 2人を咎めるつもりもなく、シシリーもまた祭壇に近い椅子に座った。

「この町……一体なんなのかしら?」
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2017/03/28 12:03 [edit]

category: ゴーストタウン

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Tue.

ゴーストタウンその3  

 いつの間にか夜空に広がっていた黒雲に悪態をつきつつ、旗を掲げる爪はひたすら出口を目指して走った。
 おかしい。
 その思いが、全員の胸を過ぎっている。
 彼らが佇んでいた貧しい世帯用の長屋と共同炊事場は、確かに町の隅にあった。
 だが、冒険者たる彼らが本気で走っているというのに、一向に目指す場所へ辿り着かないのだ。
 似たような住宅用家屋が建ち並ぶ道を通過し、一際立派な建物の角を曲がる。
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2017/03/28 12:01 [edit]

category: ゴーストタウン

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Tue.

ゴーストタウンその2  

 ロンドは白髪をかき上げるようにして再び唸った。
 冒険者の見張り交代は、こうして睡眠時間が飛び飛びになることもままある。
 だから慣れていると言えば言えるのだが、今回のように歩きづらい道を来て疲れた身には、まだ若いとはいえ少々堪えることは確かだった。

「うう、寝たい……」

 彼の懐では、パーティのためにひと働きしたムルが眠っている。
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2017/03/28 11:59 [edit]

category: ゴーストタウン

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Tue.

ゴーストタウンその1  

 頼りない三日月の光が照らす狭隘な道は、生ある者にとってひどくよそよそしかった。
 左右の崖に謂れのない圧迫感を感じ、ミカは落ち着かない様子で身じろぐ。
 風は、すでに春の真っ盛りであるこの時期には珍しくひんやりしていて、彼女は華奢な手で≪桜色ローブ≫をかき寄せた。
 薄紅色の美しいこの品は、見た目で楽しませてくれるだけでなく、こうした実用面でも頼りになり、さらには害意ある魔法を遮ってくれる効果を持っている。
 しかし、着用しているローブよりもなお、ミカの周りにいる仲間たちの方が頼りになる対象だった。
 特に自分を気遣うように守ってくれるリビングメイルは、悪路にも不平不満を零さず、淡々と自分の後ろをついてきている。
 ある依頼を引き受けたミカを含む旗を掲げる爪は、目的地に行く途上で夜を迎えていた。

ゴーストタウン
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2017/03/28 11:55 [edit]

category: ゴーストタウン

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 冒険者たちが予測したとおりに、大部屋の中央にはいくつかの”影”があった。

「ひい、ふう、みい、よお……ふむ」

 ナイトが指差して数えたとおり、”影”の総数は雑記帳の内容と違わずそこにある。
 とすれば――決して他方向への警戒を解いてよいわけではないが――これで、より多くの注意を前方へと傾けることは出来る。
 彼らが目を凝らした結果、明らかになった”影”の正体はやはり。

「噂のビホルダーちゃん見参……ってわけか」

 アンジェがほとほと疲れた様子でぼやく。
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2017/03/22 11:54 [edit]

category: 再びパーティ会議後の霞を食っては…

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 そこからのアンジェの働きときたら、狼の隠れ家で見せていただらけた姿とは雲泥の差であった。
 瞬間移動の魔法陣が発動する罠、魔法の矢が壁の隙間から発動する罠、カモフラージュした発射口から混乱ガスが噴出す罠……罠のひとつひとつが狡猾な場所に設置されており、嫌でも改良ビホルダーたちの冒険者を仕留めようという固い意志を感じさせる。
 行きがけには眼にしなかったこれらのトラップは、冒険者たちが地下深くまで潜っている隙に設置したのか、もともと仕掛けられていたが、あえて発動しないようすることで冒険者の観察を逃れたのか……。
 どちらであるにしろ、より奥深くまで対象を誘い込もうという知能の高さが垣間見えた。
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2017/03/22 11:49 [edit]

category: 再びパーティ会議後の霞を食っては…

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 再びアンジェが足を止めたのは、旗を掲げる爪が地下五階まで下りて、廊下の突き当たりに赤く大きな扉を見つけた時だった。

