カリオペの音楽祭その4

 結界を解除して無事にパズルピースを回収した旗を掲げる爪は、絵のたくさん飾られていた部屋まで戻って休憩を取った。
 とりあえず自分たちのペースで戦うことが出来たものの、最強の幻獣と讃えられる竜の膂力はさすがに桁外れであり、装備や魔法で何重にも防御を固めたはずの冒険者の身体には、多くの擦り傷や打ち身が見受けられる。

「まあ、ブレスによる火傷でないだけマシでしょう。あれだと表皮が全部なくなってもおかしくないわけですから」
「それはそうだけど、痛いものはやっぱ痛いよ、おっちゃん」
「火傷………表皮………ん?」

 ウィルバーとアンジェの会話を聞いていた老婆は、ぶつぶつと何かを反復していたが、不意に何かへ思い当たったように顔を勢いよく上げた。

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カリオペの音楽祭その3

「どうして……こうなっちゃったんだろう」
「さて……どうしてじゃろうのう」

 呆然としたように呟いたアンジェに応えたのは、同じく呆然とした様子のテアであった。
 彼女たち2人の視線の先には、さる大きな存在と交渉を始めた仲間たちの姿がある。
 物理的にも存在感的にも大きなそれ――蒼く磨きぬかれたかのような鱗を持つドラゴン――は、竜族の
中では比較的小柄であるはずなのだが、この洞窟にある施設内ではまったくそれを感じさせない。
 もっとも、ブルードラゴンは体長15~20メートルほどもあるのだから、一番背の高いロンドで193センチの冒険者たちでは、”竜族の中でも小柄”という幻獣図鑑に記載された文章は何の慰めにもなっていないだろう。

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カリオペの音楽祭その2

 吹き抜けのある場所から月光が注ぐとは言えども、さすがに洞窟全体が明晰に見渡せるわけではない。
 一行はランプさんとスピカに照らしてもらいながら、洞窟内をあちらこちらと歩き回り、下の階層へと移動してみた。
 すると、途中で生活の痕跡を見つけた。
 簡易的な寝台に大きな机、書類をまとめるための棚、もはや干からびた食料品の入った袋など……それらが使われていたということは、ここで誰かが日常を送っていたのは間違いない。
 そこから鍵や、くねった刀身という変わった形だが魔法の力は持たない剣、そしてここにいたのであろう人物の手記などを発掘する。

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カリオペの音楽祭その1

 抒情的で賑やかな弦楽器や管楽器の調べが、夜になってから明かりの灯り始めたあちこちの建物から聞こえてくる。
 ふと視線を近くにある家の脇へ転じると、路地に並ぶ屋台から買ってきたと思しき揚げ物を、子どもたちが分け合いながら食べていた。
油のこってりしたいい匂いが漂ってくる。

「あー、いいなあ。あたしも食べたい」
「後にしろ、後に。まだ宿も取ってないんだから」
「ロンドの言うとおりですよ、アンジェ。宿泊手続きを終えたら、屋台で買い物しましょうね」
「それにしても…流石に賑わってるわね」

 リューンとは違う浮き立った辺りの様子を眺めていたシシリーが、ふわりと笑って言った。

カリオペ

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