「あれは――?」

 しばしその場で待機してくれるよう仲間に手で合図した彼女は、少々周辺を探ってから、まるまっちい指で石壁の一箇所を指し示した。
 そこには石と石の繋ぎ目に隠れるように、小さな穴が連なって空いている。
 ロンドはそれを見ただけでは意味が分からず、小首を傾げて問いかけた。

「……?あれがどうか――」
「まぁ、見てなよ。みんな、その場を動かないで――」

 言うが早いか アンジェはブーツの隠し場所からナイフを手品のように取り出し、それを閃かせた――と。
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2017/03/22 11:45 [edit]

category: 再びパーティ会議後の霞を食っては…

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 リューン、ムササビ通り――貴族をはじめとする富裕層が集うはずだった予定地は、現在、居住者が憐れになるほど少なく、更地の目立つ土地であった。
 中央公路につながる目抜き通りや大きな繁華街・歓楽街に対しての連絡が、他の高級住宅街に比べると悪く、また距離もかなりあるためだ。
 ムササビ通り6-4-10番地。
 手入れがされていない空き地で、茫々とのび放題の草がざわめいている。
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2017/03/22 11:41 [edit]

category: 再びパーティ会議後の霞を食っては…

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 狼の隠れ家――西方屈指の大都市、交易で栄えているリューンの片隅にひっそりと存在する、冒険者の店の中でもまずまず老舗に数え上げられる宿である。
 そこに所属する旗を掲げる爪は、聖北教会からの依頼により、緑の都ヴィスマール北方に位置する山地の端っこまで出かけ、最果ての魔女と呼ばれる大量殺人犯を討伐して戻ってきていた。
 教会からの依頼、ということで報酬にさほど期待はしていなかったのだが、魔女の遺物を好事家に売りつけたところ思いがけない臨時収入となり、しばらくはのんびり休養していたのである。
 ただ、冒険者稼業に精を出す輩と言うのは、とかく退屈が天敵となるようだ。

霞を食っては…


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2017/03/22 11:35 [edit]

category: 再びパーティ会議後の霞を食っては…

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 こんにちは、Leeffesです。
 使い出があるかどうかは自分だけみたいな予感がしますが、素材更新です。
 一応新シナリオのスターヴェスで使ったスキル絵や枠を入れてありますので、もしお使いになりたい方がいらっしゃれば、利用規約に目を通して頂いた上で、どうぞいかようにもお使いください。

 こちらから素材をダウンロード可能です。

2017/03/17 12:28 [edit]

category: 素材

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 黒いローブと帽子に身を包んだ年若き魔女は、赤く沈んだ目を闖入者たちへ向けていた。
 旗を掲げる爪と名乗りを上げた冒険者たちが武器を振り上げるのを、陶器のように白い手が魔力を発するたびに軌道を逸らし、あるいは床へ叩きつけている。
 タンタ・トルク――金の髪に赤い瞳を持つ彼女は、じっと彼らを統率する娘を見つめた。
 骸骨騎士に長剣を叩きつけながら、すかさず打ち込まれる反撃を鎧の肩パーツで最小限の被害に留めんと動いている。

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2017/03/13 12:40 [edit]

category: 最果ての魔女の後の双子星

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「最果ての魔女……ですって?」

 そう呟いた彼女は、細い眉をしかめるようにして彼を見つめた。
 狼の隠れ家、と呼ばれる老舗の冒険者の店でも、かなりの実力者と目されているパーティのリーダーは、聖北教会の依頼人としての全権を託された彼にとって、意外なほど若く、初めは本当に依頼に値する人物かと訝った。

最果ての魔女



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2017/03/13 12:33 [edit]

category: 最果ての魔女の後の双子星

